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二十四話「俺、ドラゴンに会う」

 城の攻防は五日目になった。地上戦での痛手に懲りたのか、今度はワイバーンによる空中攻撃を再開した。


 再び空中にはビームと矢、火炎と火薬樽と岩が交差する。


 だが空中を支配するのはワイバーンだけではない。ワイバーンの群れの中から一際大きな個体が城壁へと悠々近づいてきたのだ。


「ドラゴンだ! 伏せろ皆!」


 メリアの注意勧告に皆従う。その瞬間、ドラゴンは火炎を城壁の上にまき散らし、バリスタやゾンビを燃やし尽くす。あちこちで火だるまとなったゾンビ達が彷徨い、地獄のような光景だ。


「早く城内に隠れろ! 私達もああはなりたくないだろ」


 俺達はメリアの言う通りに城内に避難する。その間にも生き残ったゾンビやテンシゾンビがドラゴンに攻撃を仕掛けた。


 しかしそれでも効果は薄い。ビームや矢を喰らってもドラゴンは身じろぎひとつしないのだ。鎧や武装もないのに関わらず、ドラゴンの鱗が固すぎるのだ。


 ドラゴンは炎の放射を続けながら、城壁内に低空で滞空し続けた。


「ならば、ゾンビックリム!」


 俺はゾンビックリムを動かして、ワイバーン達が落としていった岩の一つを担がせる。そして、ゾンビックリムの剛腕でドラゴン目指して岩を放り投げた。


 狙いは過たず命中、ドラゴンはよろめいた。ただしそれはドラゴンをいたずらに怒らせただけであった。


 ドラゴンは怒りの反撃に、たっぷりと火炎をゾンビックリムに浴びせる。ゾンビックリムは逃げることもできずに黒い炭に変わってしまった。


「だあああ! 弱点はないのか?」


 俺がメリアに訊くと、メリアは答えてくれた。


「ドラゴンの弱点はどの種類でも、首の根元にある逆鱗だ。ただ――」


 ドラゴンを見やると、その逆鱗の場所には胸甲のようなもので守られている。あれではバリスタの矢でも貫くことはできない。リズの矢ならなおさらのことだ。


「なら、あの胸甲を外せばいいんだな。任せてろ」


「ケント! どこに」


 俺は城壁の上に駆けて戻る。階段を上り、黒焦げた跡が色濃く残る城壁の上で、俺はドラゴンの真上にあたる場所に陣取る。


 待っていると、チャンスは来た。ドラゴンが壁際でより高く翼をはばたかせたのだ。


「ここ!」


 俺は一か八かの作戦に出た。話は簡単、ドラゴンに乗り込んで胸甲を脱がしに行くのだ。


 俺は上手く背中に跳びつく。ドラゴンは俺程度の衝撃に気付く様子もない。好都合だ。


 その間に俺はゴキブリのごとく首にまで這いあがる。ドラゴンの胸甲の留め具はちょうどいいことに背中側にあった。俺はすぐさま脱がしにかかる。


 俺は女性のブラジャーを脱がす要領で手早く留め具を外し、脱がせてやった。ただ言い方が違うのは、俺は生涯女を抱いたことがないことぐらいだろう。


「よし、これで――」


 その時、俺とドラゴンの目が合った。さすがに装備を外されれば背中に何かいることぐらい気付くだろう。ドラゴンは至近距離で炎を口に溜めている。


「うおっ!」


 俺は間一髪で炎の放射を回避する。だがその拍子にドラゴンの背中から空中に放り出される。そのまま、俺は地面に激突して首、腰、手足を複雑骨折した。痛覚は鈍いが痛いものは痛い。


「これで、撃てるわ!」


 リズはドラゴンが背中の敵を排除して正面を向いた隙を見逃さない。胸を大きく張って、弦を限界まで引くとドラゴンの喉元目掛けて矢を射かけた。


 狙いは正確。リズの放った矢は深々と逆鱗の隙間に突き刺さった。


 ドラゴンは絶叫を上げて、空から落ちてくる。足元にいた俺は何とか転がりながら落下するドラゴンを避け、一命をとりとめた。


 とどめを刺そうとゾンビを向かわせるものの、すぐにわかった。ドラゴンはたった一本の矢で絶命していたのだった。




 こちらにドラゴンの死体が手に入り。俺はついにドラゴンゾンビが得られることに胸を躍らせていた。


 さてドラゴンのゾンビ化だが、基本的に鱗が固すぎて噛みつけない。なので、逆鱗の部分を拡げて噛みつくことにした。感染は上手くいった。


 ドラゴンの死体が完全にゾンビ化するまでの時間はかなりかかった。


 最初は黒子が黒ずみだし、瞬膜から除く眼球は角膜が白濁して、目に浮かんだ血管が脈々と膨張する。


 翼は末端から腐り、枯れ枝と枯れ葉のようになり。尾は硬直し、太い丸太の棒のようになる。


 そうしてドラゴンゾンビは完成した。


 ドラゴンゾンビは鷹揚に立ち上がると。俺に向かってかしずいた。


 さあ、夢にまで見たドラゴンへの騎乗だ。


 俺はドラゴンの首の根元に座り、乗り心地を確かめる。死んでいるはずなのに、温もりがある。肌は金属質でありながら躍動している。貧相なたとえだが、ボンネットの上にいるような感じだ。


 「ゾンビも載せられるな。ニ十体くらいか。これなら他のワイバーンと合わせて敵に一泡吹かせてやれる。待ってろよ」


 俺はワイバーンゾンビ五体を用意し、ドラゴンゾンビの搭載量と合わして四十五体のゾンビを載せた。


「よし、飛翔!」


 俺は今日の作戦の総仕上げのために、城壁の上へと飛び上がっていった。


「気を付けて、ケント」


 上空に上がる際、メリアがそう言って俺を送り出してくれた。


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