第三話 家宝に等しいもの
ーーコンコンっ
「こんな夜遅くに誰…?」
ドアを開けると、そのノックの主は執事だった。
「私は帰らないわよ」
「連れ戻しに来たわけだはございません、旦那様からお嬢様に渡して欲しいと仰せつかったものを渡しに参りました」
「お父様から…?」
「こちらでございます」
執事から渡されたのは長い何かを布で包んだもの
恐る恐る布を取ると、姿を現したのは一つの剣
「お嬢様はこれが何かわかりますよね?」
「カリスタリア侯爵家、初代当主の持っていた剣…?」
「作用でございます。初代当主様は女性の方で、この剣は従来の剣より軽く、きっとお嬢様でも使えるだろうと旦那様がおっしゃっておりました」
お父様が…?私に家宝に等しい剣を贈った……??
「それと、旦那様からの伝言でございます」
「体にはくれぐれも気をつけて、旅が終わったら無事に家に帰ってこい……と」
「……っ!!」
「奥様は、お嬢様のことを酷く心配されております…定期的に手紙を送ってくださると、奥様も旦那様もご安心になられるかと思います」
「では、私は帰ります。くれぐれもお身体をお大事になさってくださいね」
「……ありがとう…」
私は再び剣を布で包み、眠りについた
*
翌朝、私は受験票と剣を持って会場へと向かう
試験会場には、同じ受験者と思えないほどガタイのいい人や、小柄な人、剣を持ていたり、杖を持っていたりと色々な人がいた
ーーあ、杖忘れた