第一話続き
行き先のわからぬ電車へ乗っている
季節は冬である。
全く彼は行き先も考えず、ただ電車に乗りたいと言い、断ろうものなら
「電車に乗っていれば、良い曲が作れる気がするんだよ。」
と説得され、仕方なく電車へ乗った。
平日のため人は少なかった。
窓を開けてみると冷たい空気がさーっと入って来たため、
「寒い!!!閉めてよ!!」
と彼に叱られなくなく窓を閉めた。
「景色好きな田舎者だからすぐ窓を開けるんだ」
彼は嫌味のように私に言った。
しかし私はこの嫌味でさえも何も毒と感じなかった
「本当に良い曲が作れるのか?」
「作れるよきっと」
そんな何気ない会話をしていると、すっと自分の脳裏に何かがよぎる。
どこかわからない外国の景色
しかし私はここを知っている
どこだ
ここはどこの国なんだ
「おーい」
はっと我に返り彼を見る
しかし
「なにしてるんだよ、どうしたの?」
彼だ
彼だが…
何か違う…
そうか、これはもしや
「おいこら!聞いてる!?」
また我に返るとそこには現実の彼が怒って私を見ている
「聞いてなかったろ!もう!すぐに君はボーッとして人の話なんか聞いてないんだから」
ぶつぶつ文句を言われながら
私は目を瞑り先程見た不思議な光景を、ゆっくり意識を集中させ、思い返してみることにした。
しばらく目を瞑りパッと目を開けると
やっぱりだ
私は彼を見ながら、そして彼の後ろを見ながら、彼へこう告げた
「君は前世と言うものを信じる?」
彼は目を丸くして不思議なものを見るように私を見た。
「えっ?前世って、あの前世?」
「前世と言うのは君が生まれてくる前の君のことを指すんだ」
「わかるよ、でも、前世がなに?」
「前世はまぁいいとして、俺はお前に言ってないことがある」
「え!?なに!?」
「お前が気味悪がると思って、言わないでいたんだ。ずっと…」
「な、なんなんだそれは、はやくいってよ!」
私は勇気を振り絞り彼に告げた
「俺は…妙なものがみえる、それは時に幽霊であり、妖怪であり、今のように相手のことまで遥かむかしのことから守護しているものから、全てみえてしまうんだよ」
彼は私を見たまま石のように固まった
私はあの頃と同じようにしまった!と思った
終わった
私はまた嫌われる、不気味がられる、なぜ同じことを繰り返すんだ。どれだけ学ばないんだ。彼を失いたくない。急に自分を呪いたくなった。
しかし彼はこう言った。
「おもしろい!!!なにそれ!!はやくいってよ!そんな能力あるの!?どうして今まで黙ってたの!?もっとなにか教えてよ!!」
彼は電車のなかと言うのに大声で私に言った。
私はこんなに嬉しいことがなかった。
ああ、彼は本当に美しい人間だ
彼の目には全てが正直にうつるのだ
彼は差別しない
私はますます嬉しくなった。
そして
別の頭で、私は前世の記憶と繋がり、
そして、私と彼が前世でどのような人生を歩んできたのか…
器用に頭を遣いながら
あの頃に
思いを馳せてみるのだった
そう
そうだったな
この国はベネチアと言うのだ




