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第十三章 穏やかな夢 (5)

 

「ところで、北都の状況ですが……」


 ちょうどリョショウが聞こうかとためらっていたところに、シュセイが口を開いた。昨夜も話していたような気がするが、リョショウは自分が何を話したのかも話の内容も覚えていない。


「あなた方が北都から逃れた後、シュウイ殿が牢に入れられたようです。北都殿と夫人らはご無事ですが、ソシュク殿の屋敷で軟禁されているようです。ただし危害は加えられてはいないとのこと、カンエイと燕との接触も今のところはないようです」

「そうですか、牢にいるシュウイ殿の身が心配です。身を挺して私たちを逃がしてくれたというのに」


 リョショウは、ふうと大きく息を吐いた。自分のために身を呈したシュウイのことを思うと、悔しさが込み上げる。先の見えない状況を一刻も早く打破したいという気持ちが、胸の中で渦巻いている。


「ご安心ください、シュウイ殿にも危害を加えられている様子はないようです。ただ気掛かりなのは、カンエイ殿の夫人と御子息の姿が東都に見当たらないこととです。」

「ヤツの家族が? 東都の牢に入れられているのではないのか?」


 造反を図った者の家族として、牢に入れられるのは当然のことと思われる。東都の牢は王宮の裏手にある。それ以外に牢があったのだろうかと、リョショウは首を傾げた。


「いえ、牢には東都軍の主要武将らがいたようですが、カンエイの家族の姿はなかったようです」

「父の部下らが牢に? それもモウギが画策したことですか?」

「ええ……しかし彼の他に何者かが関わっているようです。彼だけの力で牢に入れることは不可能ですから」


 これまで抑揚なく淡々と語っていたシュセイが声を落とした。彼の表情からも、これまで以上に重要なことを秘めていることが窺える。


「何者か? シュセイ殿はご存じなのですか」

「まだはっきりとしたことは分かっていないので明言は出来ませんが、さらに大きな影があるような気がします。引き続き動向を見守る必要があるでしょう」


 言葉を濁したシュセイが、ふと顔を上げた。


「リョショウ殿、あなたのお母様は屋敷に軟禁されてはいますがご無事です。屋敷周辺の警備はモウギ殿が亡き後も厳しいようですが」

「ありがとうございます。とりあえず無事と知り、安心しました」


 リョショウは静かに微笑み、礼をした。




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