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【完結】re:どすこい令嬢の華麗なる逆襲~すべてのフラグをぶっ壊せ!~  作者: いづかあい
第8章 孤高の鷹

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第94話 そして、繋がる。


「…第一王子の帰還?」

「ええ!喜ばしいことだわ!そのまま皇位継承もされるみたいで、その衣装の依頼がうちにも来たのよ?!」


バルクは、母の言葉に唖然とした。


「しかも…聖女の、こっこここ」

「そう!婚約者!」

「……っ」


(嘘だろ?!…ヴィヴィアン!!あれ?でも)


「第一王子って…誰?」

「え?」

「だって…次の王位継承権は、レアルド様だろう」

「…レアルド、殿下?」


まるで初めて聞く名前のように、ぼんやりと呟く。


「?…だって、ヴィー…ヴィアンの恋人も、レアルド殿下だし…復活祭だって、神官の役をレアルド殿下がされていたじゃないか」

「復活祭…?その時の衣裳も…うちだったわね」

「ああ。レアルド様の炎のような髪には、金色の刺繍が良く映えるって…母さん、わざわざ鷹の文様を追加で足したよね?」

「炎のような…髪、鷹の模様…」


ぶつぶつと、顎に手を当てながら何かを考え込む様子に、バルクは少し心配になった。


「あ、あの。母さん…?だいじょ」

「職場では、母さんではなく、マダムとお呼びしなさいと言ったわよね?」

「あ…はい」

「……おかしいわね」

「え?!」

「私はなぜ、《《第一王子がいる》》と思い込んでしまったのかしら」

「そんなの、俺だって聞きたいくらいだ…です。だって、確か…だいぶ前に亡くなったんじゃなかったっけ?」


その言葉を聞いて、マダムはくるりと振り返り、バルクの頭をわしゃわしゃと撫でる。


「な、なに?」

「ふふん。私としたことが…自分の作品を否定するところだったわ。そうよねえ、この国の未来を担うに相応しいデザインを!と…レアルド様のご衣裳は私の誇りとプライドをかけて、丹精込めて作ったもの…それを記憶から消し去るなんて、なんていうことなのかしら」

「どうしたの??マダム…」

「バルク。…先を読める商売人とはどんな人物かわかる?」

「え?何を急に」

「急激な変化にも毒されることなく、ミシンで縫うのと同じリズムを崩さずにどっしり構えて現状を掌握する人物…それができれば、何が起きても対応できて、こちらが損をすることが100%ない最強の商売人と言えるでしょう」


損と特で物事を考えることはしないけど、と内心思いつつ、バルクは母の言葉に頷いた。


「そうね…しばらくはうちの店、臨時休業にしようかしら?」

「?なんでまた…一日営業を辞めると二日の赤字になるとか言ってなかったっけ?」

「言ったでしょう?現状を把握することができる者が真の商売人よ。今、王宮では確実に何かが起こっている…なら、我々は今動くべき時ではないわ」


ぱちん、と扇子を開き、マダムはにっと笑った。


「知ってる?いまレアルド殿下は行方不明らしいわよ」

「そうなのか?」

「ええ。……ふふ、しばらくは高見の見物、と行きましょうか。これが無事片付いたら、売り上げは黙っていても倍になって帰ってくるもの~」


そう高笑いをして去っていく母の後姿を見、バルクは首を傾げた。


「とにかく…なんかおかしいってのは間違いないよな?!レアルド様が行方不明なのに、沸いて出た奴と婚約なんて…」


そう言えば、ここ最近続いた雨のせいか、街全体が薄く霧がかかっている。カーテンを開いて外を見、ため息をつく。

そして、ずっとポケットにしまってある、レースのハンカチを取り出した。


「ヴィヴィアン…君は一体、何を考えているんだろう」


遠くで鐘の音が聞こえる。

明日は土曜日…聖女が祝福の日以外に、姿を見せる日である。


「明日…行ってみようかな。礼拝堂」


**


「カサンドラが…魔法使い?」

「そう!」


笑顔で言うアードラを思わず私はにらみつける。

魔法なんて使えるわけないでしょ?!このバカ!!…と叫びたいのを我慢して、ぐっとこらえる。


(確かにその方が話が通りやすい…)


ここにきて、実は異世界から来た人間だった、なんて言えるわけがない!


「そうなのか?」

「ええと…ほんと、アードラにおつかいを頼むとか。なんか、その程度、です…あ!でも怪力はできますよ!ほ、ほら!」


そう言って、思い切りこぶしくらいある石をグーで殴ると、パァン!と景気のいい音を立てて砕け散った。


「おお~なるほど!それかあ」と、ノエルは拍手。

「……へえ」なぜか引いているヘルト。…思い当たるとこでもあったかしら。

「すごいな…私にはできない!」わかりやすい感想を述べるレアルドと…

「…それは、私にはできない…」多分レアルドと正反対の意味での感想を述べるユリウスと…で、私は秘密を一つだけこぼすことにしたのである。


「…私が知っているヴィヴィアンは…赤い瞳で、見えない力で人の心を制圧できる不思議な力を持っているけど、それで誰かを陥れようとしているわけではない…ということくらいです。そして…今はなぜか瞳の色が違う、ってことに気が付いたのは、先日のことでした」


ちらりとヘルトを見ると、ヘルトも頷いた。


「…その力のことはよくわからんが、弟を攫った片眼鏡の男と行動を共にしていた…というのを見た。そして、その片眼鏡の男は」


今度はヘルトの言葉を受けて、ユリウスが答える。


「恐らく、私の亡くなった祖父・ファルケンと酷似している存在のようです。また、その墓はすでに遺体と共に消失しているので…既に亡霊や悪霊と言った類のもので間違いないのでは、と思います。そして…」


続いてアードラが自分でいれた紅茶をすすりながら答える。


「僕がどういう存在かどうかはちょっとわからないから説明を省くとして…僕の容姿はユリウスのお兄さん…ファルケンと同じく、遺体が消失した人物とよく似ているらしい。まあ、使い魔っていう曖昧な地位だし、亡霊と似ているかもしれないね。でしょ?ノエル」


更にその言葉を受け取って、ノエルが続ける。


「俺には特殊な力があって…人の心が読めるわけだけど、あの聖女様がおかしいのは本当だし、いつの間にか第一王子とやらがその聖女様の恋人で、なぜか生きていたという話を聞いたばかりだ。で、俺はそもそも墓荒らしの事件をレアルド殿下に頼まれて、その延長でここにいる」

「?墓荒らし…?」

「ああ、それは…その亡くなったはずの私の兄…ヒューベルトの墓だ。」


それを聞いたヘルトは憤慨した。


「?!そんな大事なことをなぜ…」

「大事なことだからこそ、だ。…王家の墓、アローヴァに立ち入れるのは王家の直系三属のみ。つまりは…犯人はファルケンだと仮定して、奴をアローヴァに招き入れた人物がいるということになる。つまりは現在皇帝を名乗るわが父か、母か…そのどちらかが関与している可能性がとても高い。実際、今王宮は何かがおかしい。それこそ、私がヴィヴィアンのとりこになっていた時のように…カサンドラが彼女の友だと思わされていた時と同じように、既にその力が王宮内全体に浸透している可能性があったんだ」

「…そう、なのですか?」

「…確信はないけれど、ね」

「………じゃあ、先ほどの、アードラの話がそうだとしたら」


(その続きは、やっぱり聞きたくない、けれど…)


「ヒューベルト殿下の遺体を使った生き物が…今、王宮にいる、ということかな」

「!!」


ノエルも苦しそうに答える。

その正体を、私も、ノエルも知っているからこそ…苦しいのはわかる。


「目的は…国家を乗っ取るとか、そういうこと でしょうか」


何か言わないと、で、出した言葉だけど…私のつたない頭ではその程度しか考えられない。

悪い人の思考なんて、理解できるはずがないもの。


「復讐…もしくは報復、かもしれませんね」

「ユリウス…?」

「一応、元は血がつながっていた人間ではありますから…」

「あ…」


そう言えば…リオンとユリウスも兄弟だけど、じゃあ、ファルケンも。

つい、アードラを見てしまうけれど、その表情に変化はない、


「これはヘルト殿にはお話ししましたが、仮面舞踏会、ガーデン・パーティーで使われた薬品は全てフォスターチ家由来のもの…それも、とある時代によく使われた種類の毒ばかり。記録をみても、彼は錬金術という女神神殿とは真逆の【名もなき信仰(ノー・ネームド)】を重んじていたようですし…その信仰そのものを葬った王家と女神神殿に対して反逆の意志を持っていたであろうとは予想ができます」

「でも…ファルケン、フォスターチ公爵家の権限は女神神殿の要の一つだろう?」

「ええ。殿下、真なる復讐とは、どのようなものだと思いますか?」

「……真なる復讐?」


それから続くユリウスの話は、背筋がぞっとするような内容だった。


「ご存じですか?女神神殿内で信仰心が篤いとされている司祭のほとんどは、どこかしらの有力貴族の出身が主で彼らに信仰心はなく、あるのは女神神殿に入って得られる特別な報酬(スペシャル・ボーナス)と、優位性アドバンテージという欲深き信念を求める亡者共の集まりなんです」

「?それは…」


ユリウスは物凄く冷やかに、はてしなく侮蔑を込めて言う。


「支払いの多さ=信仰心は昔からの暗黙のルール。より上位の貴族と縁を結んでの身分の上昇を狙ったり、身寄りのない子供を集めておかしな実験をしたり…近年、我が国では飛躍的に特効性の強い薬品が開発されているのはそう言う理由です。賄賂や差別、格差、信仰、全てが女神アロンダイトの掲げる信仰とは真逆の理念ばかり。女神信仰は既に形骸化してしまっている…その基礎を作ったのがファルケンその人であるなら、立派な()()と言えるでしょう」


(報復…って、復讐とは違う よね?)

どこか腑に落ちない思いをグダグダと悩んでいると、ノエルは何かを察して代わりに応えてくれた。


「血の清算…だな?」


その言葉が出た途端、空気が一気に冷え込んだ。

私自身その出来事自体は、グランシア邸の書斎にあった本を読んだから知ってはいる。でもその関連資料というのがあまり多くなくて、よくわからないというのが本音だった。

それだけ消し去りたい記憶であり、この国の闇の部分を覗くような…そんな恐怖を抱いた、という感想だけ。


「血の、清算…それって」

「女神と錬金と、相反する二つの力が潰しあい、その影響がルベリアムとエイリアス…古来から続く二つの王家と、毒公爵が暗躍してハルベルン()()は一度崩壊しかけた…そんな、継承事件のことだよ」


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