無題
真っ青に透きとおった湖の底にいた。硬くきらめく濁りに鎖されて、ひたすら待つことしかできなかった。眠っていたのかもしれない。起きていたのかもしれない。まどろんでいたのかもしれない。
気がつけば、たくさんのものたちに囲まれていた。それらは好意を抱いているようだった。受けいれているようだった。傅いているようだった。そして何より、懐かしかった。
傍らにあることを当然としているような、はじめからそこにいたような、守るように漂うそれらは皆一様に様々だった。
それらがいることに満たされながらも、同時になにかを求めていた。きらめきの向こうに見ていても、求めるものは手に入らないと知っていたけれど、硬く濁ったままのそれを、どうすることもできないとわかっていた。
満たされて、憧れるままにそれらを眺め、冷たさを感じた。
あるひ、翳された耀きに呼ばれて――――飛んだ。閉じていた濁りは、容易く融けてたゆたっていた。
飛んだ先には、鎖されたなかで求めたなにかがあった。なにかは、どこかで見たような色の目をしていた。
なにかは――その ヒト は、手をさしのべて言った。
「私と共に歩んでくれないか?」




