前へ目次 次へ 12/45 悲しみの中で 二十分の間で、俺は懐かしい夢を見た。 今の俺ならあり得ない事ばかりで、それだけで心の中が温かくなった。 誰もがそんなことが普通の事だと思っている。 だけど、俺にとってはそんな普通がもう無い。 だから、少しばかり羨ましい。そんな普通がある人たちが。 そんなことを温かくなった心から思い、俺の瞳からは一滴の涙が流れた。 空を見上げたら、全体がくすんで見えて……俯くことしかできなかった。 俯いた俺の視線の先には薄暗い影だけが見えた。