7章サブ話②: 『港町ギルド支部 報告書No.1447-B 追加証拠要求通達』
主人公は、九歳の子供としてギルドに詳細な記録を提出していた。
受付の主任は、そのデータの精度が整いすぎている点にだけ引っかかっている。
【ギルド本部 宛】
発信日時:
第三紀1500年 12月12日 深夜2時47分
発信者: ロナン・ヴァレス(港町支部 受付主任)
件名: 異常事象報告No.1447 追加証拠提出および██████機密区分:
C級(支部内限定)→ 【B級へ格上げ申請中】
【緊急】本部即断要
前回報告(12月11日付)にて提出した「港町東部海域における異常事象」について、情報提供者A より追加証拠が提出されました。
私は、この報告書を書くべきか、焼却すべきか、判断がつきません。
1. 漁師からの証言記録(計██名)
提供者Aが独自に収集した証言。
各証言には 氏名・年齢・職業・証言日時 が記載されており、形式は███████。
主な内容:
∙「去年の秋から魚が獲れなくなった」
∙「███で網が破れる。引き裂かれたような傷」
∙「海水が妙に温かい。季節に合わない」
∙「昔から、███の流れは変だと言われていた」
証言は 複数の独立した情報源 から得られており、内容に矛盾はありません。
問題点:
九歳の子供が、どうやってこれほど多くの漁師から証言を引き出したのか。
漁師たちは、なぜ子供の質問に答えたのか。
2. 発光現象の詳細記録
提供者Aが夜間観測により記録した「光」の詳細。
記録内容:
∙発光時刻(規則的な間隔、詳細は添付資料参照)
∙持続時間(段階的に増加)
∙色(███████)
∙発光回数(一晩で複数回)
これらは 時系列で整理 されており、パターンの変化が明確に記録されています。
問題点:
九歳の子供が、なぜ夜間に一人で海を観測していたのか。
保護者は何をしていたのか。
なぜ、これほど正確な時刻を記録できたのか。
評価と問題点
データの質について
率直に言えば、異常です。
∙筆跡は子供のもの。文字は丁寧だが、時折震えている。
∙記録の精度は、訓練を受けた観測者に匹敵する。
∙測定器のスケッチは、私には理解できない。
私は、このデータを 信じたくありません。
なぜなら、信じてしまえば、港町で何かが起きている ことを認めなければならないからです。
本部が却下してくれることを、私は望んでいます。
本部への申請内容
以下の理由により、本件の再評価 を申請します。
1.証拠の質が予想を超えている無視するには、整いすぎている。
2.漁業への影響が深刻化放置すれば、街の経済が崩壊します。
3.発光現象の規則性自然現象とは考えにくい。何かが、意図的に光っている。
追加要請事項
本部判断により、以下のいずれかの対応を求めます。
∙調査団の派遣(最短███後)
∙専門家による測定器の検証
∙追加証拠収集の指示(当支部で継続)
現状、当支部では 判断材料が不足 しています。
というより、判断したくありません。
備考
情報提供者Aは、年齢に似合わぬ冷静さでした。
九歳の子供が、なぜあれほど落ち着いているのか。
なぜ、あれほど正確なデータを持っているのか。
私は、怖かった のです。
【本部回答待ち】
※ 追記(12月13日):本部より返信なし。催促の書簡を送付予定。
※ 追記(12月14日):情報提供者A、再来せず。父親(商人バルト)に確認したところ、「子供は元気だ」とのこと。
では、なぜ来ないのか。
ロナン・ヴァレス港町支部 受付主任印章: ██████
添付資料
∙漁師証言録(██名分)
∙発光時間記録表(███日分)
∙測定器スケッチ(提供者A作成、解析不能)
【機密区分: B級へ格上げ申請中】
【閲覧制限: 支部長以上】
※ 本報告書は、情報提供者Aの 氏名を伏せて 記録しています。
※ 追加証拠の原本は、支部金庫に保管中。
※ 本報告書提出後、私は███████を見ました。※ 詳細は、口頭にて報告します。
未解決事項:
∙なぜ九歳の子供が、これほど精密なデータを収集できたのか。
∙測定器とは何か。どのような原理で動作するのか。
∙発光現象の正体は何か。
∙なぜ、私はこれほど怖いのか。
【本部回答期限: 12月15日】
【期限経過後の対応: ███████】
-----
主人公は、追加証拠の提出を終えたあとの足取りを止めた。
結果として、ギルド側がその内容をどう扱うかは決まっていない。
ただ、窓口の男がなぜ怯えていたのかは分からない。
よろしければ、ブックマークで続きを追っていたいただけると嬉しいです。




