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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
『森の学舎(まなびや)と古(いにしえ)の遺跡 ——九歳からの留学記、世界設計図の断片——』〜戦争が引き裂く故郷と、エルフ領域に眠る世界の核心〜
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【第5章 第9話】 封印された真実

九歳。ついに解かれる禁断の封印。

長老に導かれ、レイが足を踏み入れたのは、かつて神に近づこうとして滅びた「Cycle 2」の記録庫だった。

そこで目にしたのは、高度な文明が欲望の果てに崩壊し、世界がリセットされるまでの生々しい記憶。

少年は、これまで敵だと思っていた「デモンシステム」に隠された、あまりにも切実な誕生の理由を知ることになる。

オープニング:呪いの門


「触れるな」


長老の声が、森に響く。


「見ただけで——呪う」


石畳。


古代文字が、刻まれてる。


「知識は——代償を求む」


僕の心臓が、早い。


(これが——真実の入口)


アリエルの手が、震えてる。


「まだ引き返せる」


長老が、振り返る。


選択肢。


でも——


答えは、決まってる。


「進みます」


門が、開く。


青白い光。


冷たい。


踏み込む。


展開1:繁栄の記憶


「Cycle 2の記録庫だ」


長老の声。


壁一面の、水晶。


数万。


全てが、光ってる。


「触れれば——見える」


「彼らの、全てが」


手を、伸ばす。


冷たい。


視界が、変わる。


【記録01:神に近づいた者たち】


空中都市・アルカディア。


十二層の、巨大構造。


飛行艇が、行き交う。


子供が、魔法で空を飛ぶ。


笑い声。


豊かさ。


便利さ。


最上層——神殿区。


「我々は神を超える」


白衣の男。


高名な研究者。


拍手。


歓声。


誰も、疑わない。


視界が、戻る。


息が、荒い。


「すごかった——彼らは」


長老が、頷く。


「だが、故に堕ちた」


次の水晶。


触れる。


【記録15:無視された警告】


緊急評議会。


「マナ密度3.2」


「限界は2.5だ!」


ざわめき。


画面に、警告。


```

WARNING: LEI > 0.15

CRITICAL: System Stability at Risk

```


「無視しろ」


白衣の男。


「システムを超える」


「神代魔法で——書き換える」


反対の声。


でも——


少数。


欲望が、勝つ。


胸が、痛い。


(わかってたのに)


(なぜ——)


「最後だ」


長老が、指す。


中央の、大きな水晶。


「崩壊の、全記録」


手が、震える。


触れる。


【記録24:世界が裂けた日】


実験室。


神殿最上層。


「準備完了」


白衣の男。


髪が白い。


目が、狂ってる。


「Primus Manaへアクセス」


「世界を——書き換える」


装置、起動。


マナ密度——5.0、6.0、8.0。


警告が、鳴り響く。


```

CRITICAL ERROR

LEI > 0.25

DEMON INTERVENTION: IMMINENT

EMERGENCY PROTOCOL: ACTIVATING

```


「無視しろ!」


「もう少しで——神に——」


光。


白い。


眩しい。


そして——


世界が、裂ける。


空間が歪む。


時間が止まる。


マナ暴走。


制御喪失。


「やめろ——」


「手遅れだ——」


悲鳴。


絶望。


都市崩壊。


層が落ちる。


人が消える。


光に飲まれる。


男の顔。


後悔。


絶望。


そして——


闇。


```

CYCLE 2: TERMINATED

RESET PROTOCOL: INITIATED

DEMON SYSTEM: ONLINE

```


視界が、戻る。


床に、膝をつく。


涙が、止まらない。


「これが真実だ」


長老の声。


「神になろうとした」


「ルールを書き換えようとした」


「そして——全てを失った」


アリエルが、抱きしめる。


彼女も、震えてる。


「だからデモンが生まれた」


「二度と——同じ過ちを繰り返さぬよう」


(デモンは——)


(敵じゃなかった)


(守護者だった)


立ち上がる。


ふらつく。


「もっと——ありますか?」


長老が、奥を指す。


「だが——見るべきではない」


「見せてください」


沈黙。


長老が、頷く。


「……後悔するな」


展開2:システムの誕生


最奥部。


黒い水晶。


一つだけ。


「デモンシステムの設計記録」


息を呑む。


「崩壊後——」


「生き残りが作った」


触れる。


【記録:DEMON_PROTOCOL.origin】


廃墟。


アルカディアの残骸。


三つの影。


老魔法使い。


若いエルフ。


一体のドラゴン。


「我々は失敗した」


老魔法使い。


「傲慢だった」


「欲望に溺れた」


「全てを失った」


エルフが頷く。


「だが——責任がある」


「二度と——こんな悲劇を」


ドラゴンが唸る。


『監視者を作れ』


『感情なき』


『公平なる』


「誰が監視者に?」


老魔法使い。


「我々は不完全だ」


『システムにせよ』


ドラゴン。


『アルゴリズムに』


『数値に』


『感情に惑わされぬよう』


作業開始。


残ったマナ、全て。


プリムスマナへアクセス。


世界のソースコード。


新しい層を追加。


監視システム。


KPI測定。


閾値判定。


介入プロトコル。


「これで文明は守られる」


老魔法使い。


「過ちは繰り返されない」


でも——


表情が暗い。


「代償として——自由を失った」


エルフ。


「革新を——進化を——制限された」


ドラゴンが首を振る。


『やむを得ぬ』


『自由と生存』


『どちらかを選ぶなら——生存だ』


システム起動。


青い光。


冷たい。


世界に浸透。


監視開始。


永遠に。


老魔法使いの最後の言葉。


「いつか——このシステムを超える者が現れるかもしれない」


「その時——願わくば」


「賢明であれ」


「我々のように愚かであるな」


視界が戻る。


立ってられない。


座り込む。


(デモンは——)


(人間が作った)


(エルフが作った)


(ドラゴンが作った)


(自らを縛るために)


「わかったか?」


長老。


「デモンは敵ではない」


「守護者だ」


「我々を——我々自身から守る」


アリエルが手を握る。


「レイ、大丈夫?」


大丈夫じゃない。


でも——


「平気」


立ち上がる。


「質問いいですか?」


「観察者——黒マントの人」


「あれは何ですか?」


長老が目を細める。


「……やはり知っているか」


「彼女は——」


声が響く。


後ろから。


「私が答えましょう」


振り返る。


黒マント。


観察者。


ここにいる。


転換点:デバッガーの告白


「どうやって——」


アリエルが身構える。


「この遺跡は封印されて��る」


観察者がフードを下ろす。


若い顔。


でも——


目が古い。


何千年?


「私は——デモンシステムの管理者」


「正確には——デバッガー」


息を呑む。


「デバッガー?」


「システムにはバグがある」


彼女が微笑む。


「完璧ではない」


「だから私が修正する」


「観測ノードの密度減少」


「あれも私の仕事」


「あなたを守るために」


(守る?)


「なぜ僕を?」


「あなたが特別だから」


近づく。


手を僕の額に。


冷たい。


視界が変わる。


【観察者の記憶:発見】


白い部屋。


無数のモニター。


文明データ。


人間、エルフ、ドワーフ、獣人。


全て監視下。


「また上がった」


若い観察者。


「人間文明のLEI——0.055」


「閾値超過」


画面に警告。


```

WARNING: Altania Kingdom

LEI: 0.055

Estimated intervention: 30-50 years

```


「介入準備?」


同僚の声。


「いや——待って」


「異常値を検出」


画面を指す。


「ルミナス港、一人の子供」


映像。


幼い僕。


マナ濃度計を見てる。


「観測ノード——この子、見てる」


「普通は見えないのに」


画面が変わる。


僕が魔法を使ってる。


コード解析してる。


「魔法をプログラムとして理解してる」


彼女が驚く。


データ流れる。


前世の記憶。


プログラマー。


「転生者——しかもシステムを理解できる」


「危険では?」


同僚。


「システムをハックするかも」


「いや——逆よ」


彼女が微笑む。


「この子はシステムを改善できる」


「デバッグできる」


「Cycle 2の過ちを繰り返さずに」


「だから——守る、育てる」


「そしていつか——」


画面を見つめる。


「システムを超えてもらう」


視界が戻る。


「わかった?」


観察者。


「あなたは——僕を実験してる?」


「いいえ」


首を振る。


「希望を託してる」


「Cycle 2の生き残りとして」


「いつか——このシステムをより良くできる存在として」


長老が言う。


「彼女はCycle 2最後の生き残り」


「崩壊を生き延びた」


「そして——デモンシステムに組み込まれた」


「永遠にデバッグし続ける存在として」


観察者が頷く。


「二千年——ずっと見てきた」


「文明が生まれ、育ち、時に堕ちる」


「でも——あなたは違う」


「システムを理解してる」


「そして改善しようとしてる」


「破壊ではなく」


「だから協力したい」


手を差し出す。


「一緒により良い世界を」


僕は手を見る。


選択肢。


協力する?


データ共有?


でも——


それは——


自由を失う?


(どうする)


クライマックス:契約


沈黙。


アリエル。


「レイ、無理に決めなくていい」


「いや」


僕は言う。


「今決める」


観察者を見る。


「質問いいですか?」


「どうぞ」


「協力したら——僕は自由ですか?」


彼女が微笑む。


「もちろん」


「強制しない」


「ただ——情報を共有したい」


「あなたの発見を」


「私の知識を」


「それだけ」


「でも——デモンシステムは?」


「監視されますよね?」


「される」


率直に。


「あなたは既に監視されてる」


「全ての文明が」


「だが——私の協力があれば」


「少しだけ自由度が増す」


「どういう意味?」


画面が出る。


マナ製。


```

Current:

Innovation Restriction: Medium


With Cooperation:

Innovation Restriction: Low (within bounds)

```


「あなたの革新を危険と判定されにくくする」


「デモンシステムに『これは改善だ』と伝える」


「それってハックじゃないですか?」


彼女が笑う。


「デバッグよ」


「システムが誤判定しないよう調整する」


「私の仕事」


長老。


「レイ、お前はここで学んだ」


「真実を知った」


「だが——知識は重い」


「それでも進むか?」


(進む?)


思考を巡らせる。


Cycle 2。


崩壊。


デモンシステム。


監視。


制約。


でも——


それは必要だった。


自由すぎれば破滅。


制約があれば生き残れる。


でも——


制約の中でも革新できる。


より良くできる。


それが僕の道。


決めた。


手を伸ばす。


観察者の手を。


握る。


「協力します」


「でも——条件があります」


「言って」


「僕は自分の意志で動く」


「指示には従わない」


「わかった」


「そして——家族を守る」


「友達を守る」


「文明を守る」


「それが僕の優先順位」


観察者が微笑む。


「それでいい」


「それこそが私が求めてたもの」


「システムに従うだけじゃない」


「自分で考える」


「自分で選ぶ」


「そういう存在」


握手。


冷たい。


でも——


温かく感じる。


青い光が走る。


契約の光。


データが共有される。


観測ノードの詳細。


デモンシステムの構造。


KPI計算式。


介入プロトコル。


そして——


回避方法。


合法的な。


頭が痛い。


情報が多すぎる。


でも——


理解できる。


プログラマーの脳で。


「すごい——これが世界の全て」


「全てではない」


観察者。


「でも——ほとんどよ」


「使いこなせれば——あなたはこの世界で最も自由になれる」


アリエルが笑う。


「よかった」


「レイが正しい選択をしたみたい」


長老が頷く。


「では——正式に迎え入れよう」


杖を掲げる。


「レイ・アルブライト」


「本日より——シルヴァン・イーヴンリースの客員研究者として認める」


「古代知識へのアクセスを許可する」


「そして——我が評議会の助言者として迎え入れる」


拍手。


評議会メンバー全員。


僕を認めた。


エンディング:嵐の予兆


【遺跡・外】


夕陽。


森が赤く染まる。


観察者。


「これから大変よ」


「わかってます」


「戦争もあるかもしれない」


「デモン介入もあり得る」


「でも——やってみます」


「より良くするために」


彼女がマントを翻す。


「では——また会いましょう」


「必要な時に私は現れる」


転移魔法の光。


消える。


アリエルが肩を叩く。


「疲れたでしょ?」


「帰りましょう」


「夕食用意してるわ」


「お腹空いた」


二人で笑う。


森を歩く。


でも——


同じ道ではない。


全てが変わった。


僕が知ったから。


世界の真実を。


【ルミナス港・同時刻】


父が書斎で手紙を読む。


エルフからの。


「レイは——やり遂げたか」


母が入ってくる。


「どうだった?」


「合格した」


「客員研究者だそうだ」


「まあ!」


抱き合う。


涙。


嬉しくて。


でも——


不安で。


「この子はどこまで行くのかしら」


「わからない」


「でも——信じよう」


窓の外。


港が見える。


船が行き交う。


平和。


でも——


遠くに黒い雲。


嵐の予兆。


【アルタニア王国・王都】


会議室。


国王と将軍たち。


「沿岸都市連合——拒否しました」


「関税引き下げを」


国王が立つ。


「ならば実力行使だ」


「準備せよ」


「はっ」


地図が広げられる。


ルミナス港。


赤い印。


「ここを制圧する」


「いつ?」


「三ヶ月後」


「レイ・アルブライトが帰還する頃だ」


冷たい笑み。


【デモン中枢・どこか】


無数のモニター。


データが流れる。


```

LEI Update:

Global: 0.054 (+0.002)

Altania: 0.068 (+0.005) [WARNING]

Lumis Port: 0.051 (-0.001) [STABLE]


War Probability: 68% (↑)

Estimated Outbreak: 90 days


Intervention Protocol: STANDBY

```


警告音。


誰もいない。


システムが自動判定。


冷徹に。


アルゴリズム的に。


でも——


一つのデータ。


別枠。


```

Special Monitoring:

Target: Ray Albright

Status: Collaborative Observer

Risk Level: Medium → Low (Adjusted)

Innovation Potential: High

Recommendation: Support with Constraints

```


観察者の調整。


デバッグの結果。


システムが少しだけ柔軟になった。


【エルフ領域・レイの部屋】


ベッドに横になる。


疲れた。


でも——


眠れない。


今日知ったこと。


多すぎる。


Cycle 2。


デモンシステム。


観察者。


契約。


そしてこれから。


目を閉じる。


脳裏に浮かぶ。


Cycle 2の崩壊。


人々の絶望。


そして警告。


「二度と繰り返すな」


(繰り返さない)


(でも——どうやって?)


窓の外。


星が輝く。


無数に。


その中の一つ。


ここ。


この世界。


(守れるのか?)


(僕に?)


不安。


でも同時に決意。


やってみせる。


より良くするために。


そっと呟く。


「おやすみお母さん、お父さん」


「また手紙書くね」


「待っててね」


眠りに落ちる。


深い。


夢は見ない。


ただ——


暗闇の中。


何かが待ってる。


未来が。

-----

第5章 第9話 完

-----

システムの管理者でありデバッガーを自称する観察者と、レイは対等な協力関係としての契約を結ぶ。

世界の真実という重すぎる知識を得たレイだったが、平穏な日常の裏側では、故郷ルミナス港を狙う王国の軍靴の音が静かに近づき始めていた。


最適化された選択は、次にどんな形で世界から返ってくるのか。

よろしければ、

ブックマークで続きを追っていただけると嬉しいです。

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