38 光線ペンギン
これまでに出会った中で最も恐ろしい怪異が、商業地区の入り口に出現した。それは見た目こそ普通のペンギンだったが、目から光線を放ち、車や歩行者を次々に撃ち抜いていた。あっという間に辺りには心臓を撃たれた通行人の死体や、タイヤを撃たれて動かなくなった事故車であふれた。現場に駆けつけたルシアがペンギンを真っ二つにして事なきを得たが、それから三日のあいだ、ヘイロー区じゅうにこの光線ペンギンが出現し、多くの死者を出した。あまりに恐ろしい日々で、それからしばらくレオナルドはテレビにペンギンが映ったりすると、嫌な気分になった。
これではいけないと、逆に自分から見に行こうと水族館へ一人で行くことにした。電車に乗って、三駅離れたところにある大きめの水族館へ来ると、あざらしやイルカを見て、さあペンギンへ挑むか、と思ったところ、案内図を見てもいやしない。どういうことかと係員へ尋ねると、この水族館にはペンギンはいないのだという。レオナルドはショックを受け、そして苛立った。ペンギンのいない水族館なんて、ライオンがいない動物園みたいなものじゃないか。そして、もしかするとウェスタンゼルスの動物園にはライオンがいないかもしれないという不安を覚えた。あまりに不安だったので、水族館を出たその足でさらに二駅離れた動物園へ向かった。すると、ライオンがいたので安心した。
しかし、安堵したのも束の間、いきなりライオンが目から光線を放ち、近くにいた小父さんを撃ち抜き、即死させた。猟兵として駆除しなくてはいけないと思ったが、さすがに他のライオンがいる檻の中に入っていくのは不可能だった。ライオンは一発放ったきり沈黙を保っている。もう大丈夫かと思ったが、一応係員に「ライオンの一匹が目から光線を放ち、客を死に至らしめました」と報告すると、無視されたので、帰宅した。




