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風のカノンに、満天星は色づいて

作者: 逢乃 雫

風の街角に


秋めく樹々の枝先を



色鳥の羽が


彩りながら風にのって



時雨月の空から


頬を流れゆく青北風(あおきた)



日ごとに


煌めきを増していく



メタセコイアの


葉は色づく羽根のように



舞いゆくその先を


見つめる瞳には



地上を照らし


輝きだす満天星紅葉



ひらり きらり


夕影草のシルエットに



明日へと向かう


太陽は南天の


実を夕紅色に染め上げて




めぐり めぐる


風のカノンを聴きながら



紅葉衣(もみじごろも)


羽織るように樹々が



南の空へかざす


枝の先に浮かび上がる



みなみのうお座の星


フォーマルハウト



それは秋の夜空に


最も輝く星



季節をめぐり


そしてたどり着いた



今年の秋も


(そら)を明るく照らして




めぐり めぐる


星のカノンを聴きながら



風に瞬く


秋星の光はやさしく



見守るように


宙の彼方から



オレンジ色に


染まりゆく街で



地上を少しずつ


彩りゆく満天星紅葉




時雨が静かな


雨音を響かせる夜も


あるけれど



こころへとふりゆく


雨にそっとさす


傘があるとしたら



それは人の


こころという傘


そう信じて




めぐり めぐる


風のカノンを聴きながら



短く感じた一日の


日記はきっと


長く描けるように



日々の中で感じる


大切にしたい瞬間



その一つひとつを


こころの中の


白地図に描きながら




めぐり めぐる


星のカノンに心を澄ませて



時雨月の空から


頬を流れゆく時の風



オレンジ色に


染まりゆく街で



こころの宙に


浮かぶ星たちは



風のカノンに


色づく、満天星のように

















今の時期の南の空に浮かぶ、みなみのうお座のフォーマルハウト(アラビア語で「魚の口」)は、秋の夜空を彩る星座の中で最も輝く星とされます。白色で、地平線近くではオレンジにも見えます。


満天星紅葉どうだんもみじ」は、沢山の星のような白い花が春に咲く満天星躑躅どうだんつつじが秋に紅葉することで、ツツジには「努力」という花言葉があります。


時雨月しぐれづきは10月、青北風あおきたは10月頃に吹く北風のことです。「カノン」は、輪唱のように一つの旋律を複数パートで重ねる音楽用語です。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
ドウダンツツジ、紅葉するのですね! 検索してみたら、春の白い花がちょんとたくさん咲いている様子も、秋の小さめの葉が鮮やかに染まっている様子もとても素敵でした。紅葉は大きな木々のイメージが強かったので、…
>風の街角に >秋めく樹々の枝先を >色鳥の羽が >彩りながら風にのって いつも同じ事を言うようで申し訳ないのですが、始めからグイッと引き込まれます。素敵な表現です。 >こころへとふりゆく >雨にそ…
ずっとカノンが流れている中で 青北風が吹き、満天紅葉が浮かび 心の傘が舞い、 そうしているうちに 澄んでゆく心に星も輝いて 雨上がりの夕陽が風に揺れて見えました、 綺麗ですね。 星のカノン、風のカ…
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