魔王さま、降臨➁
目が覚めたら、先ほどのジャンピングボーイがオレ様を見ていた。
…?
なんか変だ。あの太っちょオヤジもいない。ジャンピングボーイしかいないようだ。
グルリと周りを見渡すと、どうやらオレ様は、箱のようなものに入っている。
オレ様はなんで箱に入っておる?厚めの布のようなものを掛けられ…下には紙を敷いて?
「ウンチ…しないね。」
はぁ?
「お店のおじさん、小鳥さんが目が覚めたら、ウンチをするよって、言っていたけど…」
そう言って、オレ様の足元の紙をガサガサと触りだした。
こ、これは…まさか…この紙はまさか…ここで用を足せと?ここでか?!この紙の上でか?
あの太っちょオヤジの拷問の中で…尻を刺激され…オレ様は…用を足すという辱めを受けたことがあった。
だが!寝るところで用を足すというのは、あのオヤジよりひどいではないか!まだ寝床は綺麗だったぞ!
「ママ~!小鳥さん、ウンチしないよ。大丈夫かな。」
「まだ、起きたばっかりだからよ。」
「…うん。ねぇ小鳥さん、早くウンチしてね。」
なんでおまえに、オレ様の…排泄を…頼まれなくてはならないのだ!
…なんてことだ。
この世界を征服して、しもべ達を、勇者をボコボコにしてやると誓ったこの決意が…だんだんと崩れ行きそうだ。
「おうち…気にった?ピィピィって…気に入ったといってるの?」
こ、こいつ!!ここのどこに、気にいる要因があるというんだ!言ってみろ!
子供のくせに、オレ様を追い込むような拷問をするとは…なんて世界だ!!
「小鳥さんって、おしゃべりなんだね。可愛い」
いかんいかん…。今はまだ魔力も体力も回復していないオレ様は、悔しいが何も出来ぬ。誰かに世話をしてもらわぬと…生きて行けない。だから、静まれ、怒りよ静まれ。相手は憎き勇者を生んだ世界の者だが、まだ…子供だ。
それに言うではないか、真摯に向き合えば、例え…話が通じぬ者とでも、心は通じると…。
フゥ~よいか、ジャンピングボーイよ。
確かに今のオレ様は、まだ目も良く見えぬし、四肢も自由に動かぬから、おまえたち人間の世話にならねばならない、だからある程度は目を瞑っておる。我慢しておるのだ。このオレ様がだぞ、だが、寛大なオレ様とて我慢できることと、できないことはある。それが寝る所と排泄するところが一緒、これは我慢できぬことだ。
ジャンピングボーイ、もしお前の枕の横にウンチがあったらどうだ?
わかるだろう、オレ様の気持ちが…。
「小鳥さん…。」
そう言って、オレ様を見るジャンピングボーイ。
その真剣な眼差しにオレ様は口元を緩めた。
伝わったようだな。やはり真摯に話せば種族を超え、心は通じるのだ。
フッフフフ…アハハ…。
「ママ~!やっぱりウンチでないよ~。綿棒でコチョコチョする?」




