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魔法少女(24)の異世界転移  作者: ほすてふ
2章 章題未定

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024 スケルトン

 剣を持つ前腕の骨に蹴りによるマジカルパンチで打つと、そこだけが弾かれて飛んでいく。

 剣は地面に落ち、そのスケルトンは攻撃力を失った。

 しかし、それ以外の部分は動き続け、残された腕で掴みかかってくる。


 手ごたえはやたら軽い。だるま落とし以下だ。


 欠落しても堪えた様子はなく、無機質に動き続ける。


 動くための肉もないのに動くスケルトンは完全に物理法則を無視している。


 カシャリ。カシャリ。カシャリ。


 強いかというとそんなことはないが、ビジュアルが嫌だ。

 マジカルナックルが現役のころ戦った敵に、同じような敵がいた。

 強敵だったので苦手意識があるのだ。

 そいつは部位だけ飛んでいくようなことはなかったのだが、おかげで人骨と殴り合うことには慣れている。


 今の敵は一体一体は強くはない。

 しかしこの数に囲まれると別の怖さがある。

 それに簡単には完全に無力化できないのが困る。


 動きはそれほど早くないので囲まれないように逃げながら様子を見ている。


「こんないっぱい出るのって、地下の争いはアンデッド有利なのかしら」


「溢れているのか、避難してきたのか。凍りつけッ」


 マジカルナックルに抱えられているエルエルヴィが魔法を放つと、一体のスケルトンが氷の棺に囚われる。


「一体ずつは非効率ですねッ」


「一部だけ飛ばしてもねえ」


 大腿骨を飛ばせば転んで歩けなくなったが、這い寄ってくる。歩いてくるより不気味である。


 暗くて遠くまで見えないが、エルエルヴィの調光の魔法の範囲外からも音が聞こえる。


 風切り音。


「ひぇッ! 矢よ外れよッ」


 飛来したのは矢であった。

 気づいてすぐにかわしたが、抱えられて自分では動けないエルエルヴィの顔の横を通った。

 エルエルヴィが慌てて何か魔法を使う。

 言葉から効果はわかるが、避けたあとである。


「今の魔法は?」


「他者の魔法の発動に気づけるようになったのですねッ! あたくしの手の届くほどの範囲への飛来物が勝手に外れるようになる魔法ですッ。ただ、あまり重いものには効かないッ」


 それはエルエルヴィを抱えているマジカルナックルの、足の辺りは範囲外では?


 まあ避ければいいかとマジカルナックルは気を取り直し。


「弓矢はよくないかと思ったけど、問題なさそうね。それならそろそろ無力化を考えていこう」


 打撃力は低く、しかし数が多い。

 そしてしぶとい。

 マジカルナックルにとっては面倒な相手だ。


「個別に相手をしては魔力がもたない。まとめて片付ける方法を考えるべきですッ」


「そうだね。大きいのも居るしね」


 人型の骨は今のところ脅威ではない。子供サイズを相手にするとき特に気が引けるが。

 大型の獣の骨はどうだろうか。

 質量があるし噛まれると痛そうだ。ただ、トラックがぶつかるほどではないか。

 マジカルナックルなら大丈夫、何度も繰り返さなければ。

 だがエルエルヴィが耐えられるかというと。



 総合して判断すると、それほどの難関ではない。

 マジカルナックルはそう判断した。


 もっと厳しい鉄火場を経験済みだ。


「エルエルヴィちゃん、木の上に避難して援護をお願い。私を狙うかどうか確かめつつこいつらが木に登れるかも見よう」


「わかりましたッ! 問題なさそうなら大技を準備する」


「お願いね。何かあったら声を」


 轟炎竜との戦いでも樹上から状況を打開した実績があるエルエルヴィだ。

 マジカルナックルが地面に下ろすと、すぐに近くの木に近づくと、どこにいるのかわからなくなった。


 エルフの森への適性を傍から見るとこうなるのか。

 心配はなさそうだとスケルトンたちに向き直る。


 放っておくと音を立てながら近寄り、攻撃してくる。

 今後のためにいろいろと確認したが、今のところ知性も感じない。


 あとは効率的な戦い方を覚えることと、魔法の練習をさせてもらうことにしよう。


 マジカルナックルは、ひとまず距離をとると、左腕から伸ばしたつる草を広く地面に展開した。


「マジカルいばら!」


 マジカルナックルは地面に広く這わせたつる草の領域に、十分にスケルトンたちが踏み込んだところで一気に成長させ、スケルトンたちに巻き付かせると魔力打撃を放った。

 魔力打撃をとげと見立て、今付けた名だ。マジカルパンチに匹敵するだろうとマジカルナックルは自負している。


 同時に主要な骨が破砕され、スケルトンは動けなくなる。


「まだ動こうとしてるのと、動かなくなったのがあるわね」


 つる草を通じて動かなくなったものと、そうでないものがわかる。

 動かなくなったものは頭蓋骨が粉砕されているが、それだけでもだめだ。

 他の部分も一定割合破壊しなければいけない。


 非常に不快だ。

 マジカルナックルは、もっと戦いやすいビジュアルの敵が良かったと思う。

 あるいはそこまでが何者かの狙いなのだろう。

 アンデッドという存在を生み出したものがいるならばだが。

 死者の冒涜というものを、目の当たりにして理解した。


「マジカルウィップ!」


 つる草を束ね、編み、ムチをかたちづくり振り回す。

 まとめてつかむようにしてから魔力打撃を放ち粉砕する。


 ムチというには挙動が違うかな、と思いながら周囲のスケルトンを蹴散らした。


 それでも音は終わらない。


 ただただ大量の数で押す相手なのか。

 それとも、様子をうかがっている知性ある存在が潜んでいるのか。


 そう思っていると風切り音。

 またか、とは思わない。


 矢、だけではない。

 剣が、斧が、槍が飛んできたのだ。


 マジカルナックルはつる草を切り離して飛び退いた。

 つる草のムチを地面に縫い付けられるように武器が降り注ぐ。


「意外とパワーがあるのね」


 矢ならわかる。

 しかし近接武器を十分な威力で投射するのは話が違う。

 魔法少女だからスケルトンは非力に感じるが、通常の防御力であれば危険な力があるようだ。


 一方でエルエルヴィからはなにもない。

 やはり狙われているのはマジカルナックルか。

 単純にエルフの隠形を見破れていないのかもしれないが。


「いるんでしょ、出てきたら?」


 ムチへの対応としての武器の投擲は意図を感じた。

 基本オートで指示があれば従う最下層のスケルトンがいて、指揮する個体が存在する。

 あるいは、判断力の高い集団が混ざっているか。

 投擲が同時だったことを考えると、指揮個体説のほうが優勢だろうか。


 とりあえず話しかけてみたが反応はない。


 まあ、自分でも居場所がばれないようにするだろう。

 返事がないのは恥ずかしいけれども。


「出てこないなら、出てきてもらおうか」


 わからないなら全部やるしかない。


 どちらにしろ、すべて倒すべき敵だろう。


 マジカルナックルは一段ギアを上げることにした。

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