いい兆しと悪い兆し
今回はちょっと短いです。
ACLという大舞台、そして江南レオーネという韓国屈指の強豪クラブ、その試合だったとは思えない7-0の圧勝劇は、「アガーラ和歌山が反撃ののろしを上げた」と言っても過言ではなかった。剣崎の訳の分からなさは今更説明不要だとしても、フル出場した特別強化指定の大学生FW小松原の活躍は強烈なインパクトを残していた。根本的な戦い方は昨年と同じなため「去年どおりの対策でも行けるんじゃないか?」的な雰囲気を醸し出していた他クラブは、いささか神経を使うことになる。中3日という条件で戦う和歌山は、新潟はビッグスワンに乗り込んだ。
J1ファーストステージ第7節
VS新潟@ビッグスワン
スタメン
GK1友成哲也
DF15ソン・テジョン
DF26バゼルビッチ
DF34米良琢磨
DF11佐川健太郎
MF40近森芳和
MF24根島慶介
MF28藤崎司
MF13須藤京一
FW9剣崎龍一
FW31小松原真理
リザーブ
GK30本田真吾
DF5大垣彰磨
DF6上条慎之右
DF32三上宗一
MF8栗栖将人
MF10小宮榮秦
FW36矢神真也。
「中盤はやけに若いな。根島と須藤を使うとはさすがに思わなんだな・・・」
新潟・柳原監督は、和歌山のスタメンにそうつぶやいた。
「しかし、竹内のベンチ外はさすがに予想外でしたね。あの大学生は使うだろうと思ってはいましたが」
「日程的な問題もあるのだろう。キャンプでは鍛えてこなかった運動量が今石監督の中で求められているのだろうが、その分消耗も激しいからな。なんにせよ、こっちとしては大助かりだ」
コーチの言葉に柳原監督はそう推測する。そして竹内の不在に心底安堵している様子だった。
竹内不在の痛みは、今石監督の悩ましいところだった。
「まあ、フィジコの村尾にああまで言われたらしょうがねえわな」
「実際、あいつにかかる負担は大きかったからな。何でもできるというのは善し悪しなんだな」
松本コーチもそうため息をつく。矢神が劣っているというわけではないが、竹内の不在はかなり痛かったのだが、新任の村尾フィジカルコーチは衝突覚悟で竹内欠場を進言したのだ。
「竹内は今だけじゃなく、ここ数年の疲労も十分に抜けず、おまけに代表遠征でかなりの移動も強いられている。僕はまだここに来て間はありませんが、竹内のコンディションが綱渡りであることぐらいは分かります。過密日程でのアウェー連戦、どこかで休めないと間違いなく怪我をします!!休ませてください!!」
「良いフィジカルコーチに巡り合えたもんだ。休ませるのに熱心な奴は大歓迎だ。ほんじゃ、今日のメンバーで勝ちますかい」
今石監督は笑みを浮かべた。
蘇生の兆しを見せる和歌山の攻撃に立ちはだかったのは、2年連続でタックル数リーグ1位を記録しているブラジル人ボランチを中心とした組織的なプレッシング。ボールホルダーに対して遊撃的に奪いにくる新潟の守備に和歌山は手こずった。だが・・・
「しゃらくせえんだよてめえらっ!!!」
剣崎にさえボールを渡してしまえば、何とかなった。この試合8本のシュートをペナルティーエリアの外からかっ飛ばした剣崎。そのこぼれ球に小松原、須藤が反応し得点。後半に1点を返されたものの、フリーキックを途中出場の栗栖が叩き込んで3-1で快勝。監督交代後、リーグ戦初勝利を飾った。ここから連勝街道に乗っていくか。そう思われた矢先にけが人が出てきた。新潟戦で途中交代した須藤が左足を、フル出場した米良が足首を痛め、さらにこの日ベンチ外だった久岡と仁科が相次いで負傷。4人が戦線離脱となった。
「結構けが人がばらけたな。それが幸いっちゃ幸いだな」
今石監督はそうぼやいたという。




