【第1章 第5話】 最初の魔法
討伐隊の船が海に消え、港に緊張が続く中、主人公はついに「魔法のコード」を視認することに成功する。
それは世界への干渉を可能にする鍵。
しかし、小さな光を灯した直後、上空からはシステムの「警告」が発せられていた。
冒険者の仕事は、危険だ。
頭では分かっていたつもりだった。
でも――
「殺意」を向けられる恐怖までは、計算できていなかった。
意識が戻る。
頭に焼きついてるのは――
```
Step 1: mana_gathering(radius=0.5m, amount=10units)
Step 2: increase_probability(photon_emission, delta=0.005)
```
(これ……母の魔法だ)
目を開ける。天井。自分の部屋。
母の顔。「よかった……」
(昨日、光を出して……倒れた)
体が重い。でも、頭は冴えてる。
魔法の構造が、まだ視界に残ってる。
(ソースコードとして、見えた)
階下から声。
「被害は窓二枚。倉庫は無事」
「マナ濃度は1.28。少し下がった」
母が俺を抱いて降りる。
父が振り向く。傷だらけ。でも笑ってる。
「起きたか」
マルタがお茶を運ぶ。
「旦那様、エルフから連絡が」
父の顔が曇る。
「契約は?」
「延期と」
ガルムが舌打ち。「また振り出しか」
父が俺を膝に乗せる。
目の前に、マナ濃度計。
1.31。1.29。1.33。
数字が揺れてる。
「不安定だな」
俺は手を伸ばす。
指先が、装置に触れる。
――ピッ。
1.30で固定される。
「今……」
母が息を飲む。「入力……した?」
(これ……システムへのアクセスだ)
午後。母が俺に魔法を見せる。
手をかざす。小さな光球。
「見てるだけでいいのよ」
指が光に触れる瞬間――
頭の中に、流れ込む。
```
Step 1: mana_gathering
Step 2: increase_probability
Step 3: lock_probability_field
Step 4: release
```
(魔法の……ソースコードだ!)
俺の手から、光。
母の十分の一。でも、確かに。
「まさか……!」
世界が揺れる。視界が暗くなる。
意識が落ちる。
夜。目が覚める。
父が帰ってきてる。
「デモン監視システムが警告を出した」
「LEI値が0.052だ」
母が息を飲む。「閾値まで……」
「あと少しだ」
父が俺を見る。
「魔法を使ったんだってな」
「でも……」真面目な顔。
「魔法は諸刃の剣だ」
(知ってる)
翌朝。ノックの音。
ドアが開く。
背が高い。耳が長い。
「アリエル・シルヴァです」
父が立つ。「契約は……」
「撤回します」
「本当か?」
「ダンジョンが成長してるなら」
アリエルの目が窓へ。
「逃げるより、対処が合理的」
(合理的……!)
アリエルが俺を見る。
「この子が?」
母が頷く。「昨日、初めて……」
じっと見る。
「確率操作への適性……高い」
微笑む。
「いつか、話しましょう」
「システムの、深い話を」
(……!)
契約成立。
午後、港が騒がしい。
討伐隊が出る。船が六隻。
母が窓辺で俺を抱く。
「見て」
海の向こう。黒い塔。
船団が近づく。
「成功するかしら」
俺は呟く。「だい……じょ……ぶ」
母が笑う。「そうね」
夕方。光が爆発する。
魔法が塔に当たる。
轟音が遅れて届く。
塔が欠ける。でも――まだ立ってる。
「すぐには終わらないわね」
父が地図を見てる。
ガルムが倉庫を整理してる。
マルタが夕食の準備。
みんな、動いてる。
世界が、動いてる。
夜。一人、ベビーベッド。
窓から月明かり。
マナ濃度計:1.28。
俺は手を見る。
もう一度。
集中する。
(マナを集めて……)
小さな光。一瞬。すぐ消える。
でも――また出せた。
(理解すれば、使える)
窓の外。
討伐船団の光が、また爆発する。
塔が、少し削れる。
(まだ終わらない)
(でも、進んでる)
俺は拳を握る。
転生して三ヶ月。
声を手に入れた。
魔法のコードを見た。
家族は戦い、世界は変わった。
(でも、これからだ)
(三ヶ月後、魔法適性検査)
(その日までに、このコードを――)
夕日が沈む。
部屋が暗くなる。
でも――
俺の手には、小さな光が灯った。
守れた。
魔法を反射し、敵を倒した。
けれど、震えが止まらない。
僕はこの手で、世界の仕様をねじ曲げてしまった。
『監視レベルを引き上げます』
脳裏に響くシステム音。
平穏な日々は、もう終わる。
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【第1章 第5話】
【第1章「【転生】乳児プログラマー、異世界の魔法をシステムコードとして解析する」完結】
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黒い塔に魔法を反射させ、家族の危機を救った主人公。
だが、その行為は世界のシステムに「権限外の干渉」として記録されてしまう。
初めての平穏な日々は終わり、幼い天才児は世界からの「監視」という新たなルールに直面する。
最適化された選択は、次にどんな形で世界から返ってくるのか。
2025/12/24の20:00、
第1章を締めくくる【サブログ(外伝)】を公開します。
ここですべての伏線が繋がります
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