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魔王ピィさまの野望  作者: 夏野みかん
4/8

魔王さま、笑う。

この世界では、どうやら…


パパと言われる者が一番下のようだ。






「パパ、お馬さんやって~」

「はいはい。」


ジャンピングボーイのような小者を背に乗せ、笑っておる。馬鹿者め。いや、ジャンピングボーイだけではない、パパと言われるこやつは、ママと呼ばれるものにも弱い。


あれは…数日前の夜。


認めたくはないが、あの勇者にやられて以来、オレ様はあたりが暗くなると、物がよく見えん。

だから、この体を早く元に戻すために、早寝早起きを心得ておる。


あの日もいつものように、ジャンピングボーイとママが、一緒にねぐらに戻ったのを見て、オレ様も眠りについたのだ。睡眠が深くなった頃だ、突然大きな音と共に、外から戻ってきたパパが、酒の匂いを漂わせ、わけのわからん歌を歌いながら、オレ様の城を覗き込み


「ピィちゃん~ただいま~」とほざいたのだ!


お、おまえ!オレ様の眠りを邪魔するとは、おまけに…酒か!この世界に来て一滴とて口にしていないオレ様に…そんな息を吹きかけるとは…第一オレ様はピィちゃんなどと、安易な名前ではなーい!本当の名はもっと威厳があるのだ、ただ、おまえ達に言っても理解できない発音だから、ピィちゃんで甘んじておるのだ!あぁぁ、腹が立つ!そこへなおれ!オレ様が直々に成敗してやる!!!


オレ様の声が恐ろしかったのだろう。ジャンピングボーイの泣き声となだめるママの声も聞こえてきた。


まぁ、関係ないジャンピングボーイには可哀そうなことをしたと思っておるが、このパパとやらが…悪いのだ。


だが、このパパはまだ呑気に歌を歌っておる。


酔っ払いにはオレ様の恐ろしい声が効かぬのか?!

忌々しい奴め。オレ様の魔力が戻らぬから、舐めておるな。フン、おまえのような小者にはオレ様のオーラが見えぬのだな。ジャンピングボーイはオレ様の声を聞いて、オレ様の恐ろしさを感じたのに‥やはりパパとやらは魔界のトロールと同じだな。


オレ様はパパに、いやトロールにそう罵ってやった。


ようやく、オレ様の声にびびっていたジャンピングボーイの泣き声がおさまった頃、ママが出てきた。


ママはオレ様の前に歩み寄ると跪き

「ごめんね。ピィちゃん。眠っていたところを起こされちゃったんでしょう。ほんとにごめんね。」


まぁ、おまえがそこまでいうのなら‥。

しょうがない、トロールを許してやろう。


そう言ってやるとママはにっこり笑った。


そして、ママはトロールに向かって静かに言った。

「何時だと思ってる?」


それは抑揚のない声だった。


こ、この女‥!

感じる‥。

恐ろしいオーラをこのママとやらから感じる。


さすがにトロールも感じたようだ。

陽気な歌と一緒に、唾を飲み込む音がした。


「ご、ごめん、ちょっと飲み過ぎたみたい。」


「ピィちゃんを起こし、良輔を起こし、そして私を起こして‥何をさせたいの?」


「いえ、なにも‥。」


ママはトロールに氷のような笑みを浮かべ

「だったら私、休ませてもらいます。」


「は、はい、ごめんなさい。」






あの夜は‥

この世界のカースト制を見た夜だったな。


しかし、ママという女‥なかなかの人物。


だが‥


フッフフ‥。


ジャンピングボーイよりも、あのパパというトロールにも強いママだか、オレ様に絶対服従なのだ。


つまりママは、オレ様のしもべということだ。


俺にだけはあの氷のような笑みは浮かべないし、オレ様に話すときだけ、声色が優しくなる。

まぁ、オレ様は魔王の時からモテてはいたがな。


先日も、俺の城を掃除するママに「ご苦労であった。」ひとこと言ったら、それは嬉しそうに笑ったぞ。


よく働くし、私を敬っている。可愛い奴だ。


いずれ、魔力が戻った折にはママを、オレ様の右腕にと考えおる。


ママ(魔魔)よ。これからも私に尽くせよ。

魔力が戻れば、礼は倍にして返してやるぞ。





フッフフ‥アハハハ!






「ママ~!ピィちゃんが変な声で鳴いてるよ!ママ~!」


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