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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
『森の学舎(まなびや)と古(いにしえ)の遺跡 ——九歳からの留学記、世界設計図の断片——』〜戦争が引き裂く故郷と、エルフ領域に眠る世界の核心〜
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【第5章 第8話】三つの試練

九歳。エルフの都で行われる過酷な三つの試練。

第一の試練「七色変化」において、レイはエルフの伝統を無視した「グラデーション式」の魔力を披露し、長老の意表を突く。

続く第二の試練では、術式の深層に隠された「死の罠」に気づきながらも、古代の悲劇から生まれた安全装置を読み解いていく。

しかし、最後に突きつけられたのは、命の保証すらない「森の異常」の調査任務だった。

オープニング:罠の予感


「……速い」


評議会が、ざわつく。


僕の光球。


七色に、輝いてる。


でも——


何かが、違う。


長老の目が、細まる。


「構造が、おかしい」


(まずい)


(やっぱり、ダメか)


グラデーション式。


内側から外側へ。


赤が橙に。


橙が黄色に。


連続的に、溶け合う。


通常のエルフ式は——


七つの独立した球。


明確に、分かれてる。


アリエルが、息を呑む。


(信じてくれたのに)


長老が、立つ。


杖の音が、響く。


「レイ・アルブライト」


「はい」


「これは——感情マナの七色変化ではない」


視線が、刺さる。


「光学スペクトルの、物理的再現だ」


ざわめきが、広がる。


「やはり——」


「人間には無理だった」


アリエルが、前に出る。


「待って——」


「黙れ」


冷たい声。


彼女が、唇を噛む。


(どうする)


(このまま、失格?)


でも——


違う。


僕は、違うと思う。


前に、一歩。


「違います」


静まる。


「感情マナを理解してない——その通りです」


ざわめき。


「でも」


手を、伸ばす。


光球が、脈動する。


「これは、僕なりの解釈です」


「感情は——連続体だと」


赤が、濃くなる。


怒り。


青が、広がる。


悲しみ。


緑が、輝く。


希望。


「喜びと悲しみの間に——」


「たくさんの、グラデーションがある」


「明確に、分けられない」


七色が、流れる。


混じる。


でも——


それぞれが、残る。


「だから——僕は、こう作りました」


沈黙。


長老が——


笑った。


「……面白い」


杖を、床に。


「人間的だ」


「エルフは感情を分ける」


「だが——お前の言う通りかもしれない」


「第一試練——合格」


ざわめきが、爆発する。


アリエルが、安堵の息。


僕は——


(やった)


(でも——)


心臓が、早い。


まだ、二つある。


「では——第二試練」


床の術式が、変わる。


複雑に。


入り組んで。


光が、脈打つ。


「マナ回路の、解読」


「制限時間——二刻」


深呼吸。


(来た)


展開1:罠を見抜く


術式が、浮かぶ。


立体的に。


マナが、流れる。


青い光。


でも——


ところどころ、赤い。


(詰まってる?)


目を、閉じる。


マナ視覚化。


起動。


視界が、変わる。


コードが、見える。


フィルタリング。


増幅。


チャンネル分割。


統合出力。


(これは——)


コードの下に。


コメントアウトされた、何か。


```

// legacy_trap_protocol

// status: dormant

```


(罠だ)


心臓が、跳ねる。


でも——


動いてない。


なぜ?


前世の記憶。


セキュリティコード。


条件付きトラップ。


(もしかして——)


目を、開ける。


「質問、いいですか?」


長老が、眉を上げる。


「何だ?」


「この術式——罠が、仕込まれてますよね?」


ざわめき。


長老の目が、見開く。


「気づいたか」


「でも——発動してません」


「なぜ?」


長老が、笑う。


「お前が——許可されているからだ」


「アリエルの推薦で」


「仮のアクセス権を与えた」


なるほど。


「でも——普通の人間なら?」


「即座にマナ暴走」


「最悪——死ぬ」


空気が、凍る。


評議会が、僕を見る。


試すような。


「それでも——解読するか?」


アリエルが、震えてる。


でも——


止めない。


(信じてくれてる)


頷く。


「します」


「理由は?」


「知りたいから」


「それだけです」


「……本当に、好奇心の塊だな」


再び、目を閉じる。


術式に、意識を向ける。


層を、剥がす。


一つ。


二つ。


三つ——


深く。


そして——


核心。


生態系維持。


マナ循環最適化。


許可なき改変禁止。


そして——


警告。


Cycle 2崩壊の教訓。


神代魔法による改変。


破滅。


安全装置として罠を設置。


(これが——)


(Cycle 2の遺産)


目を、開ける。


「わかりました」


深呼吸。


「この術式は——生態系維持のための、マナ循環システム」


「目的は森全体のバランス調整」


頷きが、見える。


「方法は——」


「低周波フィルタリングでノイズ除去」


「増幅で信号強化」


「七チャンネル分割で属性別管理」


「最後に統合出力」


アリエルが、驚いてる。


「でも——罠がある」


「未承認アクセスには、マナ暴走」


視線を、上げる。


「これは——Cycle 2の教訓」


「神代魔法による改変の悲劇」


「だから——安全装置として」


静寂。


長老が、立つ。


「……完璧だ」


杖を、叩く。


「第二試練——合格」


「まさか——」


「Cycle 2の記録まで——」


評議会が、ざわつく。


僕は——


(あと一つ)


体が、重い。


でも——


まだ、できる。


長老の目が、鋭くなる。


「最後の試練は——最も難しい」


空気が、変わる。


「実践試験」


「森の異常を探し——修正せよ」


「制限時間——日没まで」


窓の外。


太陽が、高い。


(六時間?)


「案内はつけない」


「助けもない」


「お前一人で——やり遂げろ」


視線が、刺さる。


「森には危険がある」


「魔獣。罠。そして——古代の遺物」


「命の保証は、しない」


アリエルが、立つ。


「待って——」


「それは危険すぎる——」


「黙れ、アリエル」


冷たい声。


「これは試練だ」


「お前の推薦で来た子だ」


「ならば——その価値を証明させろ」


彼女が、唇を噛む。


僕を、見る。


不安。


でも——


僕は、笑う。


「大丈夫」


「信じてくれたでしょ?」


「だから——信じて」


立ち上がる。


長老に、頭を下げる。


「行ってきます」


「……気をつけろ、人間の子よ」


扉が、開く。


森が、広がる。


深い。


暗い。


踏み出す。


振り返る。


アリエルが、窓から。


手を、振ってる。


僕も、振る。


そして——


森へ。


展開2:腐敗の源


木々が、密集してる。


陽が、届かない。


マナが——


濃い。


でも——


流れが、おかしい。


目を、閉じる。


マナ視覚化。


青い光。


森全体に、張り巡らされてる。


でも——


一箇所。


黒い。


(あそこだ)


方向を、確認。


北東。


歩き出す。


森が、静か。


鳥も。


虫も。


いない。


(不自然だ)


前世の記憶。


立入禁止区域。


生き物のいない森。


(似てる)


十分後。


木が、変わる。


幹が、黒い。


葉が、萎れてる。


地面が——


湿ってる。


でも、水じゃない。


マナが、滲んでる。


腐った、マナ。


膝を、つく。


地面に、手を当てる。


冷たい。


ヌルヌルする。


情報が——


見える。


72時間前。


マナ溢出。


循環詰まり。


重大。


放置すれば——


ダンジョン化。


(もう、経ってる?)


立ち上がる。


周囲を、見る。


遠く。


何かが、動く。


影。


大きい。


四足。


目が、光る。


赤い。


(魔獣だ)


息を、止める。


影が、近づく。


ズシン。


ズシン。


地面が、揺れる。


姿が、見える。


狼。


でも——


普通じゃない。


馬ぐらいの大きさ。


毛が、黒い。


ところどころ。


青白く、光る。


マナが、滲んでる。


目が、僕を見る。


赤い。


敵意。


唸る。


低く。


喉の奥から。


ポケット。


父の、ナイフ。


(これじゃ、無理だ)


魔法?


でも——


戦闘魔法を使えば。


LEIが、上がる。


(でも——)


狼が、跳ぶ。


速い。


反射的に——


「《シールド》!」


青い、壁。


狼が、激突。


ガキン!


衝撃。


腕が、痺れる。


(まずい)


思考を、巡らせる。


プログラミング。


デバッグ。


エラーを、見つける。


修正する。


(この狼も——エラーだ)


マナの、汚染。


だから——


暴走してる。


ならば——


「《パージ》」


自作魔法。


汚染されたマナを、排出する。


光が、狼を包む。


青白い。


狼が、吠える。


苦しそうに。


マナが、流れ出る。


黒い。


ドロドロの。


地面に、落ちる。


消える。


狼の目が——


変わる。


赤から。


黄色に。


普通の、色。


唸りが、止まる。


僕を、見る。


敵意が、ない。


ゆっくり。


近づく。


鼻を、僕に。


匂いを、嗅ぐ。


そして——


舐める。


温かい。


「……大丈夫?」


狼が、頭を下げる。


感謝?


狼が、向きを変える。


歩き出す。


振り返る。


僕を、見る。


「……ついて来い、って?」


頷く?


(信じていいのか)


でも——


選択肢が、ない。


ついていく。


狼が、導く。


森の、奥へ。


転換:Cycle 2の残滓


十五分後。


森が、さらに暗い。


木々が、全て黒い。


地面が、ヌルヌル。


空気が、重い。


呼吸が、苦しい。


開ける。


空き地。


中央に——


遺物。


古代の。


球体。


直径、一メートル。


表面に、紋様。


でも——


ヒビが、入ってる。


そこから——


黒いマナが、滲む。


ドロドロと。


地面に、広がる。


(これが、原因)


狼が、止まる。


これ以上は、近づけない。


僕だけが、前へ。


遺物に、近づく。


紋様を、見る。


古代文字。


でも——


読める。


「封印——Cycle 2遺産」


「神代魔法の残滓」


「触れるべからず」


息を呑む。


ヒビから、マナが溢れる。


腐敗した。


制御されてない。


(封印が、壊れてる)


どうする?


修復?


でも——


神代魔法の遺物。


Level 4。


触れたら——


危険。


でも——


放置すれば——


森が、死ぬ。


ダンジョンが、生まれる。


(試験として)


(これを、用意した?)


深呼吸。


手を、伸ばす。


遺物に。


触れる。


冷たい。


そして——


視界が、変わる。


光が、溢れる。


白い。


眩しい。


都市。


巨大な。


空中に、浮かぶ。


塔が、そびえる。


金色に、輝く。


人々が、行き交う。


魔法が——


どこにでも。


誰もが、使ってる。


簡単に。


強力に。


空を、飛ぶ。


物を、創る。


時を、止める。


(これが——Cycle 2?)


声が、聞こえる。


「もっと、強く」


「もっと、速く」


「もっと、高く」


欲望が、渦巻く。


魔法が、暴走する。


空が、裂ける。


地が、揺れる。


塔が、崩れる。


人が、消える。


光が——


闇に。


崩壊。


全てが。


一瞬で。


最後に——


声。


悲痛な。


「我々は——神になろうとした」


「だが——世界が、許さなかった」


闇。


沈黙。


現実に、戻る。


遺物の前。


手が、震えてる。


涙が、出てる。


(これが——真実)


崩壊の、原因。


傲慢。


欲望。


制御を、失った。


そして——


世界が、リセットした。


デモンシステムが、生まれた。


二度と、同じ過ちを。


(だから——監視してる)


遺物が、脈打つ。


黒いマナが、溢れる。


時間がない。


どうする?


修復は、無理。


破壊も、危険。


ならば——


封印を、強化?


思考を、巡らせる。


プログラミング。


エラー。


修正。


でも——


これは、エラーじゃない。


仕様だ。


古代の、遺産。


ならば——


アップデート。


パッチ。


(上書きすればいい)


新しい、封印を。


今の、技術で。


エルフの、知識で。


そして——


僕の、理解で。


手を、遺物に当てる。


両手で。


目を、閉じる。


マナを、集める。


周囲から。


自分から。


コードを、書く。


脳内で。


上書き封印。


既存を、消さない。


上に、新しい層を。


現代のエルフ技術。


循環最適化。


汚染マナの浄化と再循環。


壊すのではなく。


流れを、変える。


実行。


マナが、動く。


青い、光。


遺物を、包む。


新しい、術式。


紋様が、浮かぶ。


現代の、エルフ文字。


重なる。


古代と、現代が。


黒いマナが——


止まる。


流れが、変わる。


地面から。


上へ。


循環。


浄化。


青く、変わる。


遺物の、ヒビ。


塞がる。


ゆっくりと。


確実に。


光が、弱まる。


マナが、安定する。


完了。


手を、離す。


遺物が——


静か。


黒いマナが、ない。


地面が、乾いてる。


木々が——


少し、緑に。


息を、吐く。


「……やった」


倒れそうになる。


狼が、支える。


体を、寄せてくる。


温かい。


「ありがとう」


狼が、鳴く。


優しく。


空を、見る。


太陽が、傾いてる。


(あと、二時間?)


立ち上がる。


ふらつく。


でも——


歩く。


戻る。


評議会へ。


狼が、ついてくる。


護衛のように。


森が、明るい。


少しだけ。


鳥の、声。


虫の、音。


戻ってきた。


(生きてる)


クライマックス:認められた証


評議会。


扉を、開ける。


よろめく。


アリエルが、駆け寄る。


「レイ!」


抱きしめられる。


温かい。


でも——


体が、冷たい。


「大丈夫——」


「嘘!血だらけよ!」


手を、見る。


確かに。


傷だらけ。


いつの間に?


長老が、近づく。


「報告せよ」


アリエルが、睨む。


「見ればわかるでしょう!この子は——」


「報告を、聞く」


彼女が、唇を噛む。


僕は——


深呼吸。


「異常を、見つけました」


「森の北東」


「古代遺物からの、マナ汚染」


「封印が、破損してました」


ざわめき。


「修復しました」


「新しい術式で——上書き封印」


「汚染マナは、浄化循環へ」


静寂。


長老が、目を見開く。


「……まさか」


「本当に、やったのか」


「はい」


「証拠は?」


外を、指す。


「森が、回復してます」


「確認を」


長老が、手を上げる。


エルフが、飛び出す。


十分後。


戻ってくる。


「報告します」


「北東の森——マナ汚染、消失」


「生態系、回復傾向」


「古代遺物——新術式で封印強化」


「安定」


ざわめきが、爆発する。


「本当に——」


「人間の子が——」


「たった一人で——」


長老が、立つ。


杖を、叩く。


静まる。


彼が、僕を見る。


長い、沈黙。


そして——


深く、頭を下げる。


「……参った」


評議会が、ざわつく。


「長老!?」


「何を——」


「黙れ」


長老が、顔を上げる。


目が——


笑ってる。


「レイ・アルブライト」


「第三試練——合格だ」


「いや——合格以上だ」


拍手。


評議会から。


全員が。


立って。


アリエルが、涙ぐむ。


僕は——


よくわからない。


ただ——


体が、限界。


倒れる。


アリエルが、受け止める。


「よくやったわ」


「よく——頑張ったわ」


意識が、遠のく。


最後に、聞こえる。


長老の、声。


「明日——正式に、迎え入れる」


「そして——古代遺跡への、案内を」


「彼には——知る資格がある」


(遺跡——)


(真実が——)


闇に、落ちる。


温かい、闇に。


でも——


その闇の底で。


何かが、待ってる。


エンディング:動き出す影


【ルミナス港】


母が、窓辺に。


港を、見つめる。


父が、背後から抱きしめる。


「大丈夫だ」


「……ええ」


でも——


涙が、止まらない。


海が、広がる。


波が、寄せる。


遠く。


森の方角。


雲が、動く。


風が、吹く。


変化の、予兆。


【観察者の部屋】


水晶を、見つめる。


レイが、倒れる姿。


「……よくやった」


「でも——」


表情が、曇る。


「遺跡には——」


「彼が知るべきでないことも」


「知れば——」


「もう、戻れない」


立ち上がる。


マントを、羽織る。


「急がねば」


「彼が深入りする前に」


部屋を、出る。


廊下。


足音。


速く。


そして——


消える。


転移魔法。


目的地——


エルフ領域。


古代遺跡。


封印された、真実の場所。


【エルフ評議会・翌朝】


レイが、目を覚ます。


白い、天井。


清潔な、部屋。


ベッドが、柔らかい。


体が、重い。


でも——


傷は、ない。


治癒魔法。


扉が、開く。


アリエルが、入ってくる。


「起きたのね」


「……どれくらい?」


「一晩」


「もう、朝よ」


窓の外。


陽が、昇ってる。


「長老が、待ってる」


「遺跡への案内」


「準備は、いい?」


僕は——


頷く。


「いい」


「でも——」


「何?」


「なんで、こんなに急ぐの?」


アリエルが、目を伏せる。


「……わからない」


「でも——」


「長老が言ってた」


「『時間がない』って」


(時間がない?)


(何が、始まるんだ?)


立ち上がる。


服を、着る。


扉へ。


踏み出す。


遺跡へ。


真実へ。


そして——


もう、戻れない場所へ。

-----

第5章 第8話 完

-----

汚染された魔獣を救い、古代遺物の破損を「上書き封印」で食い止めたレイは、人間として初めてエルフの信頼を勝ち取る。

満身創痍で合格を掴み取った少年の前には、ついに禁断の古代遺跡への扉が開かれようとしていた。


最適化された選択は、次にどんな形で世界から返ってくるのか。


よろしければ、

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