第三話 逃避
人は、想定外が起こると混乱する。
「さっきからジロジロ…見過ぎじゃない?」
彼女…いや彼…明日乃には読心が通じない。
さっき「失礼」とか言われちゃったし…
心の声が読めないから。彼の些細な行動を見てしまう。
「鹿嶋くんはさぁ」
「…なんで名前を知ってるのかな…?」
話せば話すほど不気味だ。
名前は言ってないはずなんだが。
「知ってるよ、鹿嶋有間くん。
なんでか知りたい?」
そりゃあ気になるが…
そりゃあ気になるが…!
気軽に「はい知りたいです」なんて言えるわけが無い。
「知りたいって顔してるね〜」
「うっ…だったらなんですか。そりゃ気にもなりますよ…」
キンコンカンコン…
とてつもなく長い一時限目だった…
■
昼。
ドッと疲れた気がする。
「お昼〜お昼〜♪ごはんの時間だ〜♪」
(………)
思考はやはり読めない。
コイツは全く呑気なものだ。
こっちの苦労も知らずに…
というか。
目立つ。
コイツと話すと自然と目立つ
周りの視線。
非難の感情。
押しつぶされそうだった。
それに横がうるさい。
思考にノイズがかかってるのだが、そのノイズがさっきからザーザーうるさい。
(まーた勝手に人の心を読んでる)
「ねーねー放課後カフェ行かなーい?」
なんと答えればいいかわからない。
取り敢えず無視。
「…オイ、無視してんじゃねぇよ」
「…ハイ」
その返事を聞いて明日乃はコロコロと笑う。
…情緒不安定すぎでしょ。
■
彼の行動はいちいち不思議だった。
寝てる。
めっちゃ寝てる。
授業中はほとんど寝ている。
そう思ってはた目から見ていたら。
「おい鹿嶋ぁ、明日乃のこと見とれてねぇで起こしてやれ」
心外だ。
事実かわいいけど。
コイツ怖い。
「…すみません」
「ふふふっ、おこられてやんの」
眠たそうな目でいたずらっぽく。
小さく。
…もうこいつの魔性だよな。
人たらしだ。
授業の合間にはいつもなんか食べてる。
囲んでる周りの人間。
その会話にテキトーに返事。
毎度毎度大分すごい量を食べていた。
どこから出したのだろう。
カバンはペラペラなはずなのに
「亜夢ちゃん!今日遊びに行かなーい?」
先の「男です!」宣言は誰も聞いてない。
「こんどねー」
今日は鹿嶋くんとカフェに行くからさ…
と付け足す。
余計なことを言うな。
ヘイトがこちらに向く。
「あとで購買いこーぜ!」
「文句言わずにおごってくれるならいいよー」
積んである空の弁当箱。
「あ…ちょっとたんねぇかも…」
「じゃあだめー」
「デートしてくれ!」
「先約があるから無理ー」
そういってこちらをチラッと見る。
だから。
ヘイトを集めないでほしい。
「…誤解を招くような発言はやめてください」
「いいじゃんべつにぃ。デートデート」
こいつは俺をどこまでからかえば気が済むんだ。
そんな思いをはた目に明日乃はいたずらっぽく笑ってた。
■
放課後。
逃げよう逃げよう。
厄介ごとに関わりたくない。
神は無情。
背後から。
明日乃の声が響く。
わかっていた。
そう言われるのはわかっていたのに。
悪寒が止まらなかった。
「ねぇ鹿嶋くん、約束覚えてるよね?カフェ、行こっか♪」
ぎこちなく振り返る。
銀髪が揺れる。
笑顔が眩しい。
目は全く笑ってない。
拒否権はない。
周囲の視線が痛い。
断れなかった。
「……はい」
本日。
二話目。
不定期投稿です。
不定期投稿とはいえ流石にやりすぎたとおもいます。
ゆるしてちょ。
ESN、出してみます。




