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魔王ピィさまの野望  作者: 夏野みかん
1/8

魔王さま、降臨①

「ここまでだ。もうあきらめろ魔王。」


「勇者と祭り上げられておるが、たかが異世界からやって来た人間ではないか!そんな人間ごときにひれ伏す言葉など持ってはおらん!」


そう叫んだオレ様の後ろで、魔城が…オレ様の城が、大きな音を立てて崩れていった。


魔界歴9758年、2月。

数千年続いたこの王朝が、勇者によって終わろうとしている。


「魔王。おまえのしもべ達はもう誰ひとりいない。おまえの魔力も、もう底を突く頃だろう。」


悔しいがその通りだった。

しもべ達は、ことごとくオレ様を裏切り、逃げて行ったのだ…最後の最後でひとりになるとは‥。



うっ‥そう思ったら、絶対、ぜっ~たい死にたくない!



くそっ!!あいつらを見つけ出して、ボコボコにしてやる。そしてあいつらを唆したこの勇者も、体制を整えたら、ボコボコにしてやる。


オレ様は勇者を睨みつけ

「必ず、戻ってくる。首を洗って待っておれ!」


カッコよくマントを翻し、残る魔力を全て使い、オレ様は旅立った。


そう、カッコよく旅立った。


…が、


たどり着いたのは人間の世界。勇者を育んだ世界だった。

そして、なんとカッコイイオレ様の姿は…。魔王の頃とは全く異なる姿になっていた。







「さし餌をしてますから、手のりになりますよ。」




あぁ、この声はあの太ったオヤジだ。

まだ目がよく見えないが、このオヤジのフォルムはわかる。

だが侮ってはならない。この男、どんくさいながらも拷問に長けているのだ。


拷問…


それが始まったのは、この世界へとたどり着いた日。

その日は絶望に打ちのめされ日でもあり、秘やかな情熱が静かにオレ様を満たした日でもあった。


今でも思い出す…。


魔力を使い果たしたオレ様は、しばらくはこの硬い殻の中で魔力を回復しようとしていた。だが、顔を殻にぶつけたひょうしで、殻にひびを入れてしまい、殻は崩れ落ちてしまったのだ。


魔力はまだ…回復はしていなかった。


だからオレ様の体は思いもよらぬか弱い姿で、この殻からでなくてはならなくなってしまったのだ。



ショックであった。

あまりにもかよわい姿に、オレ様はがっくりと肩を落とした。


でも匂いを感じだのだ。あの勇者の匂いを…。


それでここが、あの勇者を育んだ世界と知り、魔界に戻る前にまずはこの世界を、勇者を生んだこの世界を、征服してやると!


フッフフフ…。あの時、新しい決意が生まれた。


 

そう決意したら妙に腹が減り、とりあえず、オレ様は口に触れるものはなんでも飲み込んでいた。

だからだろう。うっすらと見えたこの男の指が、太くてうまそうなウィンナーに見えてしまい、思わずパクってやってしまったのだ。


その後からだ。

この男は今日まで…ベちゃとしてマズい黄色い穀物を無理矢理、口の中に押し込むという拷問をオレ様にしている。


勇者でなくとも、オレ様を苦しめる事ができるとは…。

恐るべし、勇者を生んだ世界!


だが、この世界の人間はオレ様を甘く見ていたようだ。なぜならあの拷問を受けてから、オレ様の体はたくましくなってきているのだ。きっと拷問に耐えることで、強靭な肉体を得たのだろう。


バカ者めが…フッフフフ…アハハ…





「手乗りになるの?じゃぁママ、この子に決めた。」



ちょっと考え事をしていたら…。こやつ、今…オレ様を見て何か言ったな。

何を言った?手乗りとはなんだ?だいたい決めたとはなんだ?この子供は何を言っているのだ?



ぼんやりとしか見えない目を細くして、じっとその子供を見ると、ニンマリした顔で子供が叫んだ。

「あっ!僕を見てる~!きっと僕の事が好きなんだ。」と言いながら、なぜだかジャンプをし始めた。


えっ?…いや、それはない。

ジャンプを意味なくする者を好きになどならない。

第一、初めて会ったおまえに、どうして愛情を感じるんだ。


ただおまえが、オレ様を見て何か言うから、気になっただけだ。


どこの世界でも、子供の言動はさっぱりわからん。

あぁ、考えるのも面倒だ、早く体力をつけ、魔力を取り戻して、この世界をわがものにしてやる。



フッフフフ…。


「あっ?!ママ、見た?!僕を見て、ピィピィって鳴いたよ。やっぱり僕の事が好きなんだ~。」


…いや、だから違う。


あぁぁ、もういい。相手をするのもキツイ。オレ様は寝る。

ほのぼのとした作品を書くのは初めてなので、どうなるのか心配ですが、のんびりと長く更新して行けたらと思ってます。よろしくお願いします。


恋愛物も新しい作品を近く投稿しますので、そちらもよろしくお願いします(汗)

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