表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
境界線の観測者 ―身分なき少女と、許可深度を超過した少年の2週間―
92/141

7章サブ話③: 『港町異常事態─住民証言記録』

主人公は、以前から海沿いで測定器を使い続けていた。

街の人々は、その行動を日常の一風景として特に気にかけていない。

【証言記録】港町住民──Day 13


証言①:漁師・トーマス(47歳)

「もう、わからん」

「何が起きてるのか、何も」

「朝起きたら、街が静かだった」

「いつもなら市場が賑やかなのに」

「店が、半分閉まってた」

「なんでだ?」


「……海?」

「ああ、海は」

「おかしい」

「何がって言われても困るんだが」

「空気が、重い」

「波の音も、変だ」

「リズムが、ない」

「いつもは規則的なのに」

「今は……バラバラだ」


「東?」

「東には行かない」

「絶対に」

「網が五つも破れたんだぞ」

「引き裂かれたみたいに」

「魚もいない」

「何かがいる」

「何かが、あそこにいるんだ」


証言②:雑貨店主・マリア(52歳)

「店、閉めました」

「だって、誰も来ないんですもの」

「昨日から、街がおかしいんです」

「みんな家にこもってる」

「外に出たくないって」


「理由?」

「……説明できません」

「でも、わかるんです」

「何か、いけないことが起きてる」

「空気が、違う」

「重たくて、息苦しくて」

「外に出ると、胸が苦しくなるんです」


「子供?」

「ああ、あの測定器の子」

「見ました、朝早く」

「窓から何か測ってた」

「いつもやってるみたいですけど」

「……あの子、何を見てるんでしょう」


証言③:商人・ロベルト(39歳)

「荷物、動かせない」

「いや、物理的には動かせるんだが」

「なんていうか……」

「直感?」

「今、動かさない方がいい」

「そう思うんだ」


「昨日の夜から、ずっとだ」

「東の方が、光ってた」

「六時間、ずっと」

「朝までずっと光ってたんだぞ」

「そんなこと、初めてだ」


「波?」

「ああ、波がおかしい」

「リズムがない」

「怖がってるみたいだ」

「何を怖がってるのか、わからないが」


証言④:パン屋・エレナ(34歳)

「パン、焼いたんです」

「でも、誰も買いに来ない」

「朝から、一人も」


「鳥が、鳴かないんです」

「いつもなら、朝からうるさいのに」

「今朝は、静かで」

「不自然なくらい、静かで」


「子供たちも、外に出ません」

「親が止めてるんです」

「『今日は家にいなさい』って」

「みんな、わかってるんです」

「何かが、おかしいって」


証言⑤:元船乗り・ジョン(68歳)

「昔、聞いたことがある」

「大嵐の前は、こんな感じだって」

「静かで」

「重たくて」

「何かが、来る」


「でも、今回は違う」

「空は晴れてる」

「風もない」

「なのに、この感じ」

「嵐より、もっと……」

「何か、大きいものが」


「東の光?」

「見た」

「あれは、自然じゃない」

「何かが、動いてる」

「何が動いてるのか、わからないが」

「止まらない」


【記録終了】


【ギルド職員・補足メモ】

「全員が、同じことを言っている」

「『説明できないけど、おかしい』」

「『空気が重い』」

「『東が怖い』」


「これは、集団パニックか?」

「それとも……」


「九歳の子供の報告書、もう一度読み直すべきか」

「あの子が測ってる『何か』が」

「本当に、実在するのか」


「でも、信じられるか?」

「子供の、数字だけの話を」


「……いや」

「もう、信じるしかないのかもしれない」


【未解決事項】

∙なぜ全員が「説明できない異常」を感じているのか

∙東の光は何なのか

∙なぜ波のリズムが乱れているのか

∙なぜ鳥が鳴かないのか

∙この「空気の重さ」の正体は何なのか


記録者:港町ギルド支部職員


日付:Day 13


備考:

住民の集団的異常感覚を記録。

原因不明。

上層部への報告必須。


(彼らは「マナ」という概念を知らない。ただ恐怖だけが、確かにそこにある)

主人公は、周囲の困惑をよそに観測の記録を更新した。

結果として、住民たちが感じている違和感の正体は伏せられたままである。

ただ、その静寂がいつまで続くかは分からない。


よろしければ、ブックマークで続きを追っていたいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ