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ep2 変わろう私

「れれまると私がライバル……? 勝ち目なんかないよ」


私は元から人に譲りがちな性格だけど、負けたくないものがある。

それは音楽への愛と楓への愛だ。

でも、楓とれれまるが仲いいのも知っている。

きっと昨日のチョコもれれまるももらっているはず。

れれまると楓は同じクラス。

私は別のクラス。

それにれれまると違って私は受け身の内向的。


でも、でも、負けたくない!!

これだけは譲れない。


絶対に楓を落として見せる。


それにはまず、私が変わらないと!!



意を決して、私は百貨店の化粧品売り場に顔を出した。

性格を変えるのはなかなか難しいけど、見た目ならきっと、まだ、比較的簡単に変えられる。


今日は日曜日。それにまだお年玉の残りが結構あるから、

ちょっと高めの化粧品も買える。



ファンデーション、グロスにリップ。

口紅はちょっと早いよね。

あ、そうそう、香水を少しかけていい匂いにするんだ。


それで、明日の朝、楓と一緒に登校しようって誘うんだ。



色々悩んだ結果、約1万5000円と中学生にしては大きな出費をした。



店員さんにオススメされた化粧を練習した。


楓に電話を勇気を振り絞ってかけた。


「もしもし、楓?」

「ねむ、電話って珍しいな。いつもWIREなのに」

「明日、一緒に学校行こう!!」


「っ、明日かぁ。明日はクラブの朝練強制だから、6時過ぎに学校だから無理だなぁ、ごめんな」


いつもなら私はここで引き下がる。

それが今までのねむstyle(・・・・・・・)

でも、私は変わったんだ。


「それなら……私も一緒に、登校する!!」

「え……」

「ダメ?」

「別にいいけどさ、ねむ、寝坊するなよ。待ち合わせ時間に5分(・・)、5分でも遅刻したら置いていくからね?」

「うん、私、頑張る!!」


その後、朝5時45分に私の家の前で待ち合わせが決まった。


翌日。朝4時。


「ねむっ」


私が起きてまっさきに発した言葉だ。

外の空気を浴びて、目を覚まそうと思った。

ちょうど新聞配達のお兄さんと目があった。

新聞配達のお兄さんは会釈をして原付を走らせた。


「そっか、もう働いている人もいるんだ。私もしっかりしなきゃ!!」


自分で初めてお弁当を自分のために作った。

たまご焼きで何度も失敗した。

思ったような味にもならないし、上手く巻けない。


そこにお母さんが起きてきた。


「夢雨、なにしてるの?」

「今日、ちょっと友達と早く学校に行く約束してるから、自分でお弁当作ろうと思って……」

「三池さんと?」

「れれまるじゃないよ」

「そっか、たまご焼き、めんつゆとマヨネーズよ、お母さんの味付けは」


お母さんの言う通り、めんつゆとマヨネーズにすると、いつもの私の味付けになった。

それに、思ったよりも焦げずに済んだ。

ここまでに使用した卵の量は、1パック分、つまり10こだ。


そして、たまご焼き以外は家にあるウィンナーとベーコン、それに白米にふりかけをふった。

お弁当ができた。この時間は4時50分。

あと、55分で私は家を出る。

急いで朝ごはんを食べて、歯を磨いて、制服に着替えた。

ここまでが旧ねむstyle。

このあと、メイクという作業がある。


メイクを済まして髪の毛をセットした。


どう? 今日の私はかわいいでしょ?



5時40分。

私は家を出た。

向こうからすごくゆっくり歩いてきた楓が私を確認してすごく驚いていた。


「え、ねむ?」

「私だよ!!」

「いや、なんていうか、垢抜けた?」

「えへへ、メイクして可愛くなった私をお母さんよりも早く見たのは、楓だよ!!」

「そっか」


そのままゆっくり歩いて登校した。

楓は終始、車道側を歩いていた。


「あっ」


楓が誰か知り合いを見つけたようで手を振っている。


「おいーっす、楓くん」

「れれさん、早いなぁ」


そこにいたのは、私の未来のバンドでボーカルを務めることになっていて、

私の恋のライバルである三池 玲令。

きっと、れれまるも楓くんの登校時間を合わせてきているのだろう。


「ねむちもおはよう」

「れれまる、おはよう、早いね」


メイクした私を見てちょっとキッと睨みつけて、あいさつをしたれれまる。


「私も楓くんとねむちと一緒に登校していい?」

「ごめん、今日はねむと一緒に登校するって約束したからさ、れれさんは明日以降でもいい?」


これが楓なりの優しさだ。

不器用だし、純粋に優しい。

ここに私は惹かれたのだ。



「ごめんね、れれまる」


その後、罪悪感と背徳感があったが、そのまま楓と一緒に登校した。


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