第四話 試験
ーーあ、杖忘れた
だが時既に遅し、試験開始時間か刻一刻と迫り、宿に杖を取りに行く時間などなかった
まぁ、剣があるし大丈夫でしょ!杖は杖についてる魔法石で魔力を増幅させるだけだし?実技あるかわからないもの
とにかく紙に書いてる部屋まで行かないと
*
しばらくして
「これより筆記試験を始めます」
試験に関しての説明が終わると、私含む受験者は問題に齧り付くように一斉に始めた。
第1問 一般的に、モンスターの魔石はどこにあるか
これは胸!!でも知能が高いモンスターだと進化の過程で胸以外の場所に魔石があるのよね
ギルドの受付嬢が言っていた通り、どれも常識レベルの問題ばかりで、落とす試験というより、確認のための試験のようだった。
第12問 ゴブリンを解体する際、どのような順番で解体するのが正しいか
ゴブリンの解体とかもあるの…!?!?
えぇ…とにかく勘でもいいから書かないと
うっ…想像するだけで吐き気が……。
なんとか私は筆記試験を終え、実技試験会場へと向かった。
*
「只今から魔力測定を行いますので、こちらに受験番号をお持ちになった状態で三列に分かれてお並びください」
魔力測定…この前測ったのいつだったけ…?
まだ魔力量が固定される二十歳前だから前よりちょっと増えてそうだけど、魔力量多い部類ではあるけど特別多いわけじゃない貴族なら全然居るレベルだし……
あーあ、兄様ぐらい魔力量が多かったらよかったのに〜
「ルシェリア・カリスタリアさん、前へどうぞ」
「はい」
「カリスタリアだってよ」
「カリスタリア?あぁ、なんだっけ?」
「最年少で国宝級魔導士に選ばれた人よ!!」
「でもそいつって男じゃなかったか?あれはどう見ても女だろ」
はい、いかにも私は最年少国宝級魔導士ゼノヴィス・カリスタリアではありません。
私はルシェリア・カリスタリアです。
「ではこの水晶に手を乗せてさい」
「はい」
「適正属性は火、水、風、土、基本的な属性と…氷、雷、の二つの副属性、あと適性があるのは光属性…」
多そうに見えても高位貴族だと平均ぐらいの適性なのは変わらないか…
「精霊に好かれているのですね」
「…そうですね」
兄は渡しに適性がなかった闇、空間、時間も持ってる全適性持ちでしたけどね…!!
どうしてあの人格破綻者が精霊に好かれるのか、今だに理解できない……
「魔力量も平均以上ありますね」
「次は身体測定がありますので、隣の部屋へ向かってください」
身体測定…自信ないかも……
物を持ち上げたり、走ったり投げたり切ったり、先ほどの魔力測定が嘘のように時間も体力も吸い取られる試験だった。
ヘトヘトになりながら、私が近くの休憩スペースで休んでいると受験者の呼び出しが始まった。
きっとこれが合否発表なのだろう
喜んでいる人や落ち込んでいる人、なんとも言えない表情をしている人を見ていたら、あっという間に私の番が回ってきた。
「受験番B307821、ルシェリア・カリスタリアさんでお間違えないでしょうか?」
「はい」