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【完結】re:どすこい令嬢の華麗なる逆襲~すべてのフラグをぶっ壊せ!~  作者: いづかあい
第3章 毒公爵家の夜会へ

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第25話 真・どすこいモード!覚醒…か?


復活祭が終わり、向日葵や夏の花が咲き始める頃。

私のまわりは様変わりした。

今更ながら公爵はカサンドラの価値を再認識したみたいで、たびたび様子を見に来るようになったのがまず一つ。そして、もう一つは、なんと朝の兄妹鍛錬にクレインのみならず、最近ではフェイリーも参加するようになったのだ。

当初、母親のタリア様はあまり乗り気ではなかったけれど、そこはヘルト兄さまとクレイン二人の説得のお陰で公式(?)的にお許しをいただけた。


(うんうん、家族関係はいい方向に向かっているよね!)


こればかりはクレインに感謝したいくらいだ。今度お礼をしないとね。

そしてラヴィはというと。


「…暑い。この格好にはきつい…」


はじめての夏の日差しに完全に伸びていた。今も日陰で氷枕を抱いてぐったりとしている。


「大丈夫?本当に身も心もウサギなのねえ。…どれくらい魔力は回復したの?」

「うーん、まあそこそこ…。でも、戻ったとして、あそこには戻りたくないからなあ」


今は7月だから、ざっと計算して滅亡カウントも半年くらい進んだ状態かしら?

毎日の鍛錬のお陰で、身体もすっかりとたくましくなり、最近ではヘルトに護身術も習っているのだ。

これで何が来てもとりあえず対処は出来そうである。そんな日々の中、今もっとも私の頭を悩ませているのは


「おっ嬢っ様――♪」


突如として、アリーは嬉々と分厚い本が三冊くらいになる手紙の束を持ってきた。


「うわあ!すごいです、見てくださいこの手紙の山々!!」

「…また?」


そのどれも、驚くべきことに結婚の申し込みだというのだから、シャレにならない。…人生初のモテ期となるわけだけど、全く嬉しくない。


「めんどくさい。もう全部断るか燃やしちゃってよ…」

「燃やすのはダメです!後々面倒なことになるので、キチンとお断りをいれる方が安全ですわ」

「まあ、人として当然の配慮よねー…でも」


所で、この世界の文字は、なんと「英語」である。

さすがゲームというか、なんというか…違和感なく対応はできるけど、一枚一枚わび状みたいなものを書き続けているので、うんざりしているのだ…。


「面倒なのには変わりないじゃない…」


ため息交じりにその束を見る。

これでも、最初は丁寧なお断りの文書も送ったりもしていた。でも、今度は方法をかえて「お茶会」みたいな名目で別の招待状が贈られてくる。

つまり、何が何でもグランシア家とお近づきになりたい。ということらしい。

しかも、よくある設定というかなんというか、この世界において17歳というのは超結婚適齢期。グランシア家は高名な貴族だから、政略的な結婚はしなくても済みそうではあるが。


「これでも大分厳選しているとのことでしたが…」


メイド長のアデイラの言う通り、身分不相応な爵位の家柄の手紙は、どうやらお父様がはねているらしい。…それでこの束になるんだから、実際どれくらいの手紙が届いているのやら。

そうしてお手紙を書いて、丸一日潰れるというのも、珍しくない。

一通り書き終えて伸びをしていると、外はすっかり暗くなっていた。

もうだめだ…一回一休みしよ。


「そう言えば…そろそろ次のイベントがありそうよね。パラメータ!」


この半ゲーム的な世界観にもだいぶ慣れたものだ。

私は夜寝る前、目の前に現れたステータス画面を見つつ、世界の進行状況を確認するのが日課となっている。

イベントカレンダーをチェックすると…どうやら次に起こる最も近いイベントは、7月末にある『仮面舞踏会』らしい。


「仮面舞踏会ねえ。こんなもの、本当にあるんだ…」


現代ではそんなイベントは聞いたことがない。

どこぞの金持ちなセレブたちの間では頻繁に行われているかもしれないが、こちとら一般庶民の勤労学生に過ぎない私には無縁の世界だった。

なので、いったいどういうものなのか…全っ然、全く!!想像ができなかった…。

これに関してはもう来るならとっとと来てしまえ、と思うことにしているので、今のところ全くの無策である。


「で、ヴィヴィアンは…あー…バルクはなぜか好感度は微妙に下がっている」


例のお悩みのせいかしらね?

さて、復活祭を終えてヴィヴィアンと赤髪王子の好感度が爆上がり。MAX200に対して二人の好感度は180を超えている。

バルクは100と下降気味ではあるが、青髪騎士もそこそこ、130くらいと微妙な所だ。レアルド、レイヴンこの二人との仲は順調そのものと言えるだろう。

正ヒロイン様はものの見事に二股驀進中である…となると、バルクはキープなのか?


「これ今さら赤髪王子のフラグ、壊せる?数値だけならEDなんてすぐそこじゃない…ま、でも時期があるからなあ」

「世界の消滅まであと、76%だって。やっぱりヘルト君とノエル君の名前は攻略対象から外れているみたいだね」

「そういえば…ユリウスって、ヴィヴィアンとはどうなのかしら?」


先日会った戦う司祭様を思い出す。

ヴィヴィアンのパラメータ一覧の中、一番低い数値はユリウスで3%…消えていないところを見ると、シークレットフラグは壊せていないようだ。


(ええ…じゃあ、今のユリウスって、初期設定の性格のまま?にしては‥うーん。)


そして、もう一人。ある名前の攻略対象が新たに表示されていた。


「あ、カシル」

「カシル?」


カシルとは、私がまだ出逢っていない最後の攻略対象者。

ヴィヴィアンはもう会っているようで、好感度は20%だった。


「ああ、そういえば公開裁判の時に黄色の髪の子がいた。…彼がカシルかな?」

「最後の攻略対象者かあ‥彼は一体どこに…」

「わかんないな…とりあえずこっちは放置で、自分のステイタスを…」

「昨日甘い物いっぱい食べてたもんね」

「う、うるさいなあ」


ホント、太りやすいというかなんというか。油断するとすぐ太ってしまうのは、現実もこっちも変わらないのね。

さて、この私のステイタス画面は、名前の下に『状態』という項目がある。今は『健康良好状態』。そのほか、身長体重色々数値化されていて、ある意味とっても便利である。


「あ。カサンドラ…体重1キロ増えてる。」

「ぐ…!そ、その分運動するもん!」


などとみていると…ふと、自分のステイタス画面に見慣れないものがあるのが見えた。それは…ピンクの豚のマーク。


「ん?…何この、ピンク色の豚のマーク…」

「何それ?」

「ラヴィですらわからないって…何よこれ?」


ピンクの豚さん。

何だろう…なんか嫌な予感が。


「お、押してみる…?」

「え…大丈夫?」

「うーん…」


ああ。だめだ…好奇心がうずうずと。

私はそうっと指で画面を触れ、タップしてみる。

すると…ぽん!ッと間抜けな音が聞こえ、気が付いた時には…な、なんか苦しい?!何よこれ!!


「うっ…む、胸が!」

「カサンドラ…た、体型が。むぎゅ!」


あれ?なんか潰れた。

はっと気が付いた時には…嘘でしょう。

礼の0・1トン状態。つまり‥‥超絶リバウンド?!している…


「?!!!!」


声にならない叫び声をあげ、鏡の前で茫然とする。


「で、でででで デブに…いや、ふくよかにもどって…」


すると、私の大きな体の下敷きになっていたウサギがもぞもぞと顔を出した。


「ぷはぁ!ど、どういうこと?なんか膨らんだよ?!」

「ラヴィ!これどうなってんの?!」


私はか弱いウサギをがしっと鷲掴みにしてゆさゆさと揺さぶる。

がくがくと揺らされたウサギは、ぐったりしてしまった。


「う…ごめ、そんな…がくっ」

「あ?!ちょ!気を失わないでよちょっと!!!ラヴィぃいい!!」


そして…ウサギは気を失ってしまったのだ。


「……詰んだ。マジ?」


怪力すぎるのは、考え物だよね…。ていうか、これはどういうことだろう。私は一度深呼吸をして、再びステイタスを呼び出した。


「状態…覚醒モード…って何よこれ?」


何が覚醒したのだろうか。他のパラメータに異常はないが、身長や体重のところは全て赤文字に変わっている。


(さっきより質量が二倍に増えたような…でも、なんで?)


思い当たるところと言えば、このピンクの豚ボタンであるが。そもそもこんなもの、いつの間にできたんだろう?

すると、パラメータ画面が突如砂嵐に切り替わった。


「え?なにこ…」


ザザッと一層画面が荒れると、そこから黒い服の人間が飛び出してきた。


「?!!」

「やーっと呼び出してくれたね?!僕のこと!」


砂嵐のゲーム画面から笑顔で現れたのは、ラヴィと似ているような形ではあるが黒の燕尾服に、シルクハットにステッキを持った人間だった。

髪の毛はラヴィのようなふわふわの白髪ではなく、真っすぐな黒髪のお兄さんだった。


「え…ちょ」


すると、私の手の上にいたラヴィがパッと目を開き、突然人型モードに変わって、私の前に立つ。


「マッド・ハッタ―…!!これはお前の仕業か?!」

「おっと」

「ま、まっど・はったー…?」

「お初にお目にかかります、カサンドラ。私の名前は帽子屋(マッド・ハッター)!以後お見知りおきを」


しゃらりと優雅な礼をして、にっこりと笑う。

それに向かい合うように並ぶ白燕尾服のラヴィは…おお、久しぶりに見た。そしてこの黒い服の青年を見た時の率直な感想。それは。


「あ、黒バージョンラヴィだ」

「ちょっと!一緒にしないでほしいな?!」


そう怒んないでよ、ラヴィったら。

そう、怒るべきはこの私。私はすっと立ち上がると、傍にあった枕を思い切りぶん殴った。


「‥‥あの?なんでそんな怖い顔しているの?」


ボスッという音と共に、ふわふわと白い羽が舞い上がる。


「で?これは、あんたの仕業ってわけ?」


そして、にっこりとほほ笑んだのだった。


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