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フラグと書いて運命と読む

陽神霧爍が考え付いた、『鹿毛彰子が誰かの隠れ蓑になるために派手なパフォーマンスをした』という推測は、実は当たっていた。


彼女の目的である『月神凪を助ける』ことからも明白ではあるが、『誰か』はもちろん『月神凪』その人のことである。

ゲームの知識から、彼女が『一般生徒』として学園生活を送ろうとしてることを知っていた彰子は、ちょっとしたパフォーマンスを起こすことで、クラスの注目を自身に集めることにした。


彰子のもくろみ通り、霧爍の視線も、他のクラスメイトからの注目も浴びることなく、『月神凪』は今日一日を終えようとしていた。

していたのだ。


(いやいやー。人気者はつらいにゃー、といったとこかなー。)


霧爍の推測は、残念ながら、当たり半分、100点満点中50点だ。

見事隠れ蓑になった彰子だったが、このゲームを知らない霧爍には推測できない、もう一つの狙いが現在進行形で外れてしまっている。

いや、狙いが当たりすぎてしまったといった方が正確かもしれない。


鬼教官に変貌した晶午も職員室へ消え、クラスを調整するべく観察していた霧爍もいずこへかいなくなった放課後で。

彰子は現在、大勢のクラスメイトに囲まれていた。


(んんー。ちょこっと注目を集めるだけのはずだったんだけど・・。はっ!?私の隠しきれない大人の魅力が溢れ出てしまったせいか!??)


晶午が聞けば、鉄拳制裁(あいのむち)を食らいそうなことを真剣に考え、囲むクラスメイトの隙間から『月神凪』を確認する。

色物(ちんじゅう)への好奇心を隠そうとしないクラスメイトからの質問を適当に答えながら、彰子は彼女の死亡フラグ条件を反復する。


(『月神凪』が死亡する条件は、幼馴染のヒロインへの好感度が高く、ヒロインの『月神凪』への好感度が高いこと。)


ゲームでは、その条件をクリアすることで、襲いかかる妖怪とのバトルを『月神凪』は仲間となって共に戦ってくれ、その最中の必須イベントで彼女は命を落とすのだ。


今日半日しか見ていないが、残念ながら、幼馴染君のヒロインへの好感度は、バリ高だ。もうアレ惚れてんじゃね?疑惑満載だ。

其処はしょうがない、端から妨害をあきらめていた条件だ。才女と言われている(自称)彰子は、実にならない事には労力を割かない主義だ。


となれば、もう一つの条件『ヒロインの『月神凪』への好感度』を妨害するしかない。

そう、ここで注目してほしい。


ヒロインの(・・・・・)『月神凪』への好感度』、だ。


一般的な乙女ゲームでは、好感度=対象者の好感度、を指すはずだ。

だが、このゲームでは、攻略対象者以外の主要キャラに関しては、そのキャラに対して(・・・・・・・・・)ヒロイン自身の好感度が上がる。


つまり、『月神凪(かのじょ)』が嫌がっても、ヒロインが『月神凪(かのじょ)』に関わりたいと思ってしまったら、アウト、こんにちは死亡フラグなのだ。


(だからこその、『ちょっとしたパフォーマンスで友達を作りたがっている設定のはずのヒロインの心をゲットだぜ☆』作戦だったのにー。これだけ人がいたら無理さねー。)


ヒロインの性格設定は、「ちょっと人見知りで鈍感だけど思わぬところで大胆」という、まあ王道といえば王道な設定だ。

見たところ、「ちょっと人見知り」でありそうなため、これだけの人をかき分けて声をかけてくる、という展開にはならなそうだ。



(あとで適当なところでヒロインちゃんへ声を掛け・・・・、おやおやおやぁ???これはまずいですなぁ???)



クラスメイトの囲いの隙間から見えたのは、『月神凪』へ声を掛けるヒロイン様の姿だった。





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