傲 慢 第六話
花魁になっても清花は俺が来るとどんな客よりも優遇してくれる。
そして、会う度にきれいになる。
俺は、そんな清花を何枚も描きつづけてどんどん値を高くして売る。
飛ぶように売れる様を、二人で高笑いして見るのが好きなのだ。
ひいきにしてくれる金持ち男たちのため、体を使って俺の欲を受け止める女のために俺は描きつづける。
俺がのうのうと浮世絵師でいられるのは、男にも女にも需要があるからだ。
そんな俺の生き様を、たいていの奴らは良く思っていない。
働かず、遊びほうけて女と金と絵にに溺れる俺を妬み、恨み、好奇の目を向けあざ笑っている。
でも、俺はそんな庶民を見ていると、逆に笑いが止まらないのだ。
誰が何と言おうと、俺はお前らより上だ。
金もあり女に困ったこともなく知名度も人気も上級だ。
白い肌を惜しげもなくさらけ出す清花。
目と目を合わせ、時折挑発するかのように、俺を見つめる。
「ねえ・・・。
潤之助の瞳に、私、きれいに映ってる・・・?」
「あぁ・・・。きれいだよ」
「もっと、見て・・・。
頭の中、私でいっぱいにしたいの・・・」
「男を夢中にさせる女だな・・・、お前」
「こんな風に仕込んだのは、潤之助じゃない・・・。
私、あなたにいっぱい教わったのよ・・・」
二人の距離が近くなり、俺と清花の影が一つに重なる。
「潤之助の、顔が見えるから・・・。
見られるたびに、高まるのよ、私・・・」
「・・・だろうね。
今、すげえいい顔してるよ・・・」
俺の挑発的な言葉に、清花は女優のように反応した。