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まだ初心者ですのでつたないところもあると思います。
誤字・脱字を発見されましたら教えて下さるとありがたいです。
地の果ての果て。そのまた向こう。
白い塔が声もなく。音といえば吹く風ばかり。砂の囁きも聞こえるという。塔の周りに塔はなく、唯ひび割れた大地だけ。
―唯乾き、開けた世界だけ…。
人跡未踏の地に見えた。けれど塔は人のもの。だから少女はそこにいた…。
そっと静かにそこにある、姿はまるで硝子細工。人の形の人ではないもの。言うなら、それは、良く出来た人形。
彼女は閉じ込められていた。そこは牢獄。鍵は要らない。本当なら扉も壁も要らないし、窓も大きくてかまわない。例え、幾つあっても変わらないのだし。
何故かって?
簡単な事だ。彼女は逃げようとしない。
いや、それよりも逃げる事など思いつきもしない、と言った方が正しいのかもしれない。
ともかく、彼女は逃げることを必要としていなかった。
だからたった一人きりで、膝を抱えて座っていた。
特に何をするでもなく、考える時は考えて。部屋の変化は窓辺ぐらい。もっとも窓―正確には丸い穴―
はとても高くて、彼女には覗けなかったから、そこから差し込む光だけ。他に時を示すものもなく、あるのは、大きな寝椅子だけ。
それでも少女は気にしない。無関心なのだ。
ひたすら座って時を待つ。自分が死せるその日まで。側から見れば狂人のそれ。話しかけるべき者もなし。
彼女は永き時を生きる者。
名前はあったが覚えていない。
ずっと呼んでくれる人がいなかったから。