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鍵を届けようと紗倉さんのあとを追いかけるも、入り込んだ道を通っているようでなかなか追いつかない。
見失った…と思った矢先のことである。
「追いかけっこはここまでにしましょうか、お姉さん?」
ガチャっと普段生活を送る中で聞くことのない物騒な音が耳に入る。
恐る恐る振り返るとそこには見慣れたはずの紗倉さんの顔が…
「おっと」
彼は逃げないようにか私の腕を左手で拘束した。
いつもとは違った雰囲気を醸し出していて、場違いにもかっこいい、絵になるなぁと思ってしまう…その右手に持っている銃を除けば。
「あれ…?君はアテルによく来る…ええっと、たちばなさやかさんだっけ?」
名前を覚えていただいてる…!?
通ってる甲斐があったなと思う。
そう、場違いにも…。
「普通の人である貴女が何故私を…?」
普通の人 と警戒と拘束を解いた彼は改めて私の全身を見渡す。
「ああ、鍵を届けてくれようとしていたんですね。
怖がらせてしまってすみません」
彼は銃を懐に戻し、私が持っていた鍵を受け取った。
「ありがとうございます。
貴女は鍵を届けに来てくれただけ、そうですよね?」
否を言わせないような圧の問に私は何回も首を縦に振った。
「ふふっ。さて、暗くなってきましたし女性が1人で出歩くのも危ない。家まで送っていきましょう」
こちらも否とは言わせないような圧を感じ、私は有難く送迎をお願いさせていただいた。
「おっと、その前に…」
彼は懐から再度銃を取り出し、私を…いや、私の後ろに銃口を向けた。
パシュッ
サプレッサーが付いているのか、それほど大きな音はならない。
まさかゲームや映画ではなく現実でこのような音を聞くことになるなんて…
私は恐る恐る振り返ろうとするも、紗倉さんに「こらっ」と制止される。
「誰に依頼されたかは分かりませんが…プロである私を殺そうなんて、君たちには早すぎますよ」
言っても遅いですがね…と。
彼はポケットからスマホを取り出すと何か文字を打ち出した。
「あぁ、お時間取らせてしまいすみません。
今のはお気になさらず、さあ、帰りましょうか?」
先程の連絡は恐らく誰か…仲間に処理をお願いしたのだろうか?
ここまで聞いて見てしまったのだから気になるといえば気になるが…
この目の前の王子様を怒らせると私の命も危ない…
そう瞬時に考え私は再度こくこくと首を縦に振った。
「ふふっ、そう怯えなくても…貴女をさっきのと同じような姿にはさせませんよ。もちろん口が軽くないのであれば…ね?」
ああ、どうやら私は危ない人に認識されてしまったみたいだ…




