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第十話「時を操りし支配者」・1

現在の十二属性戦士は照火、爪牙、細砂、雷人、葬羅、楓、雫、残雪、菫の九人。

 十二属性戦士の九人は、時を支配したりなど様々な神秘的な噂の絶えない時の都へとやってきた。

 ここ時の都は、大昔から『時空元の塔』という謎に包まれた塔がある。この塔は、元々大神が作ったとされ、その詳しい話には様々な説が隠されている。また、時空元というのは『時間』・『空間』・『次元』の三つを表しており、最近この建物に隠された“何か”を手に入れる輩が多く出現するとのことで、警備体制を強化しているらしい。そして、十二属性戦士は時空元の塔に辿り着き、その入口の扉を開こうとした。

 と、その時、突然大きな地震と共に扉に手を掛けた雫が弾き飛ばされた。


「ぐわっ!!」


 雫は弾き飛ばされ地面に尻餅をついた。また、それと同時にビーッ!!と警報が鳴り始めた。

 すると、それに気づいた警備員らしき少女がやって来た。


「誰!?」


 警備員は彼らの姿を見て驚いた。


「どうしてこんなところに他の都の人が?」


「私たちは、この時空元の塔に用があって…」


「用?」


 少女は楓の言葉に反応し、少し黙り込んで相手の目を見た。しかし、彼女の真剣な眼差しを見てすぐに安心したのか、はぁ~と安堵の溜息をついた。


「どうかしたんですか?」


「いえ…。分かったわ……どうぞ入って?」


 少女は彼らを中に招き入れた。中は凄く広く天井も凄く高かった。装飾の壁はすごく丁寧で、特に塔の上からぶら下がっている金属の振り子や、別の塔の上から下がっている機械などいろいろな物の完成度が素晴らしく高かった。


「あなたはここで何をしているんですか? 警備員…?」


「ええ…。本来なら私の年では警備員など務まらないのだけれど、他に相応しい人がおらず、仕方なく私になってしまって……」


 少女はロビーの椅子に座り、引き出しから大量のカギがついたキーホルダーを取り出した。

 それを、クルクルと回しながら彼女は未だに鳴り続ける警報の近くにある鍵穴に、たくさんのカギから正解のカギを選び出し差し込むと、半回転させて鳴り続ける警報を止めた。騒がしかった警報音が鳴り止み、そこには歯車の音のみが聞こえるだけになった。


「ふぅ…そういえば、まだ自己紹介をしていなかったわね…。私は『鎖神(さがみ) 時音(ときね)』…。ここ時空元の塔で、管理及び警備員を務めているわ。よろしくね?」


「こちらこそ…」


 十二属性戦士は時音にお辞儀をした。そして、自己紹介も済んだところで彼らは本題に移った。


「実は私達、十二属性戦士を探してて…―」



ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!



 それはあまりにも突然のことだった。突然、大きな地響きと共に地震が起こったのだ。


「な、何だ!?」


「とにかく、皆近くの柱に掴まって!」


 慌てふためく爪牙の言葉に、時音の的確な指示の元、彼らは急いで側にあった柱にくっついた。また、その近くにいなかったメンバーは、ロビーの机の下に隠れて地震が収まるのを待った。




 そして、ようやく地震が収まり、照火が時音に訊いた。


「なぁ、さっきの地震は何なんだ?」


「ああ……あれは、ここの所この付近で起きている地震で、何でも何か不吉なことが起きているって占い師のお姉さんが言ってたわ」


「占い師のお姉さんって……どこかで聞いたような――あっ! 思い出したッス!! 確か、氷の都にもそんな感じのお姉さんがいたような……」


 残雪が腕組みをして唸りだす。


「どうかしたの?」


 菫が彼の顔を覗き込んで訊いた。


「でも、本当にそれって同一人物なんですか?」


「この辺りには、必ず何かの助言を残すと言われている謎の占い師のお姉さんがいるんス」


 葬羅が首を傾げながら尋ねるのに対して、残雪は壁に装飾されたレリーフのある場所に歩いていき、そこで立ち止まった。


「そうだ! この場所の説明しておくわね? この時空元の塔は博物館にもなっていて、品は地下に収められているの。あれを見て? あっちが時間を支配する『時間の置物』が隠された時間の塔…。そっちが空間を支配する『空間の置物』が隠されている空間の塔…。そして、向こうにある彫像の真上にあるのが、すべてのバランスを取る、『次元の置物』が置かれた次元の塔…。それらが合わさって、この場所は『時空元の塔』と呼ばれているの」


 そう言って時音は、十二属性戦士にこの場所の説明をした。それを聞き終えた彼らは、各自見たいところを見回ることにした。すると、爪牙が雷人に腕組みをして言った。


「なぁ、この場所どう思う?」


「ん? 何がだ?」


「どうも胸騒ぎがするんだ」


「そうか……ふっ、奇遇だな。実は私もだ」


 胸の辺りをギュッと掴んで呟く爪牙の言葉に、雷人が視線を上に向けながら言った。


「どうやらここには何かありそうだ」


 爪牙がふと後ろを振り返り、別のところを見ようとしたその時、大音量の爆発とともに、謎の黒い影が姿を現した。


「どうかしたの?」


「分からない…。突然爆発が…――」 


 皆まで時音が言おうとしたその時、菫がシッと彼女に口を閉じるよう指示をした。どうやら黒い影の存在に気付いたようだ。その黒い影は窓ガラスの破片を踏みしめ、中に入ってきた。すると、強い風と共に黒い煙が吹き飛ばされ、そのシルエットが剥がされた。

 その正体はハンセム博士だった。


「ハンセムッ!?」


 雷人はその白衣に身を包んだ彼を見つけるや否や武器を構え、いきなり彼に向かって奇襲を仕掛けた。しかし、ハンセム博士はその攻撃をヒラリと躱し、安全地帯に着地して口を開いた。


「ふふふ……久しぶりだな雷人。あの研究所で別れた以来だな…」


 ニヤリと笑いながら彼は爆風で汚れたメガネを綺麗なメガネ拭きで拭き、もう一度自分の顔にかけ言った。


「まさか、こんなところで会えるとはな……。今ここで仲間の仇を討ってやるッ!!」


「ふん! 無駄なことを……それに今私は忙しいのだ。邪魔をしないでもらおうか?」


 そう言ってポケットから手榴弾を取り出した博士は、ピンを口で取り外し、それを十二属性戦士の足元に向かって投げつけた。



ボガァァァアアアンッ!!!



 という物凄い爆音とともにハンセム博士はその場から姿を消し、辺りは静かになった。


「くそ、どこに行った!?」


 雷人はすっかり冷静さを失い近くを何度も見回した。


「もしかしたら……!」


 時音が何かを思い出したように言った。


「何か思い出したの?」


 細砂が訊いた。


「この時空元の塔には地下があるってことは話したわよね? もしかしたらそこにいるかも…――」


「分かったッ!」


 最後まで話を聞かずに雷人は地下へ走って行った。


「あの人が、あそこまで冷静さを失うなんて……」


 残雪がボソリと言った。


「それほど、あいつは許せない仇なんだろう…」


 照火はそう言って皆と一緒に雷人の後を追った。


――▽▲▽――


「くそ、ハンセム何処に行きやがった?」


 雷人が地下の道を左右を見ながら走って行った。


――▽▲▽――


「…ん? こっちに誰か来るな…。急がねば……これでよし!」



カチッ! …ボォォォオオオオオオン!!



 爆音が地下に響き渡り音が共鳴した。


「あった! これが四枚目の封印の石板…」


 ハンセムが目を光らせ手を伸ばしたその時、「ハンセム!!」と、ようやく雷人がハンセム博士を見つけ出した。


「遅かったな雷人。もう目的の石板は手に入れた。後残り二つで封印を解くことが出来るッ!!」


 彼は喜びに満ちた声で言った。


「一体その石板を使って何をするんだ!?」


 雷人が叫んだ。


「簡単なことさ。“あのお方”を復活させる…」


「はぁはぁ…あのお方?」


 息を切らせながら言う雷人にハンセム博士はニヤッと笑みを浮かべた。

 と、その時、十二属性戦士もやっと追いついた。


「あれは何!?」


「くくっ……これは封印の石板だ!!」


 博士は丁寧に菫に教えた。その言葉に驚愕を露わにする十二属性戦士…。すると、少し遅れて時音がやって来た。


「遅かったのね……でも、なぜここにそれがあるって知っているの?」


 彼女は膝に手を突き呼吸を整えながら彼に訊いた。


「なぜだと? 麗魅様に聞いたからだ!!」


「麗魅だと!?」


 照火が声を張り上げた。すると、彼が自分の主の名前を知っていることに少し驚いたのか、博士が言った。眉毛をピクリと動かして言った。


「ほほう……貴様ら、既に麗魅様に会っていたのか…。だったら話は早いな。それに、これさえ手に入ればここにもう用はないッ!! さらばだ十二属性戦士の諸君、はっははははは!!!」


 高笑いしてハンセムはその場からまたしても姿を消した。どうやら、本拠地と化した夢鏡城へと戻ったのだろう。目的と言われる封印の石板を手に入れたのだから…。そう思った彼らはしばらくその場に立ち尽くしてしまった。


「これからどうするの…?」


 雫が皆に訊いた。すると、ふと雫と時音の目が合った。


「ねぇ……雫君は、以前髪を伸ばしたことはある?」


「えっ? うん……でも、つい最近切ったけど…それがどうかしたの?」


「えっ? あっいや……なんでも。ただ……前髪七三に分けずに後ろ伸ばしたら、少し私に似てるような気がして……」


 その言葉を聞いて、皆は雫と時音の二人を横に並ばせた。なるほど確かに似ている…。


「あっ、ねぇ……楓。ちょっと雫の右側に立ってくれない?」


「えっ、どうして私が…」


「いいからっ!!」


 菫が無理やり楓の手を引き、半ば強引に雫の横に立たせた。雫は二人のあまり年の変わらない少女に挟まれ、少し照れくさくなったのか顔を赤らめた。


挿絵(By みてみん)


「雫、顔真っ赤ッスよ?」


「い、いやっ……ち、違うって!!」


 雫は焦りながら動揺した。


「ちょっと雫、動かないで!!」


 菫に注意を受け、雫は大人しく気を付けをした。すると、楓が小声で彼に言った。


「あまりくっつかないでよ!」


「ごめん……」


 しばらく考えた結果やはり似ている。どうしてこんなに顔が似ているのか謎だ。だが、三人とも確かにお互いどこかであったような記憶がかすかにあるらしいのだ。しかし、記憶が消失しているせいか、その細かい部分までが思い出せない。頭の中にモヤッとした何かが残る。出来れば頭をパカッと開けてその原因となる物体を取り除きたいくらいだ。だが、実際そんなことをすれば死んでしまう…。すると、時音が別のことで何かを思い出した。


「そういえば、私おじいちゃんに聞いたことがあるの。何でも昔、時間の塔のてっぺん付近にある機械調節室に不思議な石板を封印したって…」


 それを聞いた雷人が急に冷静になり、パソコンを使って魔力反応のレーダーを探知するためのソフトを開いた。すると彼はキラリとメガネを光らせ時音に言った。


「恐らくその話は本当だろう…。先程の爆発できっかけが生じたのか知らないが、パソコンのレーダーに微かだが今まで集めてきた石板と似たような魔力反応をキャッチした。間違いない……」


 時音だけではなく雷人にまで言われ、彼らは年上の言うことは正しいと思い、彼らの言う通り時間の塔から上へとまるで天国まで続いているかのような長い長い螺旋階段を上って行った。




「なぁ、おい…。まだつかないのか?」


 照火がゼェゼェと疲れ切ったような声で訊いた。


「うん、後もう少しなんだけど…」


 時音が必死に言っているとバタリと雫が階段に倒れこんだ。


「ちょっ、雫そんなところで寝ないでよっ! 先に進めないでしょ?」


「大丈夫雫君?」


「あ…ぁ暑い」


 彼の言うとおり上に行けばいくほどクーラーが効いていないためすごく暑い。その上、この場所は周りがガラス張りになっており、外からの太陽光線が直に襲ってくるのだ。そのため、それによって熱せられたこの空間はすっかり熱が篭ってしまっていて、蒸し暑い空間へと変貌を遂げているのだ。


「どうしてここはクーラー効かせてないんだ?」


「それが……殆どこういう風に上に上がることがないから使ってなくて、久しぶりに使ったから恐らく壊れかけてたんだろうね…」


 時音がパタパタと服を仰ぎ服の内側へ風を送りながら言った。すると、目の前にベンチつきの広い踊り場的空間が見えたため、とりあえず彼らはそこで休憩することにした。


「雫君! ほら頑張って?」


「うぅ……うん」


 雫は唸りながらも時音に手を引かれ、そのまま引っ張られるようにベンチに連れて行かれ、そのまま彼はそこに突っ伏した。


「あぁ…暑い」


 雫は同じ言葉を繰り返した。


「そんなに暑い暑いっていうから暑いんスよ! 逆に涼しい涼しいって思えば涼しくなるんじゃないッスか?」


 残雪が涼しげな顔で雫に言った。まぁ彼は氷属性のため、自分の体は自分で適度な温度まで冷やすことも可能なのだ。


「残雪は……いいよね…。だって、自分の属性を上手く活かして…体を冷やすことが可能なんだから…」


 雫はベンチの座る部分に右頬をこすりつけながら半目で彼を羨ましそうに見つめた。


「分かったッスよ! じゃあ、これやるッスから!!」


 そう言って残雪は自分の手に作り出した小型の氷を雫の力の入っていない手の平にポンと置いた。その瞬間、彼の手から感覚神経を伝わって一気に血管が冷えて行き、頭の頭脳回路まで冷却された。雫は水属性のため、水関係である氷を使えばそれを使って水にその冷気を送り込み、全身を冷やすことが可能なのだ。


「うおおぉぉおおおおぉッ!! 復活!!」


 雫はガッツポーズをとってその場に立ちあがった。


「きゃあ! ちょっといきなり脅かさないでよ! びっくりしたじゃない…」


 菫が肩をビクッと震わせ言った。


「あっ……ごめん」


「ところで、後どれくらい階段上るんですか?」


 葬羅がふとまだ上に続いている螺旋階段を見て時音に訊いた。すると、葬羅の言葉に細砂が嫌そうな顔をして「え~!? まだ上がるの? もう歩けないよぅ~」と、駄々をこねた。しかし、時音は安心してと言うかのように笑顔でこう言った。


「大丈夫よ! 後は、この先の通路を歩いて歯車の道を進んだ先に行けばいいだけだから……」


 彼女のその言葉に他のメンバーも安心してはぁ~とため息をついた。そして、一息つき終わったところで十二属性戦士は陽の光の届かぬ少し暗い歯車の道を先に進み、歯車調節室へとやって来た。その扉についている金属のドアノブを捻り扉を開けると、中へと入って行った。中は不思議な雰囲気漂う空間だった。空間のあちこちに設置されている歯車は全て止まっており、部屋の外から以外音は全く聞こえないまるで時間の止まったような空間だった。


「随分と静かですね…」


 葬羅が部屋の真ん中辺りまで進み、グル~ッと四方を見渡しながら言った。


「あれはレバー?」


 照火が側にあったレバーの場所に行き、興味本位でレバーを引いてみた。しかし、何の反応も示さない。


「何か引っかかってるのかな?」


 時音が歯車が噛み合わさってるところなどを見た。だが、特に問題はない…。

 と、その時、楓があるものに気が付いた。それは、とてもリアルな(ふくろう)の石像だった。

というわけで、時の都にやってきた十二属性戦士。ちなみにこの時空元の塔は今後も関わってきます。また、ここにも封印の石版の一つが隠されていました。一体、ハンセム博士と麗魅はこの石版を使って何をしようとしているのか……その計画も今後、明らかになると思います。

後編はバトルです。

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