謎の虐殺ロリと俺…
小さな村はあちこちから火の手が上がっていた。火を放ったのは一人の少女だった。
彼女は村人を一人残らず刀で切り刻んでいた。
悪夢のような光景だった。
その真っ最中に、俺は転生した。
「えー。こんな転生ある?何この状況。せっかく異世界転生したのにまた転生されちゃうの?俺」
「あれれ?まだ生き残ってた人間がいたんだ!お兄ちゃん、何者?」
「俺?転生してきた、要するに違う世界から来た人間だよ」
「ふーん?ま、いっか!どうせ死ぬ人間だしね!」
虐殺ロリが俺に刀を突きつけてきた。俺はため息をしながら、ひょいと避けた。
またまた虐殺ロリが刀を振り回してくる。俺は軽々その攻撃を避け続けた。
「はぁはぁ。お兄ちゃん何者?さっさと死んでよネッ!」
「ついさっき死んで転生してきた人間によくそんな言葉いえるよな…まったく」
俺は虐殺幼女の後ろにサっと回り込み、身体を抱きしめた。
「胸、ねえな」
「死ね!離せ!この変態!」
「変態と虐殺ロリ、芸術的だね」
「はぁ?キモイんだよ!死ね!」
俺は虐殺ロリが大人しくなるまで身体を押さえ続けた。
そしてようやく大人しくなった。
「はぁはぁ。分ったよ。刀仕舞うからとりあえず降ろせ!」
「んで、君は今ここで何をしてたんだ?」
「はぁ?見たら分るだろ、殺してたんだよ!人を!」
「こんな幼い少女が大量殺人か、恐ろしいことだな。なんで殺人なんかを」
「レベル上げのためだ!そこら辺のモンスター狩るよりも人殺した方が経験値入るからな!あんたもやってみなよ?人殺すの楽しいぜ。モンスター狩りよりも殺人の方が私は好きだな!」
恐ろしい子…。
「とりあえずここは危ない。私が犯ったこと、兵士にバレちゃう…。離れよう!こっち来て!」
俺は虐殺ロリに手を引かれ、森の奥へ逃げ出した。
森に入ってちょっと進んだところで、虐殺ロリのお仲間と思われる少年がいた。
「どう?うまくやったか?って誰だっ?その男は!」
「俺?んー。俺の名前は須藤健太だ。よろしく!」
「村人は全員殺したけど、コイツが現れちゃって…」
「目撃者は全員消さないとダメじゃん!!」
「でもこいつめっちゃ強いんだよ!?」
「状況が飲み込めないが、とりあえず君たちの名前教えてくれないか?」
「私達は盗賊の双子。私はルカ」
「俺はリュウ」
「ルカちゃんとリュウくんだね。しかし参ったな。転生した先が、犯罪者とは…」
「この兄ちゃん、違う世界から来たんだって!とりあえずウチラのことチクられても困るし、家に連れてく?」
「そうだな!んじゃ、さっそく帰ろうっと、その前に、」
リュウは持っていた箱を思いっきり村の方へ投げた。
「さあ、早く!ルカと須藤!こっちへ」
おいおい、何投げたんだ?何そんなに急いでるんだ?と思っていた間も無く、後方で大きな爆発音がした。
「証拠隠滅!成功♪」
つくづく恐ろしい子供たちだ…。