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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
規格外の【確率深度】がバレた! エルフ教育とデモン監視システムからの最初の警告
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【第2章 第1話】 異常な才能

一歳での「魔法適性検査」


誰もが形式的な通過儀礼だと考えていたが、


測定器が示した数値は熟練魔法使いと同等だった。


主人公が自覚なく放った無詠唱魔法は、ただの早熟ではない


それは、世界の監視システムへの決定的なサインとなる。

「確率深度、0.25」


検査官の声が震えた。


僕は1歳——そして、もう普通じゃないってバレた。


「え……と」


検査官のドワーフ、ゴードンが測定器を何度も叩いている。


「故障か? バルドゥン、お前の作った機械、精度はどうなってる」


「俺の測定器に文句言うな。精度99.7%だ」


父の横に立つバルドゥンが腕を組んで言い返す。


「じゃあ、なんで1歳児が0.25なんだ?」


「知るか」


母の手が僕の肩を強く抱く。暖かい。


(やっぱり、バレたか)


測定室は港の商業ギルド本部。石造りの壁に魔法陣が刻まれてる。


「再測定する」


ゴードンがレバーを引き直す。銀色の球体が僕の前に浮かび、淡い青光を放つ。


「手をかざして」


「はーい」


僕は右手を伸ばす。


……が、緊張で震えてる。


(くそ、1歳児の身体、マジで不便)


母が僕の手を優しく支えてくれた。


「だいじょうぶよ」


センサーが反応し、測定器の針が動く。


カチッ。


また同じ位置。


「……0.25」


ゴードンが息を呑む。


「マジか」


バルドゥンが測定器の画面を覗き込む。


「確率深度0.25。熟練魔法使いと同等だ」


「1歳児が!?」


「数値は嘘をつかん」


父が一歩前に出る。


「それで? これは何か問題なのか?」


ゴードンが顔を上げた。驚き、困惑、そして少しの恐れが混じってる。


「問題というか……0.20以上は『高適性個体』として報告義務がある。法律で」


「報告?」


母の声が硬くなる。


「はい。魔法管理局へ」


(監視対象リスト入りか)


前世のゲーム開発でよくあった。強すぎるキャラは運営が監視する。この世界も同じだ。


「……わかりました」


父が頷く。


「ただし、息子の情報は必要最小限で」


「もちろんです」


ゴードンが羊皮紙に書き込む。


僕は母の腕の中で、センサーをじっと見つめた。


(このセンサー、効率悪いな)


青光の明滅パターンが不均一。もっとシンプルにできるのに——


「あ」


手から、小さな光球が浮かんだ。


「!」


母が息を呑む。


「今……魔法を?」


「まま、みて」


僕は光球を指で触る。ふわふわしてる。


そして、色を変えてみる。


青から、緑へ。緑から、赤へ。


「……」


検査室が静まり返った。


ゴードンが固まる。バルドゥンが髭を撫でる。父が目を見開く。母が僕を抱きしめる。


「えっと」


僕は光球を消して、首を傾げる。


「だめ、だった?」


「い、いや」


ゴードンが咳払い。


「だめじゃない。ただ、1歳で色変更は……通常5歳からの応用課題だ」


「しかも無詠唱。制御も安定してる」


バルドゥンが呟く。


「これは『早期魔法発現』も記録します」


父が僕を見る。誇りと、少しの不安が混じった目。


「息子よ、お前、どこまでできるんだ?」


「ん?」


(どこまでって言われても)


理論はもう大体わかってる。光球なんて単純な確率操作だ。


でも、それを説明する言葉がない。


「えっと……かんたん」


「……」


母が僕の頭を撫でた。


「この子、本当に1歳?」



帰路


検査を終えて、僕たちは港の石畳を歩いてる。


夕陽が海を赤く染めてる。カモメが鳴いてる。


母が僕を抱いて歩き、父がその隣を歩く。


「エリス」


父が口を開く。


「あの検査結果……どう思う?」


「……わからない」


母が僕をぎゅっと抱きしめる。


「でも、この子は私たちの子。それだけは確か」


「そうだな」


父が笑う。


「才能があるだけだ」


でも、母の声は少し震えてた。


僕は母の首に腕を回す。


「まま、だいじょぶ」


「……ええ。大丈夫」


母が微笑む。


でも、その目は少し潤んでる。


(心配かけちゃったな)


僕は母の肩に顔を埋める。


(強くなる。家族を、守れるように)



家に帰って


夕食後、寝かしつけの時間。


母が僕の隣に座る。


「眠れない?」


「ちょっと」


「今日は色々あったものね」


母が頭を撫でる。


「ねえ、お母さん」


「なに?」


「ぼく……へん?」


母の手が止まる。


「変じゃないわ」


「でも、みんな、びっくりしてた」


「それはあなたがすごいからよ」


「すごい?」


「ええ」


母が僕を抱きしめる。


「あなたは特別。でも、それは悪いことじゃない。お母さんとお父さんは、あなたを誇りに思ってる」


「……」


僕は母の胸に顔を埋める。


暖かい。安心する。


「まま、だいすき」


「私もよ」


母が僕の背中を優しく叩く。


その規則的なリズムに、僕は少しずつ眠くなる。


今日は疲れた。


本当に、疲れた。


(……でも)


眠る直前、ふと背筋が寒くなった。


(だれか……見てる?)


窓の外を見る。真っ暗だ。


気のせい——かな。


エピローグ


その夜、港の商業ギルド本部。


ゴードンの執務室で、彼は報告書を封印していた。


「……よし」


宛先は王都魔法管理局。


「1歳で0.25、か」


ゴードンは窓の外を見る。


「あの子、どうなるんだろうな」


執務室の魔法陣が淡く光った。


通信魔法だ。


「はい、ゴードンです」


『報告を受けた。該当個体の詳細データを送信せよ』


機械的な声。


ゴードンは眉をひそめる。


「……どちら様で?」


『魔法監視局、第三部門。我々はデモンシステムの補佐機関だ』


「デモン……」


ゴードンの背筋が凍る。


『該当個体は監視対象リストに追加された』


通信が切れる。


ゴードンは椅子に深く座り込んだ。


「あの子……」


画面の向こう


さらに遠く。


誰も知らない場所。


巨大なマナ処理施設の奥深く、無数の水晶球が淡い光を放っている。


その一つに、新しいデータが刻まれた。


```

【異常個体:要監視】

年齢:1歳

確率深度:0.25

早期魔法発現:確認

リスク評価:中

監視頻度:月次

```


水晶球が静かに脈動する。


デモンシステムが、静かに記録を続ける。


僕は、まだ何も知らない。


遠くで、誰かが——何かが——僕を見ている。


その事実に気づくのは、もう少し先の話。


-----

第1話 完

-----

検査で「高適性個体」と判定された主人公は、


魔法管理局、そして裏のデモンシステムの監視対象に


追加された。


家族の優しさに包まれながらも、


自分の異常な才能が世界に大きな波紋を広げ始めたことに、


彼はまだ気づかない。


最適化された選択は、次にどんな形で世界から返ってくるのか


次回 2025/12/28 20:00 第2章 第2話 エルフの常識、論理の非常識


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