美沙との出会い
作品を開いて頂きまして、ありがとうございます。
当作品は「べた恋」に登録されておりますが、残念ながら、「読みづらい」「心情的な描写がなされていない」など、
手厳しい感想をいただいております。
もともと、私は別なジャンルで別な形式の小説を書いていて、チャレンジのつもりで書いてみたのですが、
「小説家になろう」「べた恋」の読者さまには受け入れられなかったようです。
(もともと、「ノクターン」用のネタを改変したという、無理もあったことは否定しません)
もちろん、当方も反省すべき点は多々あることは承知しておりますが、作家の作風をがらりと変えることは困難で、
実際、この作品に手を加えるうちに、私が当初から構想し、意図したものとは違うものになってしまうことを
感じてきましたので、「千円のオルゴール」は、今後、大幅な手直しを控えさせていただきます。
したがって、この作品に限り、コメントを頂いても、原則として返答を差し控えさせていただきます。
今後も、機会があれば、今までと違った分野にも書き下ろしにてチャレンジしたいと思います。
以上、ご賢察ご了承の上 目を通して頂ければ幸いです。
2008.12.30 中部 航
10月。ショッピングセンターでのこと。
「ねえ、やっぱり恥ずかしいよ。脚太いの丸わかりだよ〜」
「そんなことないよ、美沙。すごく似合っていて、かわいいよ」
「えー…………」
「美沙……さっきの服よりこの方が女らしくてきれいだよ。こんな女の子を連れて歩くのが夢だったんだ」
「ひどいなぁ・・・そこまで言われると断れないよ。もう、わかったわ……」
真っ赤な顔をして、試着室から出てきたのは、2週間前からつきあい始めた彼女・美沙。
胸元がかわいらしく膨らんで見える白い薄手のニットに、軽い上着。
そして、ボトムは短いショートパンツに紫のタイツ。プレゼントしたあと、試着室を借りて全部着替えてもらったのだ。
紙袋の中にはさっきまで着ていただぶだぶの長袖Tシャツと、古いジーンズ。色気も何もあったもんじゃないww。
ショッピングセンターを歩きながら、美沙は途中に置いてあった鏡で自分の姿を見直すと、真っ赤な顔をして俺の方をふりむいた。
「美沙……きれいだよ。それに、すごく色っぽいから、男達がみんな振り向いていくよ」
「いや……恥ずかしいよ」美沙は俺の腕にしっかりぶら下がって歩く。
俺の新しい彼女、美沙。背は低く丸顔で、胸も小さめ。太ももは多少むっちりしている貧乏の甘えん坊さん。
でも、俺は幸せだった。人気が少なくなると、俺は肩を抱いたりした。
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【回想】
俺(25)には、半年前まで婚約者がいた。令子といって同い年の同僚だった。
2年前。飲み会の後、泥酔した俺たちはホテルでいきなり体を合わせ、そのあとも付き合っていた。とにかく、あっちの方が好きな子で、大いに汗を流してエンジョイしていた。
そして、1年前のクリスマスにプロポーズ。晴れて婚約し、たまたま新築の物件があったので、年明け間もなく2DKのアパートに引っ越しした。
ところが、桜の咲く季節になったとき、突然前触れもなく令子の両親と見知らぬ男(弁護士と言っていた)が令子を連れてやってきた。
「令子のお腹の中に子どもがいるが、あなたの子どもではない。2月から浮気している高校時代の初恋相手との子どもだ。責任を取らせるから、婚約は破棄して欲しい」と弁護士。
(出来ちゃった結婚はしたくないので、俺と令子は避妊を厳重にしていた)
目の前に、高級車が1台買えるぐらいの現金と示談書が用意され、令子はあっという間に俺の前を去った。
令子は一言もしゃべらなかった。というかしゃべらせてもらえなかった様子だ。気持ちを聞くどころか「さよなら」も聞けなかった。
俺は会社を辞め(令子と同じ会社だったから)、別の会社に転職。
資格を生かしてそこそこの仕事をしているが、時々ものすごく憂鬱になる。
夏休みのある日、一人で買い物に行ったら、令子がその男と腕を組んで歩いていた。ブランド物のマタニティドレスを着た、大きなお腹の令子が・・・・・・
その日の夜、俺は一晩中吐いた。
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【知り合う】
9月下旬の夜、コンビニに買い物に行った帰り。陸橋の上から眼下を走る高速道路をぼんやりと見ていた。ここを乗り越えて飛び降りると楽になれるのかな?
と、少し離れた場所に、女の子が一人で同じように 手すりにもたれかかって車を眺めていた。
「こんばんわ」と声を掛けると、女の子は、はっとした表情で「こんばんわ」と返した。
「ここ、手すりが低くて危ないですよね」
「そうですね。落ちたら確実にまずいことになりますよね」
これで、お互いの意図していたことは分かった。
「一人ですか?」俺の口が勝手に動いた。
「はい」
街のこととか、とりとめのない話をした。
美沙と名乗った小柄で23歳の女の子は、だぶだぶの長袖Tシャツに、ダメージ加工のジーンズ姿。コンビニへの買い物途中とのことなので、こんなものかな・・・・・
近くの食品工場でパートのような仕事をしながら一人暮らししているという。
「彼氏とかいないの?」
「うん…………健太さんは」
「別れたばかり……」
「そうなんだ…………」
ぼそぼそとしゃべっている内に11時を回っていた。
「今度の休み、ドライブでも行きませんか?」俺が誘うと。
「はい、喜んで」
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【ドライブ】
朝10時美沙が待ち合わせ場所に待っていた。
ボーダー柄のTシャツにジーンズ。派手な格好が好きな令子と違い、ボーイッシュな格好だ。
「どこ行く?」
「どこでもいいですよ。健太さんの好きなところに連れて行ってください」
「???」
「私、車持っていないし、付き合っている人もいないからよく分からないんです」
ベタだが、海岸へ向かうことにした。
途中、マックで昼食を食べたあと海岸へ。
海水浴シーズンの終わった砂浜。カップルが数組歩いているだけだ。
波打ち際で波と戯れたりしてはしゃいでいる美沙。
「きゃーっ、濡れちゃうよ〜」「わーっ、塩っ辛い!」
昔からの恋人みたいに奔放にはしゃぐ美沙が愛しくなった。
「もう恋なんてしないだろう」と思っていたが、そこに恋をしている俺が居た。
いつの間にか手をつないでいた。令子と違い、温かくてふっくらした手だと思った。
風が出てきたので、車に戻って別のビューポイントへ。
高台の公園から海を見下ろすことができる、とっておきの場所。
ベンチに並んで座るが、回りに人はいない。
俺は、美沙の肩に腕を回すと抱き寄せた。意外としっかり肉付きがある感じ。
美沙ももたれかかってきた。
耳元で美沙の息づかいが聞こえている。
ふと気がつくと、美沙は目をつぶっていた。令子と比べると遙かに子供っぽい顔。
ショートの髪が風でなびいている。
まだ会って2日目だったが、俺は美沙のことが愛しく感じた。
両手で美沙の頭をそっと抱え、一瞬動きを止めると、美沙は顔を上に向けた。
そのまま唇をそっと、触れるか触れないかぐらいの感じで合わせた。
今までのキスは、Hに入るための一手順。
だけど、今のキスは・・・・・恋していることを伝えるためのキス。
長いキスが終わり、唇を離した。
「美沙」「はい」
「何か、美沙のことが好きになって・・・・びっくりした?」
「はい、ビックリしました・・・」美沙は恥ずかしそうに答えた。
「つきあってほしい」俺はためらうことなく言った。
こくん・・・・美沙は首を縦に振った。
俺は、美沙を抱きしめた・・・・・・
薄暗くなってきたので、美沙の肩を抱いて車に戻った。
エンジンを掛けようとすると
「あの・・・・・」「なあに?」
「やっぱり、私…………」
「俺じゃいやなの?」
「そんなことないです…………でも」
「??」
「私、バージンじゃないんです。いいんですか?」
「そんなこと言ったら俺だって……」(婚約していたことも話していた)
「私、高校3年の時に一度だけ……」美沙はためらいがちに話し始めた。
その1度だけの初体験、美沙の意に添う形ではなかったので、今まで男の人が怖くて付き合えなかった。だから、Hはまだ怖い。
「…………」
俺は別のことを考えていた。前カノの令子はHが大好きで、Hが二人を結びつけていたようなものだ。だけど、可憐で、ボーイッシュで、清楚で、かわいらしい美沙の体を押し倒すことなど想像できなかった。一緒に居てぬくもりを分けてくれるだけでよかった。だから、美沙の気持ちがほぐれるまでは…………
それと、亡くなった美沙の両親が美沙名義の借金を残していて、その返済と奨学金返済の為に生活は苦しいという。今日の服も、持っている中でいい方だとか。
「だから、デートとかにお金 掛けられない…………」
「そんなこと心配しないで」
まず、お金の心配をする美沙…………。辛い思いをしたこともあるんだろうな。守ってあげたい。
俺が包んであげたい。今まで、勝ち気な女性としか付き合ったことがなかったので、胸が締め付けられた。
俺の手元には、令子の両親からもらった慰謝料がある。そんな汚れたカネ、使うのも汚らわしいので、使わずに取ってある。
その日は、夕食としてバイキングレストランに誘ったら、美沙は山のように料理を食べた。あまりの気持ちいい食べっぷりに、どんどん勧めたら…………お腹を壊してしまった。
お腹を抱えた美沙をアパートまで送っていく。確かに古い建物だった。
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【美沙に恋する】
その次に会ったとき、俺は美沙をショッピングセンターに連れて行き、ショッピングにつきあった。
最初に(この話の冒頭に登場した)露出の高い服をプレゼントしたので、美沙は顔を真っ赤にして俺に付いてきた。
「外食はもったいない」という美沙の主張で、夕食は食料品を買って作ることに。
初めて俺のマンションに入った美沙はびっくり。
「えーっ、一人でこんな広いところに住んでいるの?」…………だから二人用の住まいなんだってば、ったくもう(笑)
実は美沙、今日は一度も財布を開けていない。そこで、調理は美沙がするという。
自炊がメインの美沙の手際の良さに感心する。
というか、短パンに包まれている大きめの尻や、紫色のタイツに包まれた太もも・・眺めているだけで癒される。
人並みよりはむっちりとしているが、却って奇麗に思えた。
食事の後、二人でDVDを見ながらキスしたり抱き合ったり・・・・・
「もう、見たかった映画だったのに、集中できなかったよ!!」
「貸してあげようか?」
「いや・・うち、DVDプレイヤーないから」(しまった……)
翌週、自宅で。話が途切れたので、美沙を抱きしめて、キス。
舌をぺろりと入れると「わあっ」と仰け反った。
「どしたの?」「んもうっ!!ビックリしたよ」
・・・・・・・・・・
「ねえ、健太?」
「キスだけじゃ物足りないでしょ」
「う、うん」
「正直に言って」
「うん」
俺は緊張した。いよいよ今日?
「でも、やっぱり怖い」
「だから、無理しなくても……美沙のこと大切にしたいから」
「ごめんね。私も本当のこと言うと、物足りないよ。健太ともっと色々……でも・・・・」
「・・・・・・」
「そうだ!」美沙は思いついたように声を上げた。
「なに、美沙?」
「一緒にお風呂入ろうか?」
「お風呂??」
「うん。私、少しずつでも健太に私のこと見てもらったり触って欲しい…………」美沙は真っ赤な顔をして俯いてしまった。
「じゃあ、脱がせてあげよっか?」俺は、美沙のシャツの裾に手を掛けようとすると。
「えーっ。やだーっ。脱ぐとこ見られるの恥ずかしいから・・・後からきてもらっていい?」美沙は脱衣室に消えていった。
美沙に呼ばれて風呂にはいると、美沙は湯船に浸かっていた。
真っ白で透き通るような小柄な体に小ぶりな胸。むちっとした太もも。
でも、男性経験が殆どないためか、体のラインは固い感じ。
しばらく見とれてしまった。
「胸、小さいでしょ。がっかりした?」
「そんなことないよ……きれいだよ」美沙の顔が真っ赤になる。
俺は手早く体を洗うと、並んで浴槽に浸かった。
「胸なら触わってもいいよ」俺は、初めて美沙のバストに触れた。
美沙は気持ちよさそうに微笑んでいた。
08.12.24 一部修正しました。