“ジブラ”
「“資源”は化け物が持っていて、化け物は自然に形成されるみたいだから…まあ、無限にはある状態ね」
「けど、一筋縄じゃダメなんでしょう?」
「強いのや弱いのや…色々いるけれど、こちらが束になって勝てない相手は今のところ目撃されてはいないわ」
あの大きな黒い蜘蛛も、もしかしたら“資源”を落としていたのかもしれない。
「じゃあ、早速“資源”を取ってきてもらいましょうか」
「え、早速仕事?」
「ええ。この地下街の案内は、また別の日に他の者にさせるわ。…今は、ちょっと困ったことになってるところへ向かってほしいの」
サッと、一枚の紙を七月に差し出す。
内容としては、先ほどの説明と同じように“資源”を回収すること。しかし、そこに一つだけ問題点があった。
「…“ジブラ”の妨害?」
「そう。…“ジブラ”については、何も知らないんだっけ?」
「全く」
“ジブラ”。正式名称は、ジェットブラック。つまり“漆黒”という意味。
思い返してみれば、七月が退かせたあの10人の武装兵も漆黒の服装で、黒ずくめだった。
「“ジブラ”は兵の一人一人が強力で…“ユニオン”の兵とは互角以上の力を持ってる。さらには、武器が豊富で色々な武装をしてくる敵がいる」
「あぁ…あの大筒か…」
“ユニオン”の砦の門を破壊したあの大筒。“ユニオン”にあの武器は無いらしい。
「その“ジブラ”が…“資源”の回収を妨害しているのか」
「そういうこと。理由は多分、“資源”を持つ化け物がレアだからでしょう」
「レア?」
化け物は、基本的には真っ黒な姿をしているのだが、稀に白色の化け物が現れる。つまり、レアな化け物はレアな“資源”を持っているということで、“ユニオン”と“ジブラ”は獲物の争奪をしているということだ。
「そこに急行して…仲間の救出? それとも、“ジブラ”を蹴散らす?」
「それはあなたに一任するわ。状況判断は、最善の方に判断できるでしょう?」
「……まあ、やってみましょう」
「よろしくね、七月。必要な物は用意しておくわ。警備兵に言えば受け取れるから」
「了解です」
紙を天歌に返し、地上へと戻る。
そそくさと地上へ戻った後、警備兵に話しかけ、小さなポーチを受け取る。
なぜか睨まれていたが、気にせずに出発することにした。
ポーチに入っていた地図により、迷うことなく現場へ急行できる。ポーチの中身を色々と確認しつつ、森の中へと入っていった。
「……戦闘音が聞こえる。近くか」
音を立てずに音の方へ。しばらくすると、黒服の兵の集団が見えてきた。
「(おっと…裏に来ちゃったか)」
太刀を抜刀する準備をして、また少しずつ接近する。
「(…よし、行く………!?)」
一気に抜刀し、“ジブラ”の兵に接近しようとした瞬間、体が真横に吹き飛ばされた。
「ぐっ…! なんだ!?」
「!? 誰だあいつ!?」
「黒服じゃない、“ユニオン”の増援か!?」
吹き飛び、大きな音を立てて倒れてしまった為、気づかれてしまう。
すぐに体勢を立て直そうとした瞬間、七月は驚愕する。
「あれが…レアな化け物か…!」
ユニコーンのような形をしている化け物。その立派な角からは、電撃のようなものが出ている。どうやら、“ジブラ”が捕獲しているようだ。
「(あの電撃にやられたのか…余計なことしてくれるぜ…)」
とにかく、見つかってしまったのでは仕方がない。
「…殲滅かな」
退くのではなく、七月は殲滅を選択肢として選び、抜刀する。