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夢の街  作者: sou
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序章

午前0時、まだ肌寒い季節、周り一面ラブホテルと、何が入っているか分からない雑居ビルに囲まれた街に一人俺はいる


いつからだろう??こんなに暇になったのは・・・


いつからだろう??こんなに毎日がつまんなくなったのは・・・


毎日家でテレビを見てようが、キャバクラでフラフラになるまで飲んでようが、ネットゲームにはまって、一日中ドラゴンの紅玉を集めるために、尻尾切ってようが


毎月サラリーマンの平均給料の40倍から50倍は軽く送られてくる、家から一歩もでなくても・・・


日本中のダメ男もしくは、ニートが夢に見るであろう暮らしを毎日送っている。なのに・・・どうして・・・




プルルルルル、プルルルルルル ガチャ  


桜井    はい・・・


ハル  あーーー俺だけどさ


桜井    あっオ−ナ−お疲れ様です


ハル  おーお疲れねーあのさ金なんだけどさ・・・今月どんな感じ?


桜井    えっと先月より若干売上落ちましたけど、なんとか頑張ってます!!


ハル  そっかー分かった、それじゃ新宿店の分も持って来てよ!!


桜井    分かりました今から用意して持ってきます。


ふーっお仕事終了!!後はアイツに金もらって、帰るだけか・・・


ってこんなんでいいのかオレッ!!今日何したっけ・・・今日の自分の行動を思い出せよ、ハル!!


えっと・・・一時間前に渋谷について、喫茶店でcoffee飲んで・・・それから・・・?それから・・・?


桜井    オーナーお疲れ様ですハァハァ・・・これ今月分です


ハル  おっご苦労さんねーいつもアリガトな!!っでいくら残った??


桜井    えっと2店舗合わせて982万ですね!!


ハル  そっか1000万届かなかったかーまっ来月頑張ろうな!!


桜井    はいっやることは全部やってるんで後は時期次第ですね!!


ハル  あのなー桜井!!そんな言い訳お前以外の誰を店長にしたって言えるだろ!!それじゃお前を責任者にしてる意味ねーんじゃないの!?


桜井    スミマセンオーナー来月は何が何でも1000万の壁越えて見せます!!


ハル  頼むぜー俺に人選び失敗したって思わせないでよん♪


桜井    はいっ・・・スミマセンでした!頑張ります・・・


ハル  じゃっ頼むな・・・


ふー終わった・・・今月もお疲れ様でした・・・俺・・・


いつからだろう?1000万現金で持ってても何も気にしなくなったのは・・・


いつからだろう?月の収入が1000万越えても、まったく嬉しくなくなったのは・・・


ホテル街を抜けてタクシーに乗る、いつもと同じパターンだ!ただいつもと違うことがあるとすれば、ずっと前から気がついていた違和感に目を向けようとする自分がそこにいる事


この金をいっそのこと全部ばらまいたらどうなるかなって思ったりする


この金・・・昔の俺にやったらどうなるかな?別れた女にやるか?それとも地元にいる愛すべきバカ達にやるか・・・


あーーー何でもいいけど・・・あの頃に戻れるなら俺は・・・金なんていらない・・・なんて・・・嘘だけど。


とりあえず誰でもいいから、俺の頭の中から、この『いつからだろう』を消してくれっ・・・







『大ホスト時代』


2001年俺は歌舞伎町にいた


男ならガリ勉から、ヤンキーまで絶対に一度はやってみたい職業、『ホスト』


まぁ安全地帯にいる奴らは否定するだろうが、出来る出来ないを抜かせばすべての男が一度はやってみたい職業だろう




当時の俺は、働きもしないで、母親の店に行き、レジから金をとったり・・・


その金をスロットで全部すってしまい、駅にたむろしてるダセー奴に無理言って金をとったり・・・


金を貸しつけて、なんだかんだ言って金をとったりしていた・・・


そんな人間でいれるギリギリライン


そんな俺にある日母親は言った!!あんたホストになんなさいよと!!


親から言われた初めての嫌じゃない言葉・・・理屈じゃない言葉・・・


母親は嫌いじゃない!!こんな俺を女で一人育ててくれた!!


感謝はしてる!でも・・・でもって奴が俺の中にいて、ただ毎日スロットに行く日々・・・


いつまでもこのままじゃいられない!!そんな事は分かってた!!でも何もできない自分がいて、そんな時言われた母親からの一言


『あんたホストになんなさいよ』


全部の大人を否定してた俺にとっては、唯一信用できる大人の言葉


ほとんどの人が聞いたら、何そのダメな親はって思うだろう!


今の俺でもちょっとやばいんじゃ・・・と思うと思う。


ただその時の俺には、輝いて見えた!


俺をコントロールするために大人達が口にする理屈、俺達子供の言うことは全部屁理屈!!


そんなクソみたいななんの魅力も見させてくれない大人たちの中で、その時うちの脳天気な母親が俺には、みんなに自慢したいくら位カッコ良く見えた。






|『初歌舞伎町』


1週間後俺は歌舞伎町にいた、当時仕事を探すなら、『an』だろっってことで、新規オープンメンバー20人大募集


始めた月から月収100万以上も可!!みんな初めてだから、上下関係一切なしという、んなわけあるかっという胡散臭い広告を信じ歌舞伎町に立っていた


コマ劇場の広場を一歩奥に入るとそこは、何回も来たことのある新宿ではなく


話に聞いて、夢にまで見た歌舞伎町だった


一本道を奥に入るだけで、こんなに輝いてる馬鹿な街があることを初めて知った


その時の俺の目に入るのは、地元の俺の周りにはいない、きらびやかな、着飾ったお姉さんたち、絶対絡んではいけない、絡んだら、逆にお金をとられてしまいそうなイカツイおじさん達


こんなに怖くて、こんなに輝いてる街を俺は知らない


ビクビクしながら、目を輝かせて、俺は一歩一歩この街に入っていった・・・



『面接』


キラキラした道を一本また一本奥へ入っていくと、一際輝く、歌舞伎町の中でも異色の輝きを放つ『愛本店』が目に入った!!


なんだここ!?凄すぎるだろ・・・ここにしようかな?否否否ダメだダメだもう面接良くって言っちゃったし・・・


まっいつか有名にでもなっったら一回くらいお世話になろうかななんて考えてた


愛本を抜けて少しすると、そのビルが姿を表した!


真っ白な大理石の階段!そこにひかれた真っ赤な絨毯!!


ライトアップされた大理石の壁!すべてがそのビルを神々しく演出しているように見えた


ここだ!!此処に来たかったんだ俺は!!!


忘れていた熱いモノが俺の体の中を駆け巡った!!





一人でこれあけれんの?と突っ込んでしまいたくなるようなデカイ鏡の扉!ふちは全部金色!未だかつて、ここまで入りづらい職場を俺は見たことがない!


一旦その扉を開けてしまったらどんな奴が出てくるんだろう?んー考えない方がいい!下手すると帰りかねない自分がいた・・・


えーい男は度胸ここまで来たら行くしかないっ!!ガタガタ・・・


扉を開けると、怖いどころか、ちょっと昔モテた風の、インテリ系おじさまがそこにいた!


ホストをしたことのない俺でも、あっこの人内勤系の人なんだってことが一目で分かった


内勤   あっ面接の子だねー待ってたよ  ニコニコ


ハル どうも、遅くなってすみませんでした!道に迷っちゃって・・・


内勤   全然大丈夫だよ!よく迷わないでこれたね!早速面接しようかな!!


ハル はいっよろしくお願いします。


バイトなんて、居酒屋と、先輩の店のサクラ位しかしたことのない俺は、面接の経験なんて殆どなかった!けどやるしかない!!その時の俺にはそれしかなかった!


内勤   じゃはじめに履歴書見せて


ハル   はいっよろしくお願いします。


内勤   んー高校は行ってないの?


ハル   行ったんですけど、退学になっちゃて・・・


内勤   あーそうなんだ・・・


あー完全に駄目だ・・・嘘でも高校くらい適当に書いておけばよかった・・・


内勤   って言うか、君モテるでしょ!!んーんーイケメンだね!!


ハル   いやっまぁそこそこだと思います!


内勤   そうでしょー週何日位出れるの!?


ハル   雇っていただけるなら、週なん日でも出れますっ


内勤   そっか!!んーんーじゃっ合格で!!


ハル   はいっありがとうございますって、え??合格ですか!?


内勤   そう合格!!申し分ないよ君!!この世界学歴は関係ないから!!大学出だろうが、中卒だろうが、そんなの関係ない!!実力だけがモノを言う世界だからね!!


内勤   じゃ明日からよろしくねっ!!


ハル   はいっよっよろしくお願いします


実力だけがモノを言う世界・・・その本当の意味なんて全く分かってなかった!!


帰り道、明日から始まるであろう、日々にその時の俺はただ胸を踊らせていた。


これから始まる、長く厳しく、でもいずれ最高の財産になる日々だと知りもせずに!!

   













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