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二十五話「俺、スケルトンドラゴンに出会う。ついでにメリッサとも」

 城の上空は風が強く寒い。それでもゾンビである俺はそれを苦には思わなかった。


 空の編隊はドラゴンを先頭にワイバーンゾンビが八の字となって追いかける。


 飛んでまもなくドラゴンゾンビらは敵部隊の中央に差し掛かっていた。


 そうなるともちろん、敵から火炎球や火炎放射が下から襲い掛かってくる。その中を、ドラゴンゾンビらは急降下した。


 落下の後、地面に激突する前に体勢を立て直して低空を飛ぶ。そして、その高さで俺以外の背中のゾンビ全てを解放したのだ。


 敵は混乱した。敵の中央部では長槍を持つ兵士は少なく、魔法使いや弓や石弓の遠距離攻撃の兵士が多い。接近戦は苦手とするところだ。隊形を立て直す間に、次々とゾンビが生産されていき、ゾンビと困惑は部隊全体に伝染していく。


 それからはゾンビのピストン運送だ。ひっきりなしに敵の弱点目掛けてゾンビを投入し、ゾンビは鼠算的に増える。敵の部隊は穴だらけに感染が広がり、ゾンビパンデミックの初期のような状態になる。


 迎撃に敵のワイバーンも出てきたが、大したことはない。ワイバーンはドラゴンゾンビを恐れて近づかないし、逆にこちらから襲い掛かり、ワイバーンゾンビが量産されていった。


 敵の兵力は千を切り、こちらの兵力は千を上回った。流れは完全にこちらのものである。


「これは、援軍を待たずに勝てるかな」


 俺がそんな風にほくそ笑んでいると、敵の部隊の中から、ひときわ大きな影がこちらに飛来してきた。


「よくもやってくれたな。ケント。おかげでこちらの軍は敗走寸前だ。君のせいでな」


 俺はその声に聞き覚えがあった。あまり記憶力はよくない方なので姿をよく見る。


 それは骨のドラゴンだった。空虚な空洞が全体を支配し、虚ろな眼窩がこちらを見据えている。白い全身は眩しく、くすみやひずみがあっても、それは白く発光しているかのように明るい。まるで空飛ぶネオンだ。


 声の主はその、スケルトンドラゴンの背中に乗った女性だった。遠めなので風体までは分からない。ただ、女性となると、最近の記憶に覚えがある。


「お前は、メリッサか?」


「そうだ。君のおかげで多くの配下をやられてしまったよ。しかも逆転されるとは。思いもよらなかった。君は戦争の才能があるのかもしれない」


「戦争は知らないが、こちらはずるがしこい生存者を四六時中追いかけ回してたからな。向こうからやって来てくれる分、楽なものだったよ」


「やはり君を誘ったのは目の狂いではなかった。だが、今から誘おうとは思わない。君は脅威だ。邪な勢力にとっても、聖なる勢力にとっても。だから排除する」


「おいおい、俺は聖なる勢力に攻撃するつもりはないぞ。何で脅威なんだ?」


「君は分かっていないのか。無限に増殖し、病原菌のように蔓延し、無作為に犠牲を出す。そんなものは戦力とは言えない。天災だ。聖なる勢力は君が制御不可能だと知れば、殺しにくるだろう。そうでなくても上の者の既得権益を脅かす存在になる。遅かれ早かれ、君はこの世界に拒絶されるのさ」


「……」


 メリッサの言うことには一理ある。実際、ゾンビになりたての時は人間に味方することも考えた。しかし人間側に拒絶されたのだ。この姿と、ゾンビと言う驚異の前には協調などありえなかったのだ。


 けれども、今は違う。


「たとえそうだとしても、俺はこの力を制御して、ばれないように過ごしてみせる。今は、見捨てられない味方がいるんでな」


「……ハッ! その仲間に見捨てられないといいな」


 会話が終わると、最初に仕掛けてきたのはメリッサのスケルトンドラゴンだった。


 スケルトンドラゴンは口をあんぐりと開けると、そこから黒い真珠のような球が出現した。


「――! 回避」


 黒真珠のような球は大きく羽ばたいたドラゴンゾンビの下を通過する。それは地面に到達すると、大きく弾けた。そして弾けた空間をゾンビ、兵士、地面関係なくえぐり取った。


「ひー、こわいこわい」


俺はメリッサと再び向き合う。戦いはいよいよ佳境を迎えるようであった。


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