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中野さんの神パス

「暇だから手伝いに来てやったぞ」






「あ、ありがとうございます」






やばい。どうせ江野さん何も言わねぇしちょいちょいサボっちゃえくらいに思ってたのに。






「しかしお前ら静かにやってんなぁ」






だって江野さん何もしゃべらないんですもん。





僕だってそんな喋る方じゃないし。






お通夜みたいな作業場に、いきなり威勢のいい不良が乗り込んできたかのような、そんな構図だ。






「桂木君さー」







「は、はい!」





早速来た!何だ、何かミスしたか!





無駄に慌てる僕。








「レッドスターって知ってる?」







「はい?」







質問がまさか過ぎて固まる僕。









レッド・・・何?何だって?












「バンドさ、バンド。音楽バンド」








「音楽バンド!?」







何何、どういう展開だ?どんな答えを求めてる?







「・・・ちょっと・・・分からないっすね・・・」






恐る恐るそう答えてみる。







「・・・そっか・・・そうだよね・・・知らないよね・・・」






やっぱりな。自分にそう言い聞かせているかのように、悲しげに頷く中野さん。






「・・・・・・すいません・・・・・」







やっべぇー。





何か落ちこんじゃったじゃん。






身体中から嫌な汗がじわっと体に浮かんだ。







「いや、いいんだよ・・・売れてないし・・・そうだよな・・・・・誰も知らねぇよな」







やばい。







もしかしてあまりにもシーンとしてるから何か話を振ってくれたのかな?






それとも、まさかまさかの自分がやっているバンドとかいう驚きの展開?






あり得るぞ、大いにあり得るぞそれ。








何かやってそうだもん。






見た目的にギターをおもいっきりかき鳴らしてそうだもん。








「お前ら盛り上がってんのかー!!」







とか言ってそうだもん。








「・・・あまりそっち系に詳しくないんですよね・・・そういう・・・パンクとか、ロックとか・・・」





「へぇー」






「・・・・・・・」







・・・・・・うわあぁぁぁ。








ファロー失敗したぁぁ。








終わっちゃったじゃん、っていうか終わらせちゃったじゃん会話。







え、俺のせい?今の俺のせい?







だって知らないもん、そんな・・・・・だせぇ名前のバンド・・・







「なぁ」






「はい!はいはいはいはい!はい?はい?・・・ど、どうしました?」






え?聞こえた?今の俺の心の声、聞こえた?









「桂木君は何に興味あんの?」






「へ?・・・あっ、あ~」







よかった~聞こえてなかった~。









「・・・・・・えっとー・・・・・そうですね~・・・・何だろうなー・・・はは」







そんなこと言われたって・・・






やばい。






何も思いつかない。








「アイドルとかは?」






「はい?」







「アイドルとかは好きじゃないの?」







「アイドル?」








「ここにいるけど、アイドルオタクが」







中野さんが顎で隣をさす。











え・・・江野さん?













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