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魔王ピィさまの野望  作者: 夏野みかん
8/8

魔王さま、挨拶をする。

挨拶は大事だ。

だが‥



「ピィちゃん、おはよう。」


あぁ‥もうすっかり日も暮れたがな。

まぁいいさ、おまえのおかしな行動は今始まった事ではないからな。

だが本日、何十回目のおはようだ?!

おまえ、今日はそれしか言ってないぞ。


いい加減、やめろ。

耳にタコができた。


「おはよう。」


おいおい、またか?!



えっ‥‥?



どうしたジャンピングボーイ?そんな真剣な顔でオレ様を見る?


「おはよう」


な、なんだ!どうした?!


「‥おはよう」


なんだか、めちゃくちゃ怖いぞ。いつもように、ジャンプして、ヘラヘラと笑え!


「おはよう、おはよう、おはよう」


おい!おはようは連発するものではないだろう?!


うっ…ま、まさかこれは‥呪い?!

おはようとしか言えなくなる呪いなのか?!

でも一体誰が、ジャンピングボーイに呪いをかけたのだ?いや、それよりこの呪いを解く方が先だ。

一体、この呪いを解く鍵とはなんだろうか?


ただの朝の挨拶のどこに、呪いを解く鍵が‥。


あっ!もしかしてこの(おはよう)というの言葉に、何か意味があるのでは?

よし、オレ様もジャンピングボーイのように言ってみれば…呪いを解くヒントがあるやもしれん。


おはよう‥おはよう‥うっ‥言いずらいな。


「オ…ョ…ハ…オ‥ハヨウ。」


よし!こうだな。


「オ、オハヨウ」


フッ…決まったな…。


「キャア~!ピィちゃんが!」


ジャンピングボーイ!呪いが…解けたのか?!


オレ様の(おはよう)を聞いたジャンピングボーイは、叫び声をあげると、隣の部屋からトロールを引っ張って来た。


神妙な顔をしてやってきたトロールは、オレ様の城の前に座ると、ゴクンと唾を飲み込み


「ピィちゃん、お.は.よ.う。」


トロール…おまえもやられたのか!


「ピィちゃん、パパにも言ってあげて!」


やっぱり、オレ様の(おはよう)が、その呪いを解いたのだな。

(おはよう)とオレ様が言う事でその呪いが解けるだな。



あい、わかった。


「オハヨウ。」




トロールの強張っていた顔が満面の笑顔になり

「すごいよ、ピィちゃん!」


当たり前だ。オレ様は魔王だぞ。


「あっ!ママにも‥。良輔、ママにも‥!」


「うん、ママを呼んでくる!」


ママ‥まさかママまでも呪いに?!

任せろ!オレ様が解いてやる!


ママはジャンピングボーイに連れられ、オレ様の城の前に座わると、ほんの少し困ったように笑みを浮かべ

「‥ピィちゃん、おはよう。」


さすが未来のオレ様の右腕。

呪いにかかっても、その落ち着きはオレ様も見習わねばならんな。

ママよ、任せろ。今その呪いを解いてやろう。



「オハヨウ。」



ママは、目を丸くして、トロールとジャンピングボーイを見て

「ほんとだ!ピィちゃんがオハヨウって言ってくれた~。」


そう言うと、ママは頬を赤く染め興奮気味に

「ピィちゃん!すごい~!!!」


この姿になってから、魔力はまだ戻らぬがやはり才能かなぁ。

また困った事があったら、オレ様に言うがいい。

フッフフフ…アハハハ…!!




「ピィちゃん、こんにちわ。」



はぁ?突然ジャンピングボーイが昼の挨拶を言った。


なんだ?!ジャンピングボーイ?


「こ・ん・に・ち・わ。」


ト、トロールまでも…?


「こんにちわ、ピィちゃん。」


ママ?!



なんてことだ。この呪いは一つ解けば、また新たに挨拶をするという呪いか?!

この(こんにちわ)の呪いを解いたら、恐らく(こんばんわ)もあるのだろう。


なんて呪いだ!!


わかった、時間がかかるが解いてやろう。我がしもべ達の為に…。



「コ・ン・ニチ・ワァ」


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