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Project StarFighter  作者: 菅原やくも


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10/16

No.10

 とにもかくにも、機体の主要な試験も含めて、全てが延期されることになった。

 スターファイター計画の専属エンジニア達は、日々の機体メンテナンスの他にやることが無くなって、やや手持ち無沙汰なようすだった。大佐は他の仕事も忙しく、施設にとどまるわけには行かなったが。教授は四六時中、自身の書類の束に目を通していた。ことに、記憶処理に関するものだった。


 あくる日、リアムは教授に尋ねた。

「教授、一つよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「周りの様子を見たいのです。可能ですか? 自分がどんな場所にいるか知りたいです」

「それはだな、ええと機密事項で、具体的な場所は言えない。軍の基地であることは当然だが」

「そうではありません。視覚的な話です。ここは真っ暗で、何も見えません」

「ああ、そういうことか……ちょっと待ってくれ」

 教授は、ため息をつくとマイクをいったんオフにした。それから部屋にある電話機に手を伸ばすと、大佐へ連絡を取った。

 そうして教授は、リアムから受けた質問を伝えた。

「どうする大佐? リアム君の要望らしいが……」

「うむ」

「カメラは数カ所、機体にあるが、接続を入れるかい?」

 機体下部と上部、後方にもいくつか、各所にはカメラが取り付けられていた。とりわけ機首の下部にある全方向カメラならオペレーターの介入も容易だった。

「そうだな。だが、常にオペレーター側からオンオフができるのが望ましい」

「それじゃあ、機首にある全方向カメラだな」

「分かった。後は頼むよ」

「はい、了解。大佐殿」

 教授は受話器を置くと、先ほどから黙ってやり取りをうかがっていた、当直オペレーターに向かって声をかけた。

「カメラの接続はどうだね?」

「ご指示があればいつでも」

 再び、教授はリアムに向かって呼び掛けた。

「では、リアム君。機体のカメラの接続をオンにする」

「はい」

 オペレーターが操作をしたが、しばらく反応はなかった。

「どうなってる?」教授はオペレーターに小声で訊いた。

「分かりません。モニター上では問題ありません」

 教授はリアムに「どうだね。何か見えるかね?」と聞いた。

「いいえ。なにも変わりません」リアムは淡々とした口調で答えた。

「すまないがね、リアム君」教授はため息を漏らした。「こちらの作業は、手間取っている。景色を眺めるのは待ってくれないかな?」

「はい、分かりました」


 リアムは、これまでのやり取りから、外部で何かしらの作業が行われいるだろう、ということは見当をつけていた。だが、まったくもって、自身の置かれている状態がどうなっているのかは、分からないままだった。

 今は、少しは気分も落ち着いてきていた。だが果たして、自分の意識が、事故のはずみで機械の中に入ってしまうなどという、SFじみたことが起きるのか、訝しい思いがぬぐえなかった。

 だが、現に、こうして自分という意識があるのは確かであった。

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