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冬の塔  作者: 櫛之汲 
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2話

ウルプスの街の家々の台所では朝食の調理に忙しい。

そうしながらもとある奥様が石竃でだし汁を煮立たせながらも不満を口にします。

「今年は食糧の蓄えも充分とはいえなかったけれど、もうそろそろ春になって欲しいものだね」

ウルプスの街の十字路で雪かきをする青年も言いました。

「最近は大雪こそ降らなくなったが、寒くてかなわない。こんだけ朝から動いているんだ、ちょっと食べたりないや」


王城では、塔の国の民の主食である米や麦の備蓄の輸出や輸入や生産された食糧分の保存などの管理を行っています。

すでに倉庫に保存されている麦や米の残りが目に見えて少なくなってきていました。王城の倉庫にあるだけが米や麦のすべてではありませんが、塔の国の食糧の蓄えをはかるものとして王城の倉庫にある食べ物の量は、食に関わる政策の重要な指標、目安となるものでした。


その原因は、この惑星の自然により「気候変動」というものによってもたらされたこと天災というものでした。そのためになかなか冬が終わらないのでした。

月日としては春に相当するのにも関わらず気候が冬であるのです。冬の女王様も祭事を終えることができずに今日もまた塔での生活をしています。女王様へ食糧を届けた兵士によれば、冬の女王様は、「季節が冬である限りは、わたしはこのまま塔に住みます」と言っているそうです。王様から命をうけた兵士により、もう何度も一度城に戻るよう冬の女王様には伝えてあるのですが、なぜか冬の女王様は頑なに塔から出ようとはしませんでした。


女王の役に選ばれるのは、塔の国のお姫様たちです。祭事の最中には、女王様は「塔の魔法」を使うことができました。「塔の魔法」を用いると、気候に対してほんの少しではありますが、手を加えることができます。「塔の魔法」を使っても、季節を冬のままにするような大それたことはできませんが、それほど目に見えるような優れた効果はありませんが、気候状態を次の季節へと仕向けることができるのです。今回ならば、冬と春の女王様が揃うのであれば、「塔の魔法」により、冬から春へ「季節の廻り」を少しだけ早く進ませることができます。


そんなこともあり、王様はお触れを出しました。


『冬の女王を春の女王と交替させた者には好きな褒美を取らせよう。

ただし、冬の女王が次に廻って来られなくなる方法は認めない。

季節を廻らせることを妨げてはならない』


そのお触れは、王城とウルプスの街のあちらこちらに板を設けて、掲示され、発表されました。

ウルプスの街には王族住まう館が5廷あります。「春の館」「夏の館」「秋の館」「冬の館」「王の館」です。王様の親族の住まう春、夏、秋、冬の四廷の館です。五廷ともに王城の城壁の中にあります。そのなかでも「王の館」に住まうのは現国王様の家族たちです。「塔の国」の国王と王妃は王城に住んでいます。


お触れは件の「塔の魔法」のこともあり、「春の館」と「冬の館」の家の者に対して、真っ先に伝えられていました。









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