勇者パーティー選抜試験の結果は……
「また、か……」
掲示板に貼られた、勇者パーティーの選抜試験の合格者リストの中に、僕の名前は無かった。
先日行われていた、新たな勇者パーティーの募集に、僕も応募していたのだ。
「今回も、残念だったね」
掲示板のリストを見つめ呆然と立ちすくんでいると、後ろから募集主の勇者パーティの一員が声をかけてきた。
「申し訳ないが、君には才能がない。悪いことは言わないよ。このまま受かる見込みのない試験を受け続けるより、どこか他のパーティーをあたった方がいい」
「ええ……どうやらそのようですね。ご忠告ありがとうございます」
込み上げる悔しさを必死に押さえながら、苦笑いを浮かべ挨拶を交わした後、いつもの帰路についた。
これで何度目だろうか?
これまでいくつもの勇者パーティの選抜試験を受けてきたが、そのうちの一つも、一次試験すら突破することが出来なかった。
それもそのはず、勇者パーティーのメンバーなど、由緒正しき血統を持ち才能に恵まれるか、生まれながらにして特別な能力を持つ人物以外、普通は務まらない。
これまで必死にトレーニングを重ね、自分なりに努力を続けてきたつもりだったが、何の取り柄のない自分には、才能に打ち勝つことはできなかった。
「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
家に帰ってベッドに寝ころんだまま、大きなため息が漏れた。
「才能、ないのかなぁ」
ボソリと呟いたあと、思わず頬に涙がつたった。
競争に敗れ、疲れた心は簡単には癒えそうにはなかった。