0:破壊の男の過去と未来
"破壊の男"として恐れられた男、フォルネウス。彼は突然ある街に降り立つが、目的は「守るべきもの」を見つけだすことだった。
何故破壊ではなく、守るべきものを見つけるのか?そしてフォルネウスは守るべきものを見つけだし、守り続けれるのか?
………破壊。
全て破壊してやりたい、自らの手で何もかも壊してやりたい。
俺にとって邪魔な存在を…跡形もなく。
俺の名は、フォルネウス・サブノック。
幼い頃は普通の家庭で育った。何にもない、ごく普通の人生…
になるはずだった。
その日は突然やって来た。轟音と爆発とともに俺の村が一瞬で吹き込んだ。俺もその爆発に巻き込まれた。家族も、親友も、俺の育った村が全て…
あの「結晶の怪物」によって全て破壊されたことを…
今でも俺は忘れない。いや、忘れられるはずがない。
俺も爆発に巻き込まれたが、奇跡的に生きていた。
幸い、傷もかなり浅かったが、俺が心配したのは自分の体などではなかった。
家族や友人、俺は必死に探した。しかし見つけるのは爆発に巻き込まれたのであろう、数人の村人の死骸が地面に転がっているだけだった。
そして、見てしまった。
俺の家が爆発による落石によって潰されているのを。
家族も全員、落石の影響によって落ちてきた瓦礫に潰されていた…。その自分の家の近くに、爆発を引き起こしたのであろう、結晶の怪物が村を見渡しているのを。
俺は叫んだ。
「お前か、俺の村を全て破壊しやがった奴は…お前か…?お前なんだなッ!?」
結晶の怪物は、俺にこう言った。
「俺は暇潰しにこの村を破壊しただけさ。暇潰しで破壊して一体何が悪いんだ、俺の勝手だろう?」
許せなかった。何が「暇潰し」だ…
俺はその結晶の怪物に1対1で挑もうとした。
「ゴチャゴチャうるせぇんだよ…!この結晶野郎がッ!」
しかし、結果は惨敗だった。
俺は死闘の末、身体の一部は骨折し、左腕を失う羽目になってしまった。
「ハッハッハッハ…やはり弱いな。
せいぜい絶望して死ぬといい…フフフ…」
あいつに復讐したい。
あいつに勝てる力が欲しい。
あいつを自分の手で壊してやりたい。
俺はそんなことを思いながら3ヶ月も経っていた。
もうそんな感覚もない…あの結晶の怪物の襲撃がつい昨日の事だったように思える。
傷は僅かに残っていた包帯などで応急処置をし、切られた左腕は鋼鉄の鎌に変えたが…これじゃあ駄目だ。
あの結晶の怪物に勝つためには…もっと力が必要だと思う…。
そんな事を考えていた時だった。
「!?…うぐっ…おおッ…!熱い…背中が熱いッ…
何なんだこの熱さは…!」
突然背中に、まるで熱い物を背中に思い切り押し込まれたような痛みだった。痛みは数分で消えた。だが…
その時だった。自分の体から…「力」が溢れだしたことに。
それは俺自信が望んでいた…「破壊の力」だった。
「…ククク…この力なら…行ける…行けるぞ!
奴をこの"破壊の力"で…跡形も無く消してやるッ!」
そして俺は狂い始めたらしい。
何の躊躇もなく村や人を破壊しまくり、的確な決断も出来なくなっていた。だが俺はそれでいいと思った。
いつかあの「結晶の怪物」を自らの手で壊せるなら、良いと思った。
だが、それは10つ目の星を破壊しようとした所で途絶えた。
何故ならば、俺が負けたからだ。
フォギー…。
奴は俺と互角、またはそれ以上だと思う…。
勝てる気が全くなかった。
そして俺は監獄に放り込まれたが、当然俺の中にある破壊衝動が収まるはずがなく、枷を付けられた両足を切断し脱獄を図り、そして成功した。
監獄で見つけた僅かな仲間とともに再びその星を破壊しようと図った。そしてこの星にある強大なエネルギー「星の力」を取り込み、更なる破壊の力を手に入れた。
だが、それでも敵わなかった。
フォギーは別の世界の仲間を引き連れて、俺に挑み、再び俺は敗れたのだ。
何故負けたのだろうか…何故勝てないのだろうか。
そんな事を再び放り込まれた監獄で呟いていた。
だが、その時だった。
「フォルネウス、ここから出たいか?」
誰だと思って顔を上げると、そこにはフォギーがいた。
何を言ってやがるんだコイツは…と心で呟いた。
「…馬鹿か、今はもはや破壊衝動も失せて、脱獄する気にもならねぇよ…出る気はない。」
だがフォギーはこう言った。
「それでいいんだ、フォルネウス。
今からお前を「解放」してやろう。」
するとフォギーは、俺に向かって手を翳した。
だがその時だった、俺の過去の傷が治っていった。
切断された足の傷も、結晶の怪物に切られ鋼鉄の鎌となっていた左腕も、気がつけば元の左腕に戻っていた。
傷が癒されているのか…!
フォギーは言った。
「ただし1つ条件がある。これからお前はある街に降り立ってもらい、守るべきものを見つけて、守り続けろ。」
俺は何秒か経った後に言った。
「……いいぜ、守るべきものを見つけ守れば続ければいいんだな?
乗ってやるぜ、その条件…!」
…そして俺は監獄を出た。
フォギーによる特別な処置によって。
その後、俺はフォギーが言っていたその街に、この星にあるワープゲートを使って行った。
そして俺は、フォギーが言っていたその街に降り立った。
「ここが新たな…俺が滞在する場所か。
面白い…「守るべきもの」…探してやろうじゃねぇか…!」
そして、俺は新たな一歩を…踏み出した。
第1話 完
後書き
(用語解説などはpixivにて掲載してあります。)
(こちらから→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10864374)