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【完結】re:どすこい令嬢の華麗なる逆襲~すべてのフラグをぶっ壊せ!~  作者: いづかあい
第3章 毒公爵家の夜会へ

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第26話 ラヴィ①


「いやいや!僕は関係ないって!!」

「じゃあなんであんたが突然出てくるのよ?!」


じりじりと近づく私に対し、帽子屋は両手をあげて、降参ポーズをして見せる。


「ほんとだって!僕のモットーはあくまでフェアに!公平に!…だから、この見慣れないボタンを君が押すのを待ってたんだよ!注意しようと思って・・・」

「注意?」

「あ、違う…ええと、なんていうか。これは僕にもイレギュラーだし…そ、その証拠に!直し方ならわかるよ!もう一度そのマークを押すんだ!」


いぶかし気に私はそいつを見る。


「…本当?」


こくこくとうなずく様子に、私はひとまずいう通りにしてみた。

すると…しゅぼん、という間抜けな音共に、私の体系は元に戻った…。


「戻った…!」

「でしょでしょ?…これで、信用してくれるかな」

「カサンドラ!こいつは」

「待って…ラヴィ。一応、話を聞いてみよう」

「え、でも‥‥」


いや、とりあえず…元に戻してくれたわけだしね。

私は一度こいつを信用してみるとして、帽子やに向き合った。


「マッド・ハッター…だっけ?帽子屋、って意味よね」

「そうそう、帽子屋。僕は…ま、ラヴィの兄弟みたいなものかな?」

「冗談じゃない、誰がお前なんかと‥!」

「だーって。君はサポートシステム、僕はバックアップシステムだもんね。似たようなものだろう?」

「バックアップってことは…記録とか、保存の?」

「そうそう!カサンドラお嬢様は話が分かるなあ」

「ゲームというジャンルで考えたとき、チュートリアルをするサポートシステムはラヴィ、セーブとかの保存を帽子屋が…って、つまり擬人化システムってことよね」

「へえ…それ、面白ね」


何でか帽子屋は少しうれしそうに笑った。

パチン、と指を鳴らすとどこからかお菓子がポンッと表れ、ぱらぱらと私の手の中に落ちてきた。


「キャンディーとか好き?お近づきのしるしにどーぞ」

「はあ、どうも。…これ食べれるの?」

「やめた方がいいよ。カサンドラ、そいつは君をあの狭い空間で消そうとした張本人なんだから」


ああ、と私は思い出す。

ならばこの帽子屋は、ラヴィがあの場所から飛び出すきっかけを作った人ということかな?


「なら…感謝こそすれ、恨みはしないから平気だよ。結果的にラヴィはこうして外に出れたわけだしね!別に私は消えてないし、結果オーライでしょう?」

「…カサンドラ…でも」


すると帽子屋は、なんだか変な顔をして長椅子に座った。


「まさかそんな風に言われるなんて、ね」

「まあ…もう二度とあんなことしないでよ」

「約束する。…面白いな、君のカサンドラは」


茶化すように帽子屋はラヴィと私を交互に見た。


「ふ、ふん。当然さ!」


そう言えば、と思う。

人型ラヴィを明るいところで見るのは初めてかもしれない。

帽子屋とラヴィと…二人ともかなりのイケメンだわ。ヘルトとかユリウスとかノエルとか、人外のイケメンばかり見ているけど、この二人もやはり顔の造りが綺麗。


「あなたたちってこの世界で誰かモデルでもいるのかしら?」

「い、今はそんな事気にしている場合じゃないだろう、カサンドラ…」

「ああ、そうだっけ。で、あなたは私になんの用?」

「…ほんとに少し挨拶をしようって思っただけど…」

「さっき言ってたよね、豚マークはイレギュラーって。ねえ、二人みたいに擬人化システムって他にもいるの?」

「それって…もしかして、君が見た、例の片目の紳士のことを言ってる?」

「そう!‥‥どう?帽子屋」


私の問にラヴィと帽子屋は顔を見合わせるが、帽子屋は一度目深に帽子をかぶりなおした。


「…多分僕たちだけだと、思ってたけど。僕のシステム管轄外の出来事だったから…少し自信がない」

「帽子屋の言うシステムってあなた達にはどう見えるの?」

「見えるというか…まあ、情報として知っているというか」


よ、よくわからない。

いや、無理もないかな?


「せめて目的とか情報の一つでもあれば対処のしようもあるんだけど…あ、じゃあ帽子屋、ついでにもう一つ聞いていい?」

「ふむ。まあ特別サービス。構わないよ、カサンドラお嬢様。‥君は面白い」


二っと歯を見せて笑った顔はどこか意地悪っぽくてなんだかトランプのジョーカーを思い出す。


「‥このカサンドラが処刑されるきっかけになったヴィヴィアンとの事件て何かわかる?」

「…前も言っていたね。カサンドラ、どうしてそんなことを聞くの?」

「知りたいのよ。この世界は滅亡を防ぐために私にフラグを壊せというけれど、それがどれほどの意味をもたらすものなのか知らないもんね」


元のカサンドラが生きた場所を乗っ取ったのはこの私。でもそれが彼女の意志によるものなのか?それとも大いなる意志の気まぐれなのだとしたら。‥あまりにもカサンドラが可哀そうすぎる。

せめてどんな理由なのか。それだけでも知りたいのだ。


「‥そうだな。ヴィヴィアンが隠しキャラクターであるヘルトに近づくためにカサンドラと仲良くなったんだけど…と、しか僕には言えないかな」

「ふーん…」

「ああ、僕は一応中立の立場でいたいんだよね。この世界を正しく導くのが仕事だから」

「正しく、ねえ…でも、私は簡単に消えないわよ」

「おお怖い。でも、ラヴィが心配するようなことには決してしないよ」

「‥さっさと帰れ、帽子屋!」

「はいはい、全く…あ、僕に逢いたくなったら、名前を呼んでくれればいつでも参上するからね!ばいば~い」

「はいはい」

「二度と来るな!」


ラヴィが吐き捨てるように言うと、帽子屋はニヤッと笑いシルクハットを被り直して画面の中へ帰っていった。

なんとなく手をひらひらと振り返し、思う。


(…いいな。この人たち、どこでもこれを使って移動できるの?ちょっとうらやましい。)


「全く…カサンドラもあいつを信用したらダメだよ!」

「信用ったって。今回だってろくな情報くれなかったじゃない。本当に中立の立場なのねえ‥とりあえずは、当面はカシルよりもユリウスに集中したほうがよさそうかなあ」


先に起こる色々なことを想像すると本当にうんざりしてしまう。

すると、ラヴィは人の姿のまましばらく私をじっと見つめていた。


「…?なに、どうしたの??」

「あ、いや。君は…僕や帽子屋が怖くないのかなって思って」

「…怖い要素ある?見目麗しいし、攻撃してくるわけでもないじゃない」


まあ、攻撃されたら返り討ちにするけれど。

とは言わないまま、ラヴィの言葉を待った。


「まあ、そうなんだけど。…得体の知れない奴だとか…思ったりしないの?」

「得体の知れない…っていう意味なら、他にも肩眼鏡の紳士とか、ヴィヴィアンとか…色々いすぎるもの。それに比べたら、全然。ラヴィなんて普段ウサギだし」


その言葉にちょっとだけむっとしたのかも。ラヴィは口をすぼめてそっぽを向いた。


「…ウサギはそうだけど、こっちの方が本物だよ」

「ごめんごめん。そうだったね。…でもどうしたの?突然」


こちらとしては首を傾げるばかりなのだが、考えてみれば、ラヴィってある意味生まれたての人間(仮)みたいなものだよなあ。としみじみ思った。

だから、何か突然不安に思ったり、戸惑ったりするのも多いのかもしれない。


「いや、君は帽子屋を見ても驚かないし、きちんとやるべきことわかっているんだな、と思うと…その、凄いなって」

「…それは、だって。私は元の世界ではいい大人だったし。目の前にあることを一つずつきっちりこなしていかないと前に進めないことを知っているだけよ」

「……カサンドラ。その、ごめん。今更だけど…君と初めて出会った時、私はとても失礼なことをしたんだね。本当にごめんなさい」


そう言えば……ラヴィと初めて会った時、彼は元の私の姿で現れてきたのだ。

あの時はなんて奴と思ったけど…今だったらどうしてあんなことをしたのか、何となくわかる。

生まれたての子供じゃあしょうがないのかな?


「いいよもう、別に。それより、お菓子でも一緒に食べる?ほら、さっき帽子屋からもらったやつ…」


そう言って手に持っていたおかしをみて、私は固まった。

「珍しいものだね。…金色の、これは紙?」

「これ…」


(この金色の包装…見たことある。私がこっちに来るとき食べ損ねた、料理長からご褒美にもらった高級チョコレートだ)


きちんと某チョコ―メーカの名前が書いてあるので間違いない。


「…なんで、同じもの?‥それとも、偶然?」

「……?どうかした?」

「…ううん。なんでもない」


私はなんとなく、それを食べずに机の鍵のかかった引き出しに入れておいた。

(なんだろう…すごく、気になる)


「あ えっと、ねえ、今度一緒にその姿で街に遊びに行こうよ、ラヴィ。」

「え?」

「だってこの間の復活祭だって結局人の姿にならなかったじゃない。デートしようよ、デート!」

「で‥でーと??」

「そう!…同性でも異性でも、二人きりで出かけることを、デートっていうのよ。‥あ、もちろん無理しない程度でいいんだけど」


せっかくその大きな体があるんだから、美味しいものだってなんだって、一回は絶対体験したほうがいいに決まっているはずだ。


「う…うん!よくわからないけど、一緒に行こう、カサンドラ」


(あ、笑った。うんうん!イケメンは笑顔が一番よね!)


何て、のんきなことを考えていた‥‥それは、次の日のこと。

珍しく本邸に公爵が現れた。


「カサンドラ。…元気か?」

「ええ、まあおかげさまで。…それで、お父様は何の御用でしょうか?」

「ああ、お前に見合い話を持ってきた」


(…来たわね)


あれだけの結婚の申し込みがあるんだもの。厳選中の厳選の中で、万が一飛び切りに言い縁談があったら絶対公爵本人が持ってくるものだと思っていた。

ふふん、悪いけど、私は世界の滅亡を食い止めるためにも、結婚だの恋愛だのにうつつをぬかしているひまはないのよ!!


「申し訳ありませんけど、私は」

「相手はユリウス・フォスターチだ」

「‥‥は?」


(ユリウスって、あのユリウスのこと?)


思わず絶句してしまった。と、言うかそもそも論…司祭って結婚できるわけ?


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