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第一話

その男は非に打ち所のない美しい人間である


私は子供の頃から不思議な子で、様々なものがみえた。

例えば近所の友達の父親の後ろに女の人が立っていると言ってみたり、お母さんの前世は兵隊さんだったと言ってみたり、オーラの色を言ってみたりと、今なら当たり前に普通のようなことが、当時では気味悪がられいじめの対象になった。

私はどこにもそれを話さなくなった。

大学に入ると、私は特に友人もできず、ただ勉学に励んだ。友人を作るなんてうんざりだった。どこにもこの能力を話せない、話しても気味悪がられるだけだと思い、押し殺して大学生活を生きてるんだか死んでるんだかわからない様子で過ごしていた。

ある日私の不注意も原因だが歩いていると人にぶつかった。

「ごめんね、大丈夫?」

と声をかけてくれた相手を見て私も返事をしようとした。

すぐに自分の声は全く出なくなり、変わりに目だけがその人を見つめ、そして石のように動けなくなった。


この世とは思えない美しい人だった


出会えた

やっと出会えた

何故か初対面のその人に対しもう一人の自分の声が頭をよぎっていった。

「え、本当に大丈夫なの?」

その声色を聞いて驚いた

「君は男の人なの?」

思わずそう問いてしまっていた

その頃のことを彼も覚えていて、本当に失礼なこと言う、と彼も少し腹が立っていたらしい。

全くもってその通りの態度をされた

「男だけどなに?女みたい?」

美しい顔がどんどん般若のようになっていった

それでも美しさは変わらなかった

私は四谷怪談が好きだが、お岩さんは皆怖がるが私はとても美しいと思っていた。鬼もそうだった。美しいものは姿形でないことを私は既に知っていた。

だから美しいものは歪んでも、壊れても美しいままなのだ。

「ううん、すごくキレイだなと思って。よかったら友達になってほしいくらいです。」

「え!今初めてあって、ぶつかったのに!?」


本当にここまで自分はアホなのかと思う。


しまった!と思った

また気味悪がられる

まずいと思っていると彼は言った


「いいよ!お前おもしろいね!!」


彼は笑顔で私を見てくれた

笑った彼の姿は、これから先私が死ぬまで絶対に忘れないであろう。


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