出会いのきっかけ
犯罪行為が書かれていますが、決して推奨するものではありません。
また、リアルな描写はありませんが、レイプしようとするシーンがありますので抵抗のある方はご覧にならないでください。
エアコンの室外機の音だけがこだまする深夜の住宅街をほろよい気分で歩く。
これで腕を組んでくれる素敵な彼氏でもいれば別だけど、生憎つい先日別れてしまった。まあ、付き合っていた時も、腕を組んで歩いたことなんてなかったけど。
いつも通勤に使う駅とは反対方向にある駅で降りて、家に向かう途中のカフェバーで夕食を取りつつワインを2、3杯飲んだ。
都会に独特な夏の風がそよいで、随分短くなった髪を揺らす。普段、自分が使っているシャンプーと違ういい香りが鼻腔をついた。
うん、今日は良い日だ。
三十も過ぎて独り身だと、誰かに気を使う事が無くていい。自分の稼ぎで自分が欲しい物を買って。旦那の稼ぎの自慢でも、子どもの出来の良さの自慢でもない。靴もバッグもアクセサリーも、私が成し遂げたことの証だ。
今日は土曜で、買い物しまくって、それから髪も切って。随分と奮発した。そのへんのドラッグストアで買っていたアイシャドウなんかじゃなくて、デパートの化粧品売り場を半日かけて歩きまわって、一番気に入ったのを値段なんて気にも留めずに買って。大奮発したのはJimmy Cho○の靴と□エベのバッグ。アルマー=のトップスはシルエットが気に入ったので即購入、その場で着替えてしまった。そのまま美容室に行って、良い感じにイメチェンして。
明日は、部屋の整理をしよう。私一人が住む部屋にはきっと要らない物がたくさんあるはずだ。
心機一転。ってこういう時に使うんだと思う。
浮かれていたかと言われれば、浮かれていた。それは認めざるを得ない。
でも、ここ日本だよ?
世界でも数少ない、女が深夜の独り歩きできる大都市だよ?
そりゃあ、全く気を付けていなかった訳ではないけど、深夜と言っても11時半だよ?
道の途中にある自動販売機の横を通り過ぎようとした時。照明が明るすぎて見えなかったその陰から人が出てきた。と、思った瞬間突然口を押さえつけられて街路樹の茂みの陰に引っ張り込まれる。
恐怖を覚えた、というよりは、え?マジ?こんな状況初めて!痴漢にも遭ったことないのに!!って感じ。
結局、私がとった行動は…、
暴漢を自分のアパートに引き込んで、実はまだ若いツバメだった彼の「初めて」を美味しく頂く、という色々と突っ込みどころが多すぎる行動だった。