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その夜。

隙間風のもれる簡素なテントの中で横になり、ぶつけた箇所の痛みに少し顔をゆがめました。


…でも本当に、思ったほど衝撃をうけなかった


普通上から落ちてきた人間を受ける下の人間はそうとう負担がかかるはずです。

けれどもフォーは流石に打ち身などであちこち痛みますが、大事にはいたらなかったのが不思議でした。


リノはひどく華奢な少女なのでそれが功となったのかもしれませんし、それに少女というものはなぜかとてもやわらかな生き物なのです。



抱きしめたら折れてしまいそうな

強くつかんだらくずれてしましいそうな



なんとか身体が痛まない姿勢を見つけると小さくため息をつき、そしてそっと白いハンカチを握りました。





                   ◆




「助けてくれてありがとう、本当に…。もしフォーがあぶない時は必ず私が助けるわ。」

昼間、リノは少し涙ぐみながら少し震えながら何度も何度もそう言いました。

そして


「もう、風で落ちてくるならもっと早く落ちてくれればよかったのに!あ そうだ、お礼に今日のおやつはフォーにいっこ多くあげるね!」


と白いハンカチを強く握りやっと小さく微笑みました。

ハンカチは枝にひっかかった時に破けたのか端が切れていました。


「リノ、お菓子はちゃんと半分でいいからそのハンカチよかったらもらえない?」


フォーはその時ほんとうに突然、けれどもそれはほんとうに初めて人に、リストム以外の人間に願いを伝えました。


リノはちょっと驚いた顔をして、しかしすぐにハンカチを手ではたき綺麗にたたみ

フォーに差し出しました。



                    ◆



明かりのない暗いテントの中でそっと握った白いハンカチ。

冬の訪れを日に日に感じるこの季節ですがどうしてか昨夜よりも温かいように感じるのは…。











ちょっと短かったので続けて更新

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