魔王さま、挨拶をする。
挨拶は大事だ。
だが‥
「ピィちゃん、おはよう。」
あぁ‥もうすっかり日も暮れたがな。
まぁいいさ、おまえのおかしな行動は今始まった事ではないからな。
だが本日、何十回目のおはようだ?!
おまえ、今日はそれしか言ってないぞ。
いい加減、やめろ。
耳にタコができた。
「おはよう。」
おいおい、またか?!
えっ‥‥?
どうしたジャンピングボーイ?そんな真剣な顔でオレ様を見る?
「おはよう」
な、なんだ!どうした?!
「‥おはよう」
なんだか、めちゃくちゃ怖いぞ。いつもように、ジャンプして、ヘラヘラと笑え!
「おはよう、おはよう、おはよう」
おい!おはようは連発するものではないだろう?!
うっ…ま、まさかこれは‥呪い?!
おはようとしか言えなくなる呪いなのか?!
でも一体誰が、ジャンピングボーイに呪いをかけたのだ?いや、それよりこの呪いを解く方が先だ。
一体、この呪いを解く鍵とはなんだろうか?
ただの朝の挨拶のどこに、呪いを解く鍵が‥。
あっ!もしかしてこの(おはよう)というの言葉に、何か意味があるのでは?
よし、オレ様もジャンピングボーイのように言ってみれば…呪いを解くヒントがあるやもしれん。
おはよう‥おはよう‥うっ‥言いずらいな。
「オ…ョ…ハ…オ‥ハヨウ。」
よし!こうだな。
「オ、オハヨウ」
フッ…決まったな…。
「キャア~!ピィちゃんが!」
ジャンピングボーイ!呪いが…解けたのか?!
オレ様の(おはよう)を聞いたジャンピングボーイは、叫び声をあげると、隣の部屋からトロールを引っ張って来た。
神妙な顔をしてやってきたトロールは、オレ様の城の前に座ると、ゴクンと唾を飲み込み
「ピィちゃん、お.は.よ.う。」
トロール…おまえもやられたのか!
「ピィちゃん、パパにも言ってあげて!」
やっぱり、オレ様の(おはよう)が、その呪いを解いたのだな。
(おはよう)とオレ様が言う事でその呪いが解けるだな。
あい、わかった。
「オハヨウ。」
トロールの強張っていた顔が満面の笑顔になり
「すごいよ、ピィちゃん!」
当たり前だ。オレ様は魔王だぞ。
「あっ!ママにも‥。良輔、ママにも‥!」
「うん、ママを呼んでくる!」
ママ‥まさかママまでも呪いに?!
任せろ!オレ様が解いてやる!
ママはジャンピングボーイに連れられ、オレ様の城の前に座わると、ほんの少し困ったように笑みを浮かべ
「‥ピィちゃん、おはよう。」
さすが未来のオレ様の右腕。
呪いにかかっても、その落ち着きはオレ様も見習わねばならんな。
ママよ、任せろ。今その呪いを解いてやろう。
「オハヨウ。」
ママは、目を丸くして、トロールとジャンピングボーイを見て
「ほんとだ!ピィちゃんがオハヨウって言ってくれた~。」
そう言うと、ママは頬を赤く染め興奮気味に
「ピィちゃん!すごい~!!!」
この姿になってから、魔力はまだ戻らぬがやはり才能かなぁ。
また困った事があったら、オレ様に言うがいい。
フッフフフ…アハハハ…!!
「ピィちゃん、こんにちわ。」
はぁ?突然ジャンピングボーイが昼の挨拶を言った。
なんだ?!ジャンピングボーイ?
「こ・ん・に・ち・わ。」
ト、トロールまでも…?
「こんにちわ、ピィちゃん。」
ママ?!
なんてことだ。この呪いは一つ解けば、また新たに挨拶をするという呪いか?!
この(こんにちわ)の呪いを解いたら、恐らく(こんばんわ)もあるのだろう。
なんて呪いだ!!
わかった、時間がかかるが解いてやろう。我がしもべ達の為に…。
「コ・ン・ニチ・ワァ」




