表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1

まだ初心者ですのでつたないところもあると思います。

誤字・脱字を発見されましたら教えて下さるとありがたいです。

 地の果ての果て。そのまた向こう。

 白い塔が声もなく。音といえば吹く風ばかり。砂の囁きも聞こえるという。塔の周りに塔はなく、唯ひび割れた大地だけ。

 ―唯乾き、開けた世界だけ…。

 人跡未踏の地に見えた。けれど塔は人のもの。だから少女はそこにいた…。

 そっと静かにそこにある、姿はまるで硝子細工。人の形の人ではないもの。言うなら、それは、良く出来た人形。

 

 彼女は閉じ込められていた。そこは牢獄。鍵は要らない。本当なら扉も壁も要らないし、窓も大きくてかまわない。例え、幾つあっても変わらないのだし。


 何故かって?


 簡単な事だ。彼女は逃げようとしない。

 いや、それよりも逃げる事など思いつきもしない、と言った方が正しいのかもしれない。

 ともかく、彼女は逃げることを必要としていなかった。

 だからたった一人きりで、膝を抱えて座っていた。

 特に何をするでもなく、考える時は考えて。部屋の変化は窓辺ぐらい。もっとも窓―正確には丸い穴―

はとても高くて、彼女には覗けなかったから、そこから差し込む光だけ。他に時を示すものもなく、あるのは、大きな寝椅子だけ。

 それでも少女は気にしない。無関心なのだ。

 ひたすら座って時を待つ。自分が死せるその日まで。側から見れば狂人のそれ。話しかけるべき者もなし。

 彼女は永き時を生きる者。

 名前はあったが覚えていない。

 ずっと呼んでくれる人がいなかったから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ