第四話 ヒーロー
「えっとぉ、このグランドチョコレートパフェと…」
明日乃に『半ば強引に』連れてこられたカフェ。
何か話があるのだろうと思った。
しかし。
着いて早々明日乃はこれだ。
「…デラックスパンケーキ、あとぉクリムゾンベリーパフェで!」
…いくつ頼むんだよ…
いくつか不可解な点がある。
まず。
俺の魂能を知っていた。
知っていた?
知っていた…のかな…?
まあ、知ってたんだろう。
知っていれば確かに読心対策は簡単だ。
思考で「逆テレパシー」もできるだろう。
次に。
俺の名前を知っていた。
うーん…
なんかやらかしたか…?
考えすぎると頭が痛くなる…
ふと、目を向けると。
大量の皿に囲まれた明日乃。
「…頼みすぎじゃないですかね」
「人の食事に文句をつけるな」
バリムシャゴクン。
そう…
「なんで俺をカフェに?」
本題に入りたい。
相手に読心は効かない。
何を話したいのかもわからないのだ。
「あぁ、忘れてたよ」
口を拭う。
ニヤリと笑う。
空気が変わった。
声色が変わった。
「じゃあ、逆に質問しよう。なんで」
キミの名前を知っていたのか。
『戸籍に登録していないはずのキミの魂能』えー…通称は「読人術」だったかな?を知っていたのか。
なぜキミをわざわざカフェに誘ったのか?
「見当もつきません」
ジト…
どうしてそんな目で見るんですかね。
「あ、そう…」
見当が外れたような。
一拍。
「単刀直入に言おうか」
一拍。
「キミ」
もう一拍。
「『NAS』という組織を、ご存じかな?」
■■■
26年前になぜ、世界は一斉に『魂能』、『能魔』などという超重要な情報をお出ししたのか。その真相は『新世界魂能社会(New Abilit Society)』という組織にあった。彼らの手腕はある意味で異常だった。政府の黙る「特殊能力」を公開。世界規模での対魂能法整備。対能魔組織『NAS』の設立。現代社会は彼らの活動の上に成り立っていた。
■■■
「そりゃあ知ってます。当たり前でしょう」
「まぁそうだよね」
かちゃり。
デザートスプーンが置かれる。
「私はそこの戦闘員だ」
「高校生で⁉︎」
「学歴不問、未経験者歓迎」
「んなバイトの求人みたいな…」
「でもね、私は戦えないんだ」
「なぜ?」
「規定ではお互いの弱点をカバーできるような相手との二人1組での行動が原則だから」
私はそのタッグがいないのね…
な
る
ほ
ど
?
「なるほど?」
なるほど…
「で、その弱点カバー要員となるのが」
「そう、キミ」
「なんで俺が?って顔してるね」
「してます」
なぜ俺が弱点の補完となるのか。
ただの読心系の能力だぞ。
「朝。能魔に襲われたことは覚えてるよね」
「はい」
「そのあとどうなった?」
「銀髪の仮面の人が倒してくれました」
明日乃は自分の髪を指差す。
ん?
ま さ か …?
「私がそれだよ。気づかなかったの?呆れた…」
ハァ…とため息。
「オホン…キミは私の動きをどう『見た』?」
予測線のことか。
「迷いのない一直線に見えました」
「それが私の問題なんだ」
彼が話したのは、自分の性質。
まるで見てきたかのような。
バイアスのない。
的確な。
「私は防御を鎧に任せちゃうから、こう…突っ込んでっちゃうのね」
そうして度々横からズドン…
だそうだ。
「わかってるならもうちょっと対策したらどうですか…?」
「私のモットーは『やりたいことをやりたいように』だから」
それは答えになってるのだろうか。
「で?」
「キミに『指示役』になってもらいたい」
はい?
「ヒーローだよ」
「目立つのは嫌いです」
「アンチの声が痛いから?」
黙る。
図星である。
「なんかね。分かるんだよ」
ヒーローになりたい、でしょ?
文字数が安定しませんね。
くそーっ!
クリムゾンベリーパフェ、美味しそうですね。
バリムシャゴクン。
わかる人にはわかるかもしれません




