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魔王ピィさまの野望  作者: 夏野みかん
7/8

魔王さま、囚われの身になる。

俺がなにをした!こんなやり方は横暴だ!訴えてやる!





「ピィちゃん、新しいおうちだよ。」


フン!どんなにトロールが可愛く言おうが、これは牢屋だ。


「ママ~。ピィちゃんが入っていた箱、ゴミ箱にパイしちゃうの?」


えっ…す、捨てるのか?


「うん、捨てておいて」


「はーい。」


ちょっと待て!ジャンピングボーイ!!


寝床とトイレが一緒のあの狭い城は嫌だった…だが、住めば都。

体にぴったりのあの箱の狭さが、心地良くなってきたところだったのだ。

タオルを被って寝るのは最高だったのだ!


なぜ、オレ様は投獄されなければならぬのだ!

オレ様が何をした!


ハッ?!


ぁ…まさかあの時、ママから感じた…いや予感はこれだったのか…。

恐らく、あの時ママは、オレ様がママの神聖な場所を汚したと思ったのだ。

だから、オレ様を投獄することにしたのか…。


この世界で一番強いママを怒らしたんだ。


何たる失態。


ママはいつもオレ様に服従しておったので、つい油断をしておった。


やはり…この世界の王。オレ様を油断させるとは…なかなかだ。

くそっ!!だが、魔力が戻らぬオレ様は抵抗のしようがない。く、くやしいが甘んじて…受けねばならぬ。



「ママ、ピィちゃんが自分からカゴに入ろうとしてるぞ?ピィちゃんって賢いな。」


あぁ、賢いさ。この世界のルールに従う事が今は一番だと…悔しいが一番だとわかるくらい賢いのさ。

トロールよ、週末になると酔って帰って来ては、ママに叱られておるが…いつかおまえも投獄されるぞ。


「おうち、ピカピカでよかったね。」


ジャンピングボーイ、この牢は金属だ。ピカピカは当たり前だ。

バカなおまえだったが、オレ様の城の横で騒ぐおまえを見るのが、ほんの少しオレ様の楽しみのひとつになっていたのだが…残念だ。


世話になった。


俺は嘴を使って自ら牢を開けると、頭を入れ落ちてくる扉を背中に受けて、足を牢獄の中へと入れた。


上を見上げると、空は見えなかった。金属の棒に囲まれたここが…この牢獄がオレ様の住むところか…。




「…ホントに入った。」




驚くトロールの声が聞こえたと同時に、ジャンピングボーイがジャンプしながら


「すっごい~!」と叫びだし、ママが困ったように言った。


「自分で出入りできるなら、ゲージの意味ないわね。はぁ~。」


大きなため息をついたママは、オレ様に向かって

「でもせっかく買ったんだから、ここ使ってくれる?」


そう言って、トロールに

「ゲージの出入り口を針金かなんかで止めて、開けててやって。毎回背中にガツンと扉が落ちてくるのは可哀そうだし。」


「だな。」


そう言ってトロールが笑うと、ママも笑い、そしてジャンピングボーイがジャンプした。




その後、何故だか扉が空いている…妙な牢屋となり、オレ様は投獄されたはずなのに、寧ろ前よりも自由にいろんなところに行けるようになった。



だが、わかっておる。これは…ママの罠だ。


今度、失態をすれば…恐らくオレ様は…




「ママ…。ピィちゃんがゴックンってしてるよ。何か飲み込んだのかなぁ…大丈夫かなぁ。」


「その辺の虫でもゴックンしたのかもね。」


「えっ?!ママ~大丈夫なの?!ピィちゃん大丈夫なの?!」



えっ?虫?今、虫って…


えっ?!えええええー!!今度失態をしでかせば…虫をオレ様に食わせるつもりなのか?!

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