あの日の貴方へ
この世界では人に能力が宿ることがある
物を生成する能力、人を操る能力…様々な能力が存在する
これは戦争が起きていた時の話……
「俺たち、カッコイイヒーローになれるかな」
「きっとなれるよ!私たちは強いもん!!」
「約束な!カッコイイヒーローになった時、この指輪を一緒に上に掲げるんだ!」
「約束!!」
そんな会話をしたのを思い出した……懐かしいな
戦争に巻き込まれ、どこに行ったのか分からなくなってしまった…その中で俺は敵に襲われもう…助からないだろう……最後に……会いたかった
「大丈夫?!」
幻聴かな…あの子の声が…
「私が守るから!!」
「能力【生成】!」
俺と敵を阻むように壁が目の前に作られた、なんだ…見覚えがある能力……
「私が守るから!ぜっったい、私が…君のヒーローになる」
「だめ……だ」
あの子だ……あの時…約束した…
「私が"貴方"のヒーローになる!」
能力で剣を…生成した……ダメだ……本当に…死んでしまう…
「来いよ女、2人まとめて殺してやるよ」
「上等!」
剣と剣が混ざり合う音が辺りに響き渡った…あの子は強い……剣術だって、なんだってあの子が1番上だったな……
「っぐ!」
「剣術は良いが力が足りないなぁ!!!!女だからかぁ?!!そのまま腹以外も切り裂いてやるよ!」
動かなきゃ…………俺が……守らないと……
「動かないで! 能力【生成】」
「剣以外も色々使えるんだよ!!!」
「三節棍か…いいねぇ!!!!来いやぁ!!!」
動け……俺……動…け
「さっきより攻撃捌けなくてなってきてんじゃねぇかぁ?!おらおらおら!!!」
「いっ……負け…ないっ!!!!!」
「十分強かったよ、ほら、死ね!」
「能力……【砂神】」
【砂神】 発動期間中死ぬ事が無くなる代わりに発動期間終了後…自身の体が…"崩壊"する
「だ…めっ…」
「【砂刃】」
「はっ……」
喋りきる前に敵の上半身は宙を舞っていた
「安全圏へ逃がす」
抱き抱え俺は人のいない洞窟の中へ走った
「大丈夫だ、ここに居れば誰かが助けに…」
あの子の手が…俺に触れる
「なんで……使っちゃったの……なんでっ……」
涙を堪えきれず泣く顔を始めてみたような気がする…いつも、強かったから
「死ぬことよりも、守れないのが怖かったんだよ」
「っ……」
俺の体が少しずつ崩れていくのがわかった…もう、、長くないと
「から…だ……やだ…やだ……」
「俺の事を守ってくれてありがとう」
「守れて…なんか……」
「守ってくれたんだ、俺にとって最高のヒーローだ」
俺も気付けば涙が溢れていた…死ぬのは…やっぱり……いや…死ぬのが怖いんじゃないんだ、もう会えなくなるのが……怖いんだ……
「ううっ…う……」
「一緒に居れて幸せだった…」
もう、頭以外が崩れてきた
「…私も…幸せだった……大好きだよ……」
「…俺も、大……好き……だ」
数年後
「戦争、終わったよ」
「もう少しで、そっちに行くからね」
墓の前で女性が倒れていた
指輪を墓に1つ置いて