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03話 獣人との初コミュニケーション!

イロウエルさんは驚きで固まっている俺の手を引き、ご機嫌な様子で家の扉を開けた。

 俺は未だに、庭の広さと扉の豪華さに驚いて思考停止している


 『ただいまぁー!イロウエルちゃんが帰ったぞー!』


 おっと…?これには思考停止もさすがに解除される

 あれ?イロウエルさんってこういうタイプなの??さっきまでのイロウエルさんはどちらかといえば頼もしい感じだったのに…?

 イロウエルさんのキャラ変に、いや、こちらの姿が素なのかもしれない、見た目にも合ってるし…とにかく、情報量が多すぎてもう一度思考停止しようか迷っていた頃、奥からコツコツと歩く音が聞こえてきた。


 『イロウエル様、パラシエル様、アルミサエルさん、シーレくん…あ、お客様もいらっしゃるのですね。皆様お帰りなさいませ。』


 奥から歩いてきたのは、ぴょこぴょこと効果音のしそうな耳を生やした少女だった。イロウエルさんと同じくらいの背丈で、服装と先程の口調からしておそらくはこの家の執事的な存在なのだろう。


 『紹介するわ、この子はアジュガ。この家の色々なことを担当してくれてるの』


 あ、口調戻った。だけどアジュガさんを見てる時の顔は全く戻ってない…

 アジュガさんを見るイロウエルさんの顔は孫が可愛くて仕方ないおばあちゃんのようだった。つまりデレデレってことだ


 「こんにちは、アジュガさん…えっと、イロウエルさんの提案で、これからこの家で暮らすことになりました、カドルです。これからよろしくお願いします」


 『…こんにちは、カドル様。こちらこそよろしくお願いいたします』


 俺が軽くお辞儀をするとアジュガさんもお辞儀をしてくれた。

 アジュガさんはものすごく礼儀正しく、年下とは思えないくらいに冷静だった。まぁ、イロウエルさんから俺の説明を聞いた時はさすがに少し驚いていたけど…


 「アジュガさん、呼び方のことなんですけど…」


 『はい』


「俺のことは様付けなんかしなくてもいいですから、好きに呼んでもらって大丈夫ですよ」


 様付けで呼ばれるのはさすがにハードル高いっていうか…ただの高校生だし、なんかむず痒い、、


 『そうですか…でしたら"カドルくん"と呼んでも?』


 くん付け…!?これまでの人生、女子からさん付けか呼び捨てでしか呼ばれてこなかったから違和感がすごい!!


 「はい!大丈夫です!あ、それと、敬語も外してもらって大丈夫です…!」


 『分かりました。では…これからよろしく、カドルくん』


 「よろしくです!アジュガさん!」


 女の子にくん付けで呼んでもらえる日が来るなんて…これが異世界パワー…?!


 『あの、カドルくん』


 「あ、はい!どうしました?」


 『私のことも好きに呼んでもらって平気。それに敬語もいらない…かも。』



 ……どうしよう、女の子をさん付け以外で呼んだことない、、これってちゃん付けしても大丈夫なやつ!??気持ち悪がられたりしない!??

 俺がぐるぐる考えているとシーレに肩をつつかれた。


 「ん、なに?」


 『カドル、早く返事しねぇとイロウエルにぶっ飛ばされるぞ』


「え?」


 イロウエルさんの方を見る。


 『…』


 イロウエルさんと目が合った瞬間に俺は急いでシーレの方に首を戻しシーレの肩を掴む


 『え、なにあれ怖い。なんであんなに怖い顔してんの??』


 俺イロウエルさんに何もしてなくない??


 「はぁ、アジュガの顔見てみろよ」


 アジュガの方を見ると、手を胸元でぎゅっと握り少し俯いていた。その姿は昔の俺に少々似ていた。


「…はっ!もしかして俺がすぐに返事しなかったから…?」


 『そうそう、んで、その姿を見たアジュガ過激派のイロウエルがあんなに怖ぇ顔してんだよ。わかったならさっさと返事してやれ』


 「あ、えと、じゃあ、アジュガちゃん…って呼んでもいいかな…?」


 するとアジュガさんはパッと顔を上げ、少しだけ目を輝かせて頷いた。


 『うん。これからよろしく、カドルくん』


 「うん!よろしく、アジュガちゃん!」


 俺がそっとイロウエルさんの方を見ると、先程までの怖いオーラは無く、にこやかな表情で親指をぐっと立てている。

 ………ああぁぁぁ、良かったぁぁ!もう怒って無さそう!まじで肝が冷えた…

 そう俺が安心しているとイロウエルさんがこちらに歩いてきた。


 『よし、アジュガとの交流も終わったってことで、次はカドルの服ね!』


 「服?」


 『そう。元の世界では普通でも、ここじゃその服装は少々目立つでしょうし、』


 色んなことが起きすぎて忘れていたがけど、俺は寝ていた時に召喚されたから、そういえば部屋着のままだったな

 俺の服装は灰色のパーカーに黒いズボン、至って普通の部屋着だ。


「それにしても、服なんてどうするんですか?」


 今から作るなんてことは無いだろうし…


 『あぁ、今から作るのよ。アジュガが』


 今から作るんかい。って…


 「アジュガちゃんが!!?」


 『そうよ、アジュガは裁縫が得意で手先が器用だから希望を聞いて数時間あれば服が作れちゃうの凄いでしょう!!?』


 勢いがすごいや。


 「ほんとにアジュガちゃんのことが好きなんですね」


 ここまで来たら少し怖いまであるけど…



 『…もちろん。世界で1番よ』



 「…?」


 『ほら、まずは採寸に行くぞ』


 俺はシーレに連れられ部屋を出た。…それにしてもさっきの間はなんだったんだ?

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