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「へぇ、それじゃあ貴女は私のことが気になって通っていたと?」
なぜこうなったのだろうかー。
私の仕事の休日をどこから知ったのか、彼は私の家のインターフォンを鳴らすなり部屋に上がり込リビングで質問という名の取り調べを行い始めた。
そして何故か私がアテルに通っているのかまで赤裸々に語り、私はまさか本人の目の前で言うことになるなんて…と顔を真っ赤にさせた。
「めっ…迷惑でしたよね、ごめんなさい!これからは紗倉さんの目に入らないようアテルへも行きませんし、周辺をうろつかないように気をつけますっ」
私はとにかく機嫌を損ねないように…と、目に入らないように気をつけます!と意志を伝える。
「どうして?好意を持ってもらえるなんて嬉しいですよ、俺は。仕事柄なるべく素がでないよう、お菓子屋をやっている時は気をつけているので…」
つまりは裏の圧を隠せているということでしょう?良かった
と彼はいつものにこやかな笑みを浮かべた。
「それに…貴女を疑っている訳ではありませんが、俺たちのことを外に漏らされても困りますし…」
目に入っていた方がいざとなった時は…ね?とあえて言葉には出さず首をかしげた。
「さっ…紗倉さんの言う通りにいたしますっ」
私は即座に言葉を発した。
その答えに満足したのか彼はうんうんと頷いた。
(それにしても、この顔と言葉遣いで一人称「俺」なんだ…!)
また新しい彼を知れて、不覚にもギャップ萌をしてしまったー。
そして彼は私が逃げることのないように…と彼の裏の顔、さらにはアテルのことまで聞きたくないような話を沢山語った。
紗倉肇さんー、彼はどうやら世間一般に言う『殺し屋』なのだそう。
街のお菓子屋さん、アテルは表向き子供や女性向けのお菓子を取り扱っているお店であるが実は裏社会の人が集まる場でもあり『依頼』を承ったりしているのだそう。
ちなみに店長さんは彼の所属する殺し屋グループの長でもあるそう。
お店の内容は違うが同じような店舗がいくつかあるそうで、紗倉さんはお菓子屋の『アテル』のある一帯が担当なのだそう。
そしてどうやら店舗で売っているお菓子類は紗倉さんが作っているらしい。
見た目はもちろんのこと、味もとても美味しくそのことを伝えると彼はとても喜んだ。
「実は昔からお菓子作りが好きで…、実家にいた頃は男が料理するなんてと両親だった人達によく叱られていたんですよ」
味が気に入ってもらえて良かったです そう彼は微笑んだ。
なにやら物騒な言葉が聞こえたようにも思うが触れないように気をつける。
「でも、こうして美味しいと言う声を直接いただけるのは嬉しいですね」
これからも頑張りますとさらに微笑んだ。
ここまで聞くと、お菓子作りが大好きなお菓子屋の店員さんなのだが…
「さてと、お互いのことも沢山知れましたし…俺と沙也加さんは今日からお友達ですね」
オトモダチ…おともだち…お友達?!
私と紗倉さんがですか!!?
私があわあわしているところ彼は私の携帯をひょいと持ち上げ、慣れた手つきでロックを解除する。
いっ…一体どこで私のパスワードを!
「はい、これ俺の電話番号とL〇NE登録しときました。これで何時でも連絡がとれますね」
彼は嬉しそうにニコニコしている。
「あ、それから今日から友達なんですし沙也加さんも俺のことは下の名前『肇』って呼んでください」
私は恐れ多い!と断ろうとしたのだが、またしても彼の否と言わせない圧を感じ首を縦に振るしかなかったのだったー。




