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お前のHPゲージ全然減らねえな

初めてなろうに投稿してみました。よろしくお願いします!

数多の生徒がどういう趣味なんだと言わざる負えない龍を模した校門をくぐっていく。

 高等部・中等部を同じ敷地内におけるほど広大な校舎、ここは日本でも有数の進学校・龍神学園だ。

 名前は完全に厨二っぽいのにも関わらずその実績は確かで今まで政財界や日本を動かしてきた人材を何人も排出した名門校、それ故普通に聞いたら笑われるだろう学園名を笑うものはいない。というより笑ったら笑った人物の正気を疑われるレベルになる。

 そんなハイスペックスクールの高等部に今年度二人の新入生が入学した。


 1人は短髪の黒髪で本人判定曰く顔は中と上の間位、そしてやる気に欠ける今にも「面倒くせー」と言わんばかりの表情を見せる男子高校生、氷火拓斗


 もう1人は腰まで伸びている銀色よりのアッシュブロンドの髪を持ち、肌も人形を思い浮かばせる白色に近い肌色、海を思い出させる青い瞳を学び舎に向ける女子生徒・三月涼花


 2人はそれぞれの思いを胸に校舎に入ったのだった


 ★


 宝石みたいな人、それが俺、氷火拓斗(ひょうかたくと)がその超絶美人な当時中学3年だった転入生に抱いた第一印象だ。勿論、そんな邪な感情を本人にぶつけたらどんな聖人でも軽蔑の眼で見てくると思うのでそこは自重した。

 だが俺が放っておいても他の男子共は我慢できないみたいだな。

 しかしその気持ちは分からないでもない。


 拓斗はちらりと隣の窓側の席にいる件の転入生を見る。転入生は正に「誰も来るな」というオーラを発揮して窓から見える景色を見ている。

 ただそれだけしかしていないのに本人の内心は置いておいて恰好はとても様になっているのが逆に残念さに歯車をかける。


(愛想がもう少し良かったら友達なんて沢山出来ると思うんだがな)


 そこで拓斗は自嘲気味に首を振った


(いや、俺にそんな事を言う資格はないな)


 自分がそんな事を考えたことに例えそれが一瞬だけだったとしても自分が嫌になる。そんな一瞬の思考を読んだのかは全く分からないが景色を見ていた件の超絶美人な転入生……三月(みつき)涼花(りょうか)がギロリという効果音を付けそうな勢いで拓斗に向いた


「氷火君、今失礼なこと考えなかった?」


「……ナニモカンガエテマセンヨ」


 明らかに棒読みの拓斗に教室の空気が冷える。それは比喩なしに。実際何人かの生徒はそそくさとあったかい空気を求めて教室を出ていく。因みに今は昼休みだ。

 視線を涼花から逸らしている拓斗を見て涼花は眼を細める


「へぇ、そんな棒読みで何も考えてないと」


 お前は忍者かと思うほど物音一つ鳴らさずに涼花は立ち上がっていた。拓斗が立ち上がった事に気が付いたのは空気が若干こちら側に押された感覚がしたからだ。

 空気の乱れで行動が分かるなんてお前もどこの戦闘民族だ


「え……と、な……ナンデショウカ?」


 拓斗は恐る恐ると言った感じで涼花を見上げる。

 今日の涼花は自分の縛ってなかったら腰まで届きそうなほどの銀髪よりのアッシュブロンドの髪をセミロングにしている。そして拓斗を上から目線で見下ろす海のような青い瞳。普通に見る分だとどこかのモデルと言われた方が納得できる容姿なのだが残念ながら(?)モデルではない。

 そして拓斗目線から見ると窓から差し込む逆光でアッシュブロンドの髪が輝いていて、尚且つ青い眼が完全に見下ろしている状態なのでモデルというより「女王様」という言葉が何よりも似あうと思った


「別に? ただ立っただけよ。自意識過剰なんじゃない?」


(今の流れでそれはひでーよ!)


 内心そう叫ぶし恐らく顔にも出ていると思うが涼花は鼻で「ふんっ!」と笑うとクラスメイトの視線を無視し教室を出て行った。

 涼花が出て行った教室は少し春らしいポカポカさが戻って来た。だがそれとは反対に拓斗の精神は疲弊していた。それを証明するかのように机に突っ伏す。そんな拓斗の後ろから声がかけられてきた


「お前は何て三月さんを怒らせるのが上手いんだ!」


 拓斗が恨めし気な表情で後ろに振り返るとそこにはTHE・野球部ですと自己紹介しているような見事な坊主を決めているクラスメイトにして親友の鉄村(てつむら)大智(だいち)がニヤニヤと拓斗を見ていた。


「……お前は何でそんなに嬉しそうなんだ」


「あの三月さんをあんなに怒らせられるのはお前ぐらいだぜ、拓斗?」


 それに反論しようと拓斗が口を開きかけたら拓斗と席が少し離れているもう一人のクラスメイトにして親友の雷同(らいどう)力也(りきや)がいつの間にか来ていた


「確かにそうだよね、他の人は冷たくされるのが常だったのに」


 事実その通りで、去年の中学三年で転入した時はその特徴的すぎる容姿に加えて普通よりも難しいと言われる転入試験をあっさりとクリアしたという事実が涼花を興味の対象にしていた。

 確かに涼花が来てみれば確かに美人だし頭も良いのは嫌と言う程皆思い知った。別にそれだけならばいい。大小あれど「凄い人!」という印象は変わらなかっただろう。事実転入後の初めての中間試験でぶっちぎりで学年1位を取った事からも優秀さは分かる。

 しかし力也が言ったのはその事ではなく涼花の性格にあった。

 涼花の性格は……簡単に言ってしまえば他人に無関心……というよりも他人に期待していなく、他人に厳しく、言葉が割とキツイ

 転入当初は転入生に興味を持った人だかりが出来ていたが涼花がその性格を隠そうとせず皆一歩引いた形になって高校にエレベーター式に進学した後もそれは変わらなかった。


「はぁ、俺の場合は二年も連続で俺の隣の席だったから遠慮が無くなってるんだろ」


「いやだからこそだろ。三月さんとそんなに長く付き合えるのはお前位だぜ?」


 大智が言った通り中学時代、何回か席替えがありその度に涼花の隣になろうとする生徒(主に男子生徒)がいて実際にそうなった事はあるが誰もが長続きしなかった。


 隣になったのを機に涼花にアプローチを試みた男子は涼花に(精神的に)ズタボロにされ当時の教師に席替えを泣いてお願いしたほどだ。だから涼花の隣の席はクラスの中で一番席替えが行われた場所になる。


 拓斗がその名誉(?)ある席に着いたのは別に涼花に惚れたからではない。単純に当時の涼花の隣の席が授業を適度にサボるための場所に最適な場所だったからだ。


 そして高校に進学しまたしても同じクラスになった時の席替えで涼花の隣が自然に空いており偶々じゃんけんで勝ってしまった拓斗が二年間連続で涼花の隣の席になったという訳だ。


「でも実際たいしたものだよ。涼花さんの斬撃にあっさりと耐えているんだから」


「力也、女性の言葉の比喩としてそれはどうなんだ?」


 苦笑い気味の拓斗が涼花の容赦ない言葉を「斬撃」と物騒な表現をした力也を見る。力也は「何か間違っている?」と言いたげな表情で首を竦める。

 しかし涼花に精神を殺された男子の様子を見ると確かに斬撃という表現は強ち間違いではない気がする。

 それにやはり苦笑いしながら拓斗はお弁当を取り出し机を回転させて大智の机とくっつける。それを見て大智もお弁当をだし力也は予め許可をもらっていた拓斗の隣の女子席を回転させ二人の机とくっつけコンビニ弁当を取り出した。


「「いただきます!」」


 三人は一瞬でも自分のお弁当のおかずになっている動物、作ってくれた農家さんに黙祷と感謝を込めて言った後少し遅い昼食を食べ始めた

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